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『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ著(中央公論新社)

こんにちは。七海です😊


今回は2021年本屋大賞を受賞した『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ著(中央公論新社)を紹介します🐳


この本は、本屋大賞を受賞したということと、表紙の可愛さから興味を持ち、購入しました。


☆あらすじ☆

 52ヘルツのクジラは、他のクジラよりも高い周波数で鳴くため、他のクジラに声が届かない、世界で一頭だけのクジラです。たくさんの仲間がいても、仲間に何も伝えることができません。そのため、世界で一番孤独だと言われています。
 この小説は52ヘルツと同じように自身の苦しみを他者に伝えることができない人々のお話しです。

 主人公の貴瑚の母と母の再婚相手(貴瑚の義理の父親)は貴瑚の弟のことばかりを可愛がり、貴瑚のことはないがしろにしました。にもかかわらず、貴瑚が高校を卒業した後に義父がADHDを発症し、介護が必要になると、母は義父の介護を貴瑚に押し付けます。
 そうして貴瑚は自分勝手な両親によって、自分の人生を奪われていきます。

 そんな貴瑚を救い出したのが、アンさんという男性でした。
貴瑚とアンさんは性別を超えて、お互いを大切に思うようになりました。
 ところが、ある事件により、アンさんは亡くなりました。


 アンさんが亡くなった後、貴瑚は、かつて祖母が暮らしていた田舎の家に移り住みます。そこで、母親から壮絶な虐待を受け、「ムシ」と呼ばれていた少年と出会い、新たな人生が始まります。

 この小説の主軸は主人公の貴瑚と少年との関わりなのですが、物語が進むにつれて、貴瑚の恩人であるアンさんと貴瑚の身に起きた壮絶な事件についても明らかになっていきます。


☆感想☆
 この小説は、子ども虐待やヤングケアラー、LGBTの生きづらさといった現代社会の問題がテーマになっています。


 …はっきり言って、かなり重い話です。
あんまりに切なくて、涙が止まらなくなるシーンもありました。ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが…。
軽い気持ちでは読まないほうがいいかな、と個人的には思います。

 でも、私はこの小説を読んでよかったと心から思っています。重い話ではありますが、決して悲しい結末ではなかったので、なんだか救われました。

人間ってみんな、何かどうか人にはうまく伝えられない苦しみを抱えているものだと思います。つまり、みんなある意味、52ヘルツのクジラなんじゃないかなーと思います。
みんなが、苦しみを伝えられる相手、気づいてくれる相手に出会えたらいいな。


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