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ある日の小学校英語

 今日の授業、楽しかったな。4月から始まった授業。そろそろ私との人間関係もいい感じになってきた頃。さて、子どもたちに授業を振ってしまおう。私の大好きな子ども主体の授業。実はこれが一番、英語力アップの活動。そして英語を知っている人でも楽しめる活動。そして何より先生がラクラクな授業。
 欧米の先生に学んだことは「教師は楽をすること」子どもたちが安全に学べるように見守ることが私たちの仕事。あれこれお膳立てをして、先生がいないと、これがないとあれがないと学べないみたいな雰囲気や気持ちを作り出してしまってはいけない。

 今日は3年生で色導入。それに絡めてI like …. / Do you like…?がキーフレーズになっている。最初に英語で足し算、引き算、掛け算に割り算をして前回まで一緒に学んだ数字の確認。言い方などでつまずいたら、そこで補足や練習。これも私がまず問題を出して見せて、次からは生徒が問題を出し、生徒が答える。子どもたちが授業を進める。私は言いにくい数字などの補助。
 そして色。" 今日するのは color です" という前に『英語知ってるって人は、日本語で説明するんじゃなくて「たとえば〜」で教えてくれる?』と伝えておく。私が英語で言うことを通訳みたいに訳してくれる英語が得意な生徒への予防線。でもその子の行動を否定するんじゃなくて、違う形で協力してもらう。「たとえば」が言えたら、英語を英語で説明できる様になる。その子にとっても、他の子にとってもメリットは大きい。
 そこからcolorの「たとえば」を出してもらう。たとえばblue, たとえばred, たとえばyellow 今日私が唯一準備していた9色の色カードを言われた順に黒板に貼る。「colorって何?って思ってた人、『あぁ〜それね!』って思った?Great job!!そうなんです」
 英語を英語で考える頭をみんなで一緒に作る。

 何度か一緒に色を言ったりミッシングゲーム(5秒伏せている間にボードの色カードを数枚隠して何色か当てる)を難易度を少しずつ上げていってする。その内に子どもたちは何度も色の名前を耳にして口にする。英語を習っている子も英語が第一言語の子でも、ゲームを交えての導入だから飽き飽きしない。

 さ、ある程度言える様になったら私の好きな色をサラッとみんなに伝える。なぜ好きなのか、日本語も交えて。ポイントは今日のキーフレーズや今日習うべきことは英語で通して、それ以外の指示や必ず伝える必要があることは日本語、という使い分け。何をしているかわからなくなったら、子どもたちは離脱し始める。安心感は常に大切。
 じゃ、担任の先生の好きな色当ててみよう。それもI like…がキーフレーズだから「何が好きかな〜?」なんて日本語で言わない。私はI like pink.だけど、Mr…は"I like…"って言われるかな〜?ってな感じで問いかける。
子どもたちは当てるのが大好き。「先生のいつもの様子で推理してね」など伝えると、一生懸命先生のことを想いながら考える。覚えたての英語で"Red!" 先生は申し訳なさそうに"No." 私は笑顔で"Good try! 発音バッチリだったね!"など声をかける。当たったらみんな大喜び。
 「では今のMr…の役をしてくれる人」とクラスに呼びかけ、挙手した生徒の好きな色を当てる。当たったら、最後にその生徒は"I like green."と言って席に戻る。慣れてきたら尋ね方を Do you like…?に変えていく。
子どもたちは「人の好きな色を当てたい!」という気持ちでいっぱいになっているので、Do you like…?を道具としてすんなり受け入れて使いだす。
 
 文字通り子どもたちが授業を進め、私は補助。言いにくい英語や聞こえにくい時の尋ね方など、子どもたちは必要を感じて私に尋ねてくる。
道具が必要な場面を企画して、あとは子どもたちがそこで道具を必要としたら、学びは主体的なものになる。もちろんその仕組みづくりは大切だが、私の授業は先生方とクラスの子どもたちが普段の生活で築いている雰囲気の中で活きる。言葉は生活。言葉は生き方。人のことをより深く知りたい、自分のことを知って欲しい、その気持ちがベースにないと本当の意味では使えない。

 こんな授業の中で、私はただ笑ったり「すごいね!」って驚いたりするだけ。「先生が楽をするのが良い授業」という言葉をいつも大切にしている。

 この心地よい疲れは、心の目が開きっぱなしのせい。
私が留意しているのは、この活動がプレッシャーになる子がいないか、誰かの言葉で傷つく子がいないか。45分の授業の間、心の目をを30人強の子どもたちに向けて開きっぱなしにして見守っている。
 思いっきりトライしてみたけど、うまく言えなかった。友達から「違うよ」と言われた、そんな子には帰り際に「今日かっこよかったね!とっても上手だったよ」と声をかける。
 週に一度しか会わない子どもたちだから、次に会うまでまた元気に英語に向き合えるように。そっと自信のタネを手渡して帰る。

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