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ボロ屋の思い出

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#劇団ルネッサンス

恥ずかしい=嫌い?

恥ずかしい=嫌い?

写真の犬が、おバカなカピ♡

多分四年生の頃。

帰って来るといつも大きく手を広げてハグしてくれた義行に、だんだん照れが出て来た私は、歪んだ笑顔で近寄って行った。

その日、義行は

「ん!?頭が臭い!!」

と私に言った。

当然子ブタは傷付いた。

当時は肥満児。

好き放題お菓子を食べていた私の頭からは、脂の匂いでも漂っていたのかもしれない。じゅわ〜ん。

だいたい男性という生き物はそういう

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ボロ屋で見つけた両親の愛

ボロ屋で見つけた両親の愛

義行と能里は、よく喧嘩していた。

大概の原因は、義行の帰宅時間が連絡も入れずに遅いこと・約束を守らないことなどだったと思う。

今でも鮮明に記憶している場面がある。

私が3〜5歳くらいの頃。

クリスマスの日、家族でお祝いすることを楽しみにしていたが、その日も義行の帰宅時間は遅かった。

私が布団に入ってウトウトしていると、玄関から喧嘩する声が聞こえて来た。

「なっちゃんが楽しみにしていたの

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ボロ屋暮らしの3人家族

ボロ屋暮らしの3人家族

私が15歳になるまで、家族3人が時に仲良く時に切なく暮らしていたのは、六畳四畳半・木造平屋の借家だった。

風が強い日は、割れそうな薄いガラス窓がガタガタと鳴り、台風が来た時は本気モードで机の下に避難して過ごした。

玄関の引き戸も、薄いガラスに木製の枠。人差し指でも割ることが出来そうだった。

鍵は穴に入れたまま、ぎゅっと閉まるまでクルクルと何周も回すタイプ。(このタイプ、知らない人も多いのでは

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