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歴史小説「Two of Us」第3章 J-9

割引あり

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"


J‐9 ~Conversation@観音峠~

 峠の茶屋の奥で、あなた珠子が栗菓子の小皿を洗っていると、日向の縁側に、旅人らしき二人一組の武士が腰を下ろした。

 用心深く、帯刀や羽織の家紋を、厨房の棚の間から目視する。
 羽柴氏毛利氏側でもないが〈五三の桐〉を付けている。地方の家老階級なのか、、、方言が聞き慣れない。越前か、それよりも北方か。。。

 
 一方がチラチラと厨房奥のこちらを眺めているので、あなた珠子は裏で薪割りをしている小笠原(少斉)に合図をし、店主の代わりに店頭へ向かってもらった。前掛けだけ、店主に借りて。


丹波栗と瑞穂の鶏卵で出来たパウンドケーキ


「いらっしゃいましぃー」

 日笠懸けの奥から柔和な眼差しが見上げると、店番らしき小笠原に声をかける。
「そなたは、オガサワラ殿をご存じか?」
「へい。。。」
「それがしは、伊達の家臣の片倉と申す。オガサワラ殿を呼んで頂けぬか?」
「へい。わたくしが小笠原でっ」

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