秦ショウケン

札幌の浄土真宗のお寺生まれ。 メンタルヘルスのベンチャー企業で働きながら、大学院で浄土真宗の研究をしています。 仏教的な生き方をしたいと思いつつ、欲に負け越し中の日々です。

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札幌の浄土真宗のお寺生まれ。 メンタルヘルスのベンチャー企業で働きながら、大学院で浄土真宗の研究をしています。 仏教的な生き方をしたいと思いつつ、欲に負け越し中の日々です。

    最近の記事

    『エブエブ』を仏教的に観たら、ダークブッダとライトブッダの戦いだった

    こんにちは。秦ショウケンです。浄土真宗のお寺に生まれて、今はベンチャー企業で働きながら、大学院で浄土真宗の研究をしています。 遅ればせながら、今年のアカデミー賞作品『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(通称:エブエブ)を見てきました。 本作は、先に観てきたお坊さんの友達に「ありゃ仏教だよ。」と言われていたので、どんな映画なのか楽しみだったのですが……確かに仏教でした。 根底に流れるのは縁起思想。 そしてクライマックスのシーンは、ダークサイドに堕ちたダ

      • 浄土真宗アメリカ訪問備忘録

        先日、大学院の研究プロジェクトでアメリカのカリフォルニアバークレーに行ってきました。 海外における浄土真宗にふれて、色々と勉強になったので残しておきたいと思います。 どんなワークショップだったか今回参加したのは、「歎異鈔翻訳ワークショップ」というプロジェクトで、大谷大学、龍谷大学、UCバークレーの3大学連合で、江戸期の歎異鈔の講義録を翻訳するというもの。 歎異鈔は親鸞の言葉を弟子の唯円がまとめた随筆のような書物。歎異という言葉には、親鸞の教えを誤って解釈している人が多いこ

        • 2022年の振り返り(12676字)

          毎年恒例の1年間振り返りブログ。テレビ見ながらゴロゴロしたいところだが、老後に読み返して楽しむために今年も書く。 2021年はどんなだったかなと思ってブログを読み返していたら、1月から非常に細かく記録されていて驚いた。正直今年はもう全然覚えてない。笑 この一年での急激な記憶力の低下を感じる。最近は色んな人の名前が出てこない。行った場所は覚えてるけど誰と行ったかが思い出せない。そんなことばかりだ。 だからなおさら、せめて1年に1回でも、生きた記録を残すことが大事なのだ。

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          • 自分のものさしって何?問題

            先日とある講演会で、 「他人のものさしで自分を測らず、自分のものさしを持とう」 という言葉を聴く機会がありました。 これまでの人生でも、何度か耳にしたことのある言葉です。 僕は人と比べて一喜一憂しがちなので、そういう言葉にはとても励まされてきました。 「自分は自分でいいんだ!」と思えると、なんとなく自信が湧いてきますよね。 その一方で、最近は自分の中に新しい問題が生まれています。 それは、「自分のものさしって何?」問題です。 自分のものさしって何?問題 「自分のも

            令和4年5月28日の日記のようなもの

            京都という町が好きになってきた。元が嫌いだったというわけではないけれど、僕が東京から京都に移住すると言うと周りの人が皆口を揃えて「京都は最高だ」「京都で暮らすのが憧れだ」などというものだから、僕の中での天邪鬼の気持ちが顔を出して、京都の町をまるで評論家のように品定めしてしまっていて、純粋に好きだと思えなかったのだ。 僕がなぜ京都が好きになってきたと言うかといえば、それは明確な出来事があったわけではない。というかむしろ明確な出来事を通して京都を好きになろうとすればするほどーー

            原典を読み込むことによる発見|大学院学びレポート②

            こんにちは。秦ショウケンです。北海道にあるお寺に生まれ、今はスタートアップでメンタルケアアプリの開発に携わりながら、龍谷大学大学院で浄土真宗の勉強をしています。 せっかくなので学んだことや感じたことを新鮮なうちに書き残しています。毎週末に更新する予定です。 といいつつ、二週ほど空いてしまいました。 今週のハイライト|初めての発表大学院生活の第二〜三週目でした。四週目に差し掛かったところで、現在GWを挟んで小休憩です。 わかってはいたものの、平日は怒涛のように進んでいき、予

            真宗学の4つの領域と「信仰」|大学院学びレポート①

            こんにちは。秦ショウケンです。北海道にあるお寺に生まれ、今はスタートアップでメンタルケアアプリの開発に携わりながら、龍谷大学大学院で浄土真宗の勉強をしています。 色んな方に支えられながら今、大学院で勉強できているので、せっかくなので学んだことや感じたことを新鮮なうちに書き残しています。毎週末に更新する予定です。 今週のハイライト|真宗学の4つの領域と「信仰」大学院生活の第一週目でした。授業は8コマ取っています。今週はオリエンがメイン。オリエンを通して、これから自分が学んで

            2021年の振り返り(15,526字)

            毎年恒例の1年間振り返りブログ。去年は1.4万字くらい書いたけど、今年も書く。去年のを読み返すと、本当に色々あった1年だったなあと思い出す。 去年と比べると、今年は穏やかな1年だった。今年は12月中旬くらいからこの振り返りブログを書くのが楽しみだったので、良い1年だったのだと思う。 今年は北海道の実家から。2年ぶりの帰省で北海道の寒さを体が完全に忘れており、「マジでさむい!」となっています。 例によって今回も私的な内容を含むため本文は課金エリアとさせて頂きます。 この振

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            田んぼに足を浸して考えたこと

            先週、秋田に稲刈りに行った。 「ファームガーデンたそがれ」という農園には、シェア田んぼという、田んぼを区画で分けて共同保有できる仕組みがある。大学でお世話になった先生がこの一区画を保有しており、田植えや稲刈りの時期になると声をかけてもらえるのだ。そういうわけで、東京もんが、毎度ちょっとした農家気分を味わせてもらっている。 この田んぼに行くときは、だいたい神楽坂にあるシェアハウス「カグラボ」のコミュニティの面々で参加する。4年ほど前に神楽坂で立ち上がって、これまで延べ30人

            9月17日の日記のようなもの

            つくづく自分というものは信用ならない、と今日も帰りの電車で考えていた。 自分とはこうである、といった類の気づきや発見というのは実に脆弱なものである。なぜなら自分というものは時間の経過とともに絶えず更新されていくものだからだ。昔の自分に対しての気づきはすぐに陳腐化してしまう。 しかし人は、自分とはこういう人間である、と規定したがるものだ。規定できないものがあると不安になってしまう。だから、自分に対しての気づきが得られると「そうか俺はそういう人間だったのだ!」と嬉しい気持ちに

            8月20日の日記のようなもの

            ペットボトルのラベルを剥がすのは好きだが、ペットボトルを捨てるのは嫌いだ。だからワンルームの床にはいつも裸のペットボトルが転がっている。 床すらきれいにできないダメな人間であることは知っているが、その一方で、今日も自分が何もかも正しいと信じて疑わずに1日が過ぎて行った。 ・ 2021年春クールのベストドラマは間違いなく大豆田とわ子だろう。久しぶりにドラマに熱中した。スマホも見ずにテレビにかじりつき、学びが多いとメモを取り、そして涙した。ある人が「大豆田とわ子は名言ボット

            コーチング超入門|自分で実践できるスキルをいいとこ取り

            こんにちは。秦です。 北海道にある浄土真宗のお寺に生まれて、今は住職になる前の俗世での修行期間として、Hakaliというメンタルケアアプリを開発するスタートアップで働いています。サイドワークとして、プロコーチとして活動しています。 先日、早稲田大学の大隈塾というゼミの卒業生コミュニティで、「コーチング超入門」講座の講師をする機会がありました。これがなかなか好評だったので、noteにも内容を公開します。 ざっくりコーチングの理論を学んで、日常生活に使えるテクニックをいいとこ

            TOEICクロニクル

            今となってなぜ受けるのか分からなくなってしまったTOEICを受験するため、新宿西口へと向かっていた。 試験会場に向かう途中、証明写真機に立ち寄り受験票の写真を撮り、プリントした。コンビニでハサミとレッドブルを買い、ハサミで証明写真を切り取り受験票に貼りつけた。歩きながら、車にガソリンを注ぎ込むようにレッドブルを体に流し込んだ。昼食も済んでいる。時間にもまだ余裕がある。極めて順調だ。朝取り組んだ模試では、目標点を超える結果が出ていた。 「今日はいけるかもしれない。」 根拠

            6月4日の日記のようなもの

            6月に入ってから、曇りの日が続いている。 友人が「曇りの日は天気痛がひどくて嫌だ」と話していた。僕はそれを聞くまで、天気痛というものをおよそ全く知らなかった。天気痛とは、気圧の変化によって頭痛が引き起こされる症状らしい。 天気痛という概念を得てからは、曇りや雨の日は「今日は天気痛というものが起きやすい日なのかもしれない。」と思うようになった。そしてそう思うと、頭に疼痛を感じるような気がした。天気痛など知らなければこの先の人生で天気痛を感じることもなかっただろうが、これから

            6月2日の日記のようなもの

            一度刈り取っただけで捨ててしまった豆苗のことをぼんやりと考えていた。 SNSで誰かが今の東京の空が綺麗だと言っていた。仕事もほとんど終わっているように思えたので、散歩をすることにした。時間はちょうど18時半をすぎたところだった。 今僕が住んでいる街は、高い建物はないが、小さな家がどこまでもぎゅうぎゅうに詰まっていて、どこを見上げても空の全貌を掴むことができない。この街のことはとても気に入っているが、今後僕がこの街を引っ越すとしたら、きっと高い確率で空が見えないことが原因に

            熊本地震が起きた日、師匠にかけられた言葉

            大学2年か3年の頃、「東の食の会」という、震災後の東北を食から盛り上げていこうというビジョンを掲げ活動する一般社団法人でインターンをしていた。 そんなある日、熊本で震災が起きた。どうすることもできずにヤキモキしながらPCに向き合っていた時、その団体の代表にかけられた言葉が強く心に残っている。 「君が今、このオフィスにいる理由は何?」 と。 最近は特に心がいたむニュースが多く、油断するとすぐに心が引っ張られて元気がなくなってしまう。 そんな時、いつもこの言葉を思い出す