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異なるもの

ここでは
誰も彼もが
不機嫌そうな表情をして
ひどく焦っているかのように
急ぎ足で移動している

目的地に向かうための
手段を利用するという
共通の動機を持ち

俺たちは
ただここで
すれ違うにすぎない存在だ

あらゆる方向に
てんでばらばらに歩いてはいるが
それぞれにそれぞれの
目的地がある

俺たちは行動する生き物
人類

白髪まじりのものもいれば
脂ぎったものもいる
つるつるの肌に
シミひとつ、シワの一本もないものもいる

だが

こうしてざっと見渡してみても
特別な違いなど
べつに見当たらない
みな同じ形状をしている

やたらと忙しそうな生き物だ

だが待てよ

俺は思考する
こうして思考している
常に思考することをやめられない

この俺は
思考しているという事実において

この場の誰とも異なるものを有する

この思考は口に出さない限り
誰も知りようがない

そうだ
誰も他人の思考に触れることができない

もし仮に
ここに居合わせている人間たちの誰もが
本人が意識しているにせよ
無意識にせよ
自分の思考に夢中になっているとしたら

ひとりひとりの頭脳に
それぞれの世界があり
その胸中に
抑えきれない感情が
溢れかえっているとしたら…

そうであるなら

思考の内容をもって
一人ひとりの人間は
異なるものとなるわけだ

それぞれが
それぞれにとっての
特別な思考を所有している

記憶の蓄積
想像力

希望
勇気
感謝

哀惜
怒り
憎悪
嫉妬
悲哀
苦悩…

悪でさえも

そう

悪は
人間同士の軋轢の中で
生じてくる現象だ

だからこそ
異なる者同士の
絆を築くことに
意味が生じてくるのだろう

思考によって
知恵を磨き

それぞれが
それぞれにとって
貴重な存在となれるよう
毎日を生きる

異なるもの同士
人類
思考の自由なるを有するもの
異質なるにおいて
調和することを理想とするもの

イマジネーションは異世界からの相互通信です。力強いサポートに感謝します。