- 運営しているクリエイター
#ロック
小説『集落街』無料試し読み その1
※この小説には暴力的な描写がごさいます。そういうものが苦手な方は、お手数ですがブラウザバックをお願いいたします。
プロローグ
そこには絶対部外者は入ってはならない。
そこが〝敵〟と判別したら、情け容赦なく攻めたてる。そこを舐めて かかった奴は、チンピラにボコボコにされ、女なら犯され・男はホモの餌食。穴という穴を使われ、二重の暴行を受けた後は追剥ぎに遭い、悪趣味な解剖屋に持ちかえられ
小説『集落街』無料試し読み その2
〝街〟の血脈は、日本人一色ではないどころか、名前すら日本式にこだわってはいない。場所によっては黒髪を見つける方が難しい時もある。封建的なようで いて、いち早く外来を取り入れ、独自の発展をしたのが、〝街〟なのだ。
〝街〟はいわば、尻尾を咥えた紅色の蛇だ。うねり・蠢きながら、じっとしている。だが、その蛇は狡猾だ。蛇はある種の人間を呼び寄せる。蛇はある種の人間 を魅了する。蛇はある種の人間を突き放
小説『集落街』無料試し読み その3
襖の奥の部屋は、電気が灯っていない。気の集中には暗闇が適している。十歳の少女が横長のソファに寝転がっている。金髪のストレートが綺麗に垂れ、白のワンピースの腹のところで、丸い水晶を手に包んで気を集中させている。名をリリー。
リリーの顔を覗きこむ、スキンヘッドのずんぐりとした体躯の白衣の男 、「問題は、ないようですな」と言う。名はロロ。医者。
部屋の端に立っている、整った身なり、タイトな
小説『集落街』試し読み その4
※この小説には暴力的な描写がごさいます。そういうものが苦手な方は、お手数ですがブラウザバックをお願いいたします。
第一章――彼は、風
音に呼ばれた。そんな気がした。
求(きゅう )は大学院の講義室で、今日の晩飯どうするかな、とぼんやり考えていた。下手糞なレジュメをそのまま音読する同期の男にうんざりし、教授にバレバレなのに筆談やメールをしている同期の女子には辟易し、諦観の眼で