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歴史小説「Two of Us」第3章J‐23

割引あり

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"


J-23 ~An Invitation From A President~

「つまり、、、民衆は日本軍に味方したのだ。
 軍兵や皇帝は、〈明〉の属国として戦わざるを得なかったが、負けると分かって北西へ逃げたのだ」
「なぜ、北西なんじゃ❓」
「北東には〈清〉が居る」
「〈清〉というのは、、、蒙古騎馬隊の生き残りか❓」
「そうだ。漢民族の〈明〉が日本軍と敵対して疲弊している間に、散り散りバラバラだった〈女真族〉
(にょしんぞく)が集結して〈明〉の勢力を衰退させる程の拡大をしている。
 そいつらと、日本軍が挟み撃ちにしたから、北西へ退散したのだ。弐番隊の加藤清正殿が逃げる宣祖皇帝達の中の、皇子2名を捕縛した。伊達軍が預かり、清正殿達は北西へ追い討ちだ」


漢陽都城@ソウル市


「それがしは、何も戦っておらぬ。何をすれば良い❓」
「とりあえず、皇子二人が漢陽都城の中の、宝物
(ほうもつ)を白状した。それを奪いに行こう
「盗みか❓」
「いやとりあえず、中へ侵入しよう」
「何を持ち帰る❓」
「わからん。ただ、〈明〉朝廷に関する大事な物が隠されているらしい。属国の帝の証だそうだ」
「それを置いて逃げたのか。
 それがしは、茶器や陶器ものには目が無いが、唐物の宝飾品など興味はない。珠子も、南蛮の反物の方が好きなんぞえ❓」
「まあまあ。何があるか分からん」


「では、こうしよう。宝物ならば、〈清〉の大将にくれてやろう。それで交渉するのだ」
「どんな交渉するのだ❔」
「〈高麗〉の領土は、我ら日本軍がもらう。
 代わりに、この大陸の元来の支配者蒙古人には、領土をぶん獲った漢民族の古来からの『証』をくれてやる、とな」
「なるほど!!」
「太閤殿は天下統一して、もうお前らに褒美の領地は無いから、お前たちは勝って自分で獲って来いという気持ちなのだ」
「いつ考えた❔忠興殿は」
「壱岐を出て、ここへ来る船の中だ」
「なるほど、腑に落ちる」
「それがしはもう、待ちくたびれたから、帰りたい」
「そりゃあ、そうだ。それがしも、ろくに戦ってもおらぬ」

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