見出し画像

私はね、体重を増やしたかったんだよ



けして、肥満になりたいという意味ではない。
それは、健康に生活したい場合いい結果にならないから。

私は健康的に体重を増やしたかったんだよ。

これは、20代前半の私が薬膳に興味を持ち、五行を感じ、しかし想いの強さのあまり、全く逆の結果をもたらした時のほんの一欠片の話である。

どんなに知識を入れても、正しく使う術がなくては意味がないし、正しく使うための精神が無くては無駄になってしまうのだと、私は思っている。


さて、私はこの話をいったい幾つ下書きに入れただろう。

五行の話、薬膳の話、胃痛の話、ノイローゼのようになった話……なにより、「体重を増やしたい」という口にしにくい願いの話。
書こうと思うと簡潔に説明できず、しかし、簡潔にすると大切な事が伝わらない気がして、下書きが溜まっている。

全部を時系列にと思ったが、やはり、何度書いてみようとしても無理そう。
なので、もう、細切れに書いていこう。書けるところから。
読み手に任せよう。なんて無責任なんだ。でも、これが私な気がする。


女子同士の会話だと「体重を増やしたい(太りたい)」というだけで「マウント」だと言われてしまうこともあるが、何故だろう。
なぜ、太ってるから痩せたいはよくて、痩せてるから太りたいは何処か非難される感じになるんだろうか。


私の体型は健康診断で引っかかる痩せ型である。
毎度毎度、要経過観察。
ここ数年、それは減ったが。 

でも20代前半の頃は
医者に行けば「きちんと食べてる?」「ダイエットしてない?」「もっと食べなさい」
面接では「病気とかしない?」「重いものあるけど持てる?」「ちゃんと食べてる?」
と私の身体を見て言われたものだ。
お医者さんはともかく、面接の時とか、ほんと失礼。

食べる量は人並み。
けして、少食なわけではなく、調子がいいと人の倍食べる。
それでも、私の体重は増えない。ガリガリの痩せ型。
どれくらいかというと、当時163cm42kgとか。運動して引き締めてそれならともかく、そうじゃない。普通に生きていてそれ。

友達には「羨ましい〜」と言われ続けてきた。

しかし、私は知っている。
食べても太らないということは、そのぶん消費しているか、栄養になっていないか。である。

私は後者。
運動は苦手だから積極的にしないし、汗もかきにくい 。筋肉量も少ない。消費していけるわけじゃない。
要は、人より量を食べないと肉体の維持が出来ないのだ。必要な栄養も流れてしまう体。栄養を取り込めない体なのだ。

うまく消化できず、気持ち悪くなることが多かった。今も時々ある。
私の胃腸は弱かった。

食べている途中で、吐き気がする経験はあるだろうか。過食症とかではなく、純粋に胃が受け付けなくなる。お腹は空いているのに、胃酸が薄まって限界が来る。(だから、梅干しや檸檬が好きなのかもと思ってる。胃酸を助けるために。)
そうでなくても、調子が悪いと直ぐに胃痛にかわる。胃もたれでグッタリする。
特に動物性の油物は苦手だと感じる。


こうなるのは様々な理由があると思う。
私はそれを独自に解析し、改善しようと試みた。

まずは人と食事をとることへの恐怖心の改善が必要だったのだが、これは私にとって負担が大きく、環境が穏やかになってから、やっと少し減った。
人と食事をするのは私にとって無防備な状態であり、とても危険であるが故に早食いなのである。
食べている姿を晒す時間を短くする為に、中学生の私は早食いを習得してしまった。癖になっている。
しかも、歯が悪い。最悪である。食べる時に大量の空気も飲んでしまう為に胃がパンパンになる傾向があると思う。

これは、人と食べるというのに慣れていくしかない。今も、相手によっては食べられなくなり、ご飯を残すという行為に震えながら(食材ロスもなのだが、皿に残った感じを他人に見られるのが嫌、その場の空気がすごく嫌)、ごめんなさいする事がある。

あとは体内環境が悪いのだろう。筋肉のなさから猫背であることなども消化と深く関わっている。
とにかく、思い当たるフシが多すぎる体なのである………。
遺伝的なものもあるならば、細身の一族なのも確かである…。


さて、一人暮らしをしていた私の仕事がやっと安定しだし、精神も少し安定していた20代前半のころ。

体重を増やすという目標を持っていた。
50kgまで増やす。それが私の理想体重。
きっとそうすれば胸の肉も増えるはず!(貧相な胸が嫌だったわけよね。若いわぁ)
42kgから8kgの増量。なかなかの道のりだ。
そういえば、身長は何故か伸びて165cmになっていた。

私は料理に凝った。
美味しさや、見た目の美しさというより栄養的に。
本をいくつも買い漁って(この時に薬膳、マクロビ、五行などをより深く知りたいと思うようになる)、健康に良い食事を目指していた。

昔の電子の海の日記から料理の写真をいくつか引っ張ってきた。
ガラケーの写真で不鮮明だが

見事に野菜だらけ。でも豆腐という大豆タンパク質をかかさない。タンパク質大事なの知ってた。
一人分にしては多くない?とか今の私は思う

私はこれを、12時間半勤務したあと自転車で4kmこいで帰宅して作り食べ、0時には寝て5時半に起きる生活をしていた。(今思えば睡眠時間も不足している)

お昼は賄いを食べていたのだが、賄いがとにかく重たい。
しかし、賄いのガッツリ具合と頑張る料理のおかげか、順調に体重は増えていった。
これが2年経つか経たないかくらい。
49kgになった時は、あと1kgだと喜んだ。
顔がすこしふっくらしたのを周囲の人に言われ喜んでいた。
そこから鍛えて引き締めるつもりでいた。
筋肉は脂肪がないと育てられないから。
ただ、体重を増やしたいわけではなく、猫背の改善や筋肉による代謝の効果などを考えていた。腹筋をつけ、垂れ下がって機能の低下しているであろう胃を助けるつもりでいた。
色々なことを調べていた。やる気に満ちていた。

しかし、そう上手くは行かなかったのだ。
顎あたりに巨大なニキビの出現だ。

私は思春期の中学生の時も、それまでも、あまりニキビをつくらずに済んできていた。
だからこそ、そのショックは大きく凹んだ。胃痛も酷くなっていたため、様々な本を読みあさり、考え、私はストイックな方向に舵を切ったのだ。

まず、一番の問題と思われた賄いを辞めた。

野菜中心のお弁当

そして、野菜中心のお弁当を食べだした。
もともと肉がなくてもいいと思う私なので、苦じゃないのも災いとなる。
それから、誰かと食べることが苦手なので、食事に誘われても行かないことが多く、また、長年の付き合いの友達は私が野菜が好きだとインプットされている為遊びに行くと野菜多めのお店に連れて行ってくれていたのだ。

私の生活は肉から一気に遠のいた。(それまでも気持ち悪くなるのは肉類のせいだとおもっていたのもあり、毛嫌いに近い形に。特に牛肉のことは憎んでいた気がする……鶏肉は好んで食べてたと思うけど…)

さらに、手に入れていた「マクロビオティックの料理本」が私をさらに加速させた。
マクロビの料理は、玄米などの穀物を中心に、旬の野菜、海藻、豆などを環境に合わせバランス良く食べる食事法、食事療法だった。

日本の伝統的な食べ方に沿って、動物性タンパク質や精製された食材はなるべく控え(本はほぼ排除されていた)、季節に収穫されたものを余すことなく丸ごと食べるのが特徴。

この考え方が私の「好き」とマッチした。

雑穀米を炊き(玄米は喉が痒くなることがあるため。でも、たまに食べる)、野菜中心の生活を心がけ、まずはバランスを崩したであろう体のリセットをすすめた。

マクロビオティックは陰陽を用いている。すべてのものには陰陽があり、食べ物を陰性と陽性にわけ体調ごとにオススメの食材が本には載っていた

陰陽五行の五行もなんとなーくの流れでつかいながら、陰陽で分けていく感じなのだ。

とにかくニキビと胃痛の改善を目指して、それは1ヶ月ほどで達成されたのだが、1度体調を崩した私は取り憑かれたように、健康改善を推し進めた。もともと、そういう世界が好きで、もはや実験の域になっていた気がする。

薬膳にも手を出した。
五行の考えが食事にやってきた。
ここで、漢方薬に関しての知識がほんの少しだけはいってくる。
もともと精進料理のような料理に憧れもあった。
料理は五味、五色、五法。

美しい響き。美しきかな日本料理の世界。

とにかくバランス良く。
私は血虚か瘀血とふんで(素人判断にも程がある)、とにかく「温」の食材を中心に食べる。血虚や瘀血向けの食材、組み合わせを調べ、必要な物は取り寄せ、調理していた。(ちなみにハーブティーもいろいろ調べてブレンドしていた)

私の腸内フローラは乱れているに違いない。
まずは内臓をなんとかしなくては。
筋肉とかはその後だ。太るのも後回しだ。
内臓が元気になれば、筋肉もついてくるはずた。
肌も改善されるはずだ。

私は何かに焦っていた。
知識だけが集まりすぎていた。
そして、周りに相談できる人がいなかった。

しかし、だんだんその生活も辛くなってくる。
そりゃそうなのだ。12時間半働き詰めたあとに1汁3菜を心がけ、朝早起きしてお弁当を作るなんて、犬猫の世話もあるし、詰め込みすぎたのである。遊んでもいたので、ほんと詰め込みすぎたのである。

この頃になるとお弁当のクオリティがガクッと下がり、オフィスワークのOLさんですかみたいな量で済ますようになっていた。あまり、お腹が減らない。

なのに軽めのファスティングを繰り返す。すべては健全な腸内環境の為に。(ファスティングは確かにリセットだけど、12時間半の仕事しながらやるもんじゃないと思う。あと、初めてやるなら指導者込でやったほうがいいと思う)

そして、気がついた時には体重が41kgになっていた。2ヶ月程度で8kg変動していた。
私の体にとってそれは大き過ぎる変化だった。

周りから「痩せた?」と聞かれる。
体重が減る事に恐怖心が出て来て「痩せた?って聞かないで……」とお願いするようになっていた。

1度はおさまっていた胃痛の再発は病院で胃カメラをのむレベルになっていた。
他にも痛みが増え、私はボロボロだった。
それまで、病院に通うことがなかったので、そのショックも大きかったように思う。
季節のタイミングも悪く、寒い冬場の後にすぐにそんなこと(体質改善という名の無理)をしたので免疫が急激に下がり、脂漏性湿疹を発症。(もともと若干のアレルギー体質)

…この脂漏性湿疹のせいで、調べ癖のある私はノイローゼ気味になることになるが、それはまた別の話なので何時か機会があれば。

病院で血液検査をねじ込んでもらった時に、脂肪肝になっていると聞いた時は納得した。

病院の先生に「無理なダイエットでもしたの?」と聞かれた時は私は首を横にブンブンふった。

しかし、私がしたのは無理なダイエットだ。
私にはその意識は全くなかったが、行為としては太るの逆だったのだ。
しかも、急激に体重を動かすような、危険なことだ。


食べることは大変だ。
私にとって、食べ物を食べるのは胃と腸の機嫌で左右される。
乳製品は高確率で胃が荒れる。
脂っこいものは胃もたれし、大好きな酸っぱいものも取り過ぎれば逆流性食道炎に悩まされる。
しかし、食べなくては維持できない体重。

食べなくても大丈夫なんて羨ましいと言われるが、痛かったり気持ち悪かったりを繰り返してきているので、食べることへの喜びが人より薄いんだと思う。作るのは楽しいのだけど、食べている間に疲れてしまう時がある。

私は一旦、丁寧な食事で健康体を手に入れるという理想を手放した。

一人暮らし、金銭的余裕はなく、助けてくれる家族もいない身で、そもそも精神的に完全と言えない私は色々な物を整える段階ではなかったのだろう。

気にしすぎていた添加物の表示も気にしなくして、食べられるものを、食べすぎず、しかし食べなさ過ぎずを目指した。

無理(とは感じていなくてもよく考えて無理だなと思ったもの)な頑張りもなくした。
お茶は好きだから、たまに買ってブレンドして飲むけど、1汁3菜に拘ったり、肉を目の敵にしたりしなくなった。

そして、事態が収束する直前辺りに夫が出現したおかけで、外食好きな夫に連れられ色々食べ歩くようになった。
少しずつ体重を戻し、46kgでほぼ動かなくなった。それ以上は増えない日々が現在も続いている。目標より足りないが、危険な40〜42でなければとにかくヨシとしている。
あまり気にしすぎないように体重計に毎日乗るような事はしていない。

油断して食べないと、あっという間に落ちていくので、意識して食べる。
作るのが辛い時は、買ってでもいいので食べる。
胃が痛い時はとにかく優しいご飯を心がける。
顎にニキビができたら高確率で、くだすので体を冷やさない努力をする。
舌に歯型が強くついている時も、とにかく優しいものを食べて良く眠るように気をつける。

あの頃のような酷い痛みは減った。
腸内環境は改善していきたい。
けれど、やる気を起こすのに苦労するようになった。
たぶん、疲れてしまっている。
私は回復にとんでもなく時間がかかるのだ。
とにかく、ゆっくり、マイペース。
そもそも…きちっと回復したものなどないのかもしれないが。
いい。考え過ぎるときは、投げ捨てだ。
バランスだ。

長々書いたが、こういうことなのだ。

本当に様々な事が絡み合ってこうなっている。
あの当時は、たぶん、栄養の行き届かない脳で必死に考えていたのだろう。偏ってしまっていた。
今は、こうかな?と思っても試して微調整が出来る。無理なときはストップできるようになった。

まぁ、もとが怠け者なので、怠けていいよーんと自分に許せばだるだるーんとなるのだ。笑


私はね、体重を増やしたいんだよ。
減らしたい人が多い世の中で、逆流を泳ぐように。
健康的なのが一番だよ。
増えようが減ろうが、その時の場所がバランスとれて、痛かったり、不快じゃなければ、いいよねって思ってる。


頭では五行もだいぶ理解しだして、これはこうだなとか思うけど、実践ってほんっと難しい。
継続するってのが苦手な私にとって難しい。
現実世界が苦手な私にとって肉体を蔑ろにしないのって実は凄く難しい。
興味を持って実験してやるぞって気持ちで相手にしてるほうが、大切に出来るんだと思う。

気持ちの持って行き方は日々進化してるから、ぼちぼちやってこうと思う。

上手くまとめられなかったけど、そんな私もいるという話。

ここまで読んでくれたアナタの肉体が、アナタと仲良く地球時間を過ごしてくれる関係でありますように。


サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。