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私の頭の中のホラー

 私の特性の一つに「極度の心配性」と「有り余る想像力」がある。
その二つが合わさって、私の頭の中はほぼ常時ホラー状態なのだ。私はつい最近まで「誰でもそうだ」と思いこんでいたけれど、どうやらそうではないらしい。これは私の特性で、弱点で、強みだ。

「いってらっしゃい」と「おやすみ」は全力で

 愛する家族が眠る時、一人一人に声をかけて回る。そして手を合わせたり体をさすったり何か声をかける。何を大袈裟な、と思われるかも知れないが、私は翌朝自分が起きなかった時や夫や子どもたちが起きてこなかった場合を想定して、それを毎晩するのである。そうしないで翌朝、本当に再び出会うことが出来なかったら。もし喧嘩したまま、叱ったまま眠って翌朝どちらかが起きて来なかったら...それは一生の後悔になると思うから。
 私の頭の中には自分が起きて来なかった場合の家族の状態や夫や子どもたちが起きて来なかった場合の自分自身が怖いぐらい鮮明に描き出され、私は毎晩が最後の夜であるかの様に振る舞ってしまうのだ。
 デメリットは、毎晩怖い。さすがにもう50年近くこの性格だから、この怖さにも慣れてきた部分はある。しかしいくら慣れたとしても「絶対大丈夫だから」とは思えない。
 メリットは、お互い気持ちよく過ごせることだ。死を意識することで生を大切に出来る。愛する人には全力で愛を届ける。それは私の特性の最大のメリットだと思う。
 「行ってらっしゃい」は尚のことだ。学校に行くまでの、また仕事に行くまでの道が私にとってはジャングル探検みたいに思えて仕方ない。娘は自転車で顔から転んで病院行きになったことがあるし、息子は車に突っ込んでいったことがある。そんな記憶も手伝って、本当に渾身の「気をつけてね」を伝えてスキンシップ。最高の笑顔で見送る。温かい私を覚えていてくれ、そんな想いで。
 よく「偉いですね」と言われることがあるけれど、心がけてというよりは本気で「これが最期だ」と毎瞬間思っているというだけのこと。
だから、毎日が新鮮で毎日が感謝。

 私は、今日も生きていた。

人の気持ちに寄り添う力

 この想像力がどれ程のものかというと、ニュースを見ていても感情移入し過ぎて「この人はどうしてこんな目に遭ったんだろう。家族は、友達は。」想像し過ぎて塞ぎ込んでしまう。そのために時々ニュースをシャットアウトすることもある。

 でも、だからこそ教室にくる子どもたちがしんどそうな時に話を聞くことが出来るし、そりゃつらかったね、ってすぐに言ってあげられる。
想像力の範疇なのか、心の動きを観察する力もあるので、小学校などのクラスに入っているとクラスの中の人間関係がよくわかる。無理して笑っている子もわかることがある。本人が意識していない部分での無理も、時々私の方が先に気付いて声をかけやすい。今の仕事にはかなり役立つ力ではある。
 
 この調子でずっと自分自身が学校生活を送ってきたから、当時の体罰やいじめが渦巻く環境の中で、私は毎日人のために傷ついていた。今こうしてこの特性を役立てて、あの時の自分に寄り添うような気持ちで子どもたちに寄り添うのは、これが自分に与えられた役割だと思っているからかも知れない。

同じく毎日がホラーなあなたへ

 私の特性と同じものを持っている方、きっと少なくないと思う。でも自分で気付かずに他の人よりも大きく反応してしまう自分に嫌悪感を持っているかも知れない。自分はダメな人、って思っているかも知れない。
 そんなドキドキしながら毎日を過ごしている人たち。ニュースを見ては涙ぐんでしまう人たち。学校で先生の怒鳴り声にいちいち反応してしまう人たちへ。
 どうぞ自分の気持ちを大切にして過ごしてください。他の人が「そんなことで落ち込んでるの」とか「どうして泣いているの」と聞いてきても、自分さえ自分のことをわかってあげられたら、それで良いのです。人にはどうしてもわからないことがある。だからまずは自分で自分を守る術を身につけてください。
 次に、私みたいな人が意外と周りにいるはずなので嗅覚を最大限に活かして、自分と同じ匂いのする人と話をしてみましょう。意外とそういう人とは磁石みたいに惹かれ合うものです。
 逆にあなたが違和感を覚える相手とは距離を置きましょう。ズカズカとあなたの心に土足で踏み込んでくる様な人から離れるのも、大事なことです。

 そして今学校生活や社会生活で苦しんでいるあなたも、その特性が活かされる場所が必ずあります。あなたのその繊細さを必要としている人が必ずいます。
あなたがその場に出会える様に、そして必要としている方があなたに出会える様に、お祈りしています。

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