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【全文無料】Crossfaith Japan Tour 2024 - Departure -@Zepp Haneda 2024.02.18(Sun)

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"The show starts in 5 minutes…"
無機質な女性の声が建物全体に反響する。その声質とは裏腹に、観客は熱気のこもった歓声、拍手、時々"Koieー!!"と叫ぶ声で彼らの登場を待ち続ける。

ざわついていたフロアは、ステージのカーテンが開かれると同時に一つの大きな歓声へと変化した。真っ青なライトが観客とステージを照らす。ツアー最終日を迎えたCrossfaithが満を持して登場した。

一曲目は新曲の「ZERO」。リリースされたばかりだというのに、既にバウンスするタイミングを掴んでいる猛者を何十名も見かけて衝撃を受けた。まさに(ライブでまだ)聞いたこともねぇ音にカラダが疼くとはこういうことか…。

"遊びましょうかZepp!!!"
ライブは始まったばかり。Koie(Vo.)のお誘いにもちろん乗らない手はない。「Freedom」で先ほどのZERO以上に高く力強いジャンプが眼前に広がり、それと同時に各々が腹から"オイ!!!"と声を出し曲の持つパワーを高めていく。さすがCrossfaithのファン。彼らのライブは毎回全力で踊り、声を出し、走り回る。そのためファンの体力が並大抵のレベルではない。

Freedomで体はダンスモードになっているが、次の曲は一味違うようだ。フロアが虹色と紫色のライトでサイケデリックに照らされる。Wildfireか…?と思いきや、Koieの"暴れる準備できてますか?"ですべてを察した。全員が即座にダンスモードから狂暴モードに切り替わり、「RX Overdrive」で頭を振り、走り回り、体当たりをし、観客は全員凶器と化した。

MCでは、急遽ワンマンとなった本日への思いをふと口にし、120%でやりきると我々に約束してくれたKoie。観客の総意は"言われなくてもわかってる"だろう。
毎回ライブに行くごとに、120%どころか200%、300%の熱量でライブを行ってくれるCrossfaith。彼らのライブへの信頼は強固なものだ。突然のワンマンになってもソールドアウトをしたという事実が、それを証明している。

"じゃあとりあえずモッシュピットしますか~"
うおおおお!!!!という歓声と共に「Countdown To Hell」の凶悪イントロがスタートする。"中指立てろお前ら!!むかつく奴ら、全部クソ!!!"というKoieからの声かけに、会場全体に一本指の集合体が完成した。

ここで本日最初のゲスト登場。SABLE HILLSからサウナキングことTAKUYAのお出ましだ。Countdown To Hell終盤のソロパートでは、Koieと共に悪魔のようなグロウルの掛け合いが響かせ、我々の心臓を貫いた。

SABLE HILLSと3月に行われるツーマンライブに触れるKoie。チケットは以下なので、気になる方はぜひ行ってみてほしい(声優の鈴木愛奈もバンドセットで参加するようだ)。

"今日は体力温存とかなんもいらないんで、全力で来てください!"
"じゃあ早速次の曲で全員皆殺し!!!"
そう宣言して始まったのは、文字通り皆殺しを意味する「Kill 'Em All」。全力で踊りながらCrossfaithに殺されつつ、続く「Snake Code」、「Madness」に、こんなところで死んでる場合じゃねえ!!と全員の本能が呼び起こされ、力の限り腕を振り声を張り上げた。

このタイミングでのMadnessに対し、やべぇ…という声があちこちから聞こえたかと思いきや、一人の観客の"もういっかーい!!"という声に、Koieが"Madnessもう一回の人おんの!?ばりあついやん!!"と言葉を返し、全体に笑い声が広がる。

そしてお馴染みのキリンビールを片手に持ち、"キリンの関係者さんいませんか?大丈夫?"と更に笑いを誘い、気持ちの良いプシュ音をマイク越しに響かせる。キリン関係者の方はぜひCMをお願いしたいところだ。

ここで新メンバー、Daiki(Gt.)の紹介。"普段喋らんから自己紹介を!"とKoieの無茶ぶりが入る。
彼が元々いたバンド、HER NAME IN BLOODとCrossfaithの出会いを振り返り、人生とは何が起こるかわからない…としみじみ語る姿に、当時から彼らを知る古のファンもうんうんと相槌を打ちつつ、DaikiがCrossfaithと融合したことを東京ユニバーサルスタジオランドと形容したことに対しては、さすがのファンも首を横にかしげる。
この後すぐにKoieがDaikiのトークを終わらせたことに、また一笑いが発生した。

さてそろそろまた地獄のお時間だ。自己紹介トークの締めに、Daikiが次の曲へと誘導してくれた。
"みんな、人差し指と小指以外折って。メタルの時間です"
その言葉を皮切りに、会場が真っ黄色に染めあがる。Crossfaithで黄色といえば?そう、「Jägerbomb」のお出ましだ。MCの時間で回復した体力を、一気にこの一曲で持っていくように全員で走り回り、まるでJägerbombで酔っぱらっているかのようにフラフラになった。

"次の曲は、コロナ禍に作った曲です"
ということは、あいつが来る!!この一言で察した観客は腹の底から歓喜のうなり声を上げた。二人目のゲスト、Ralphが大股で闊歩しながら登場し、「Gimme Danger」のイントロが鳴り響く。スモークをまといステージ上で圧巻の存在感を放つ彼は、さながらRPGゲームのラスボスだ。
持前の低音でZepp Hanedaを震わせたRalphを見送り、Koieが呟く。
"あいつ今日一時間前に起きたらしい。仕上がりすぎやろ"

幻想的なイントロと共に始まるは「Scarlett」。ちなみに著者はScarlettがCrossfaithの曲の中で5本の指に入るほどお気に入りの曲なので、かなり高揚して死ぬほど叫んでいたことを覚えている。

この日はお笑いライブなのか?と思うくらい笑いが起きる頻度が高かった。
Scarlettが終わり余韻に浸っていると、"こいちゃん誕生日祝ってー!!"との観客の要望に、他の観客がおめでとー!!と口々に叫び笑顔と温和な空気が溢れる。

誕生日に絡めてKoieが一言。
"2/17は誰の誕生日ですか?うちのギター、Kazukiの誕生日です!"
このツアーファイナルの前日、2/17はKazukiの誕生日。続けてKoieがKazukiに言葉を求める。
"みんなありがとうございます"
"35になっても大勢の方に祝ってもらえて嬉しいです"
普段滅多に話さない他メンバーの声を聞くことができて、再び喜びと笑いに満ちるフロア。そして、"今日は色んな人が話してええね"と笑顔のKoie。幸せ空間すぎて、にやにやが止まらない。

しかし、満面のニコニコ顔から表情を切り替え、少しだけ真面目な話へと移る。先日脱退を発表したHirokiについてだ。
Hirokiがいなくなって悲しい気持ち、寂しい気持ち、それを我々が無理に消す必要はないと語るKoie。しかし、本人たちは何か月も悩み抜き、答えを出したため、既に前しか向いていないという。

"あいつがいなくなっても、あいつの思いや気持ちは、俺たちの曲に生きてます"
"この前も電話したら元気でした"

我々の持つ寂しさ、悲しさを塗り替えられるくらい、最強のCrossfaithを見せてくれると約束してくれた。であればもう安心だろう。こちらも覚悟はできている。我々はそれを信じて彼らについていくのみだ。

"Hiroki、Daikiの、そして俺たちの未来を、応援お願いします!"

彼らは我々の思いを受け止めてくれた。ならば次は、彼らの思いを我々が受け止める番だ。彼らの目指す未来を、我々も共に見ていこう。

"しんみりした空気はここで終わりにしましょうか、東京!!"

観客とCrossfaithの覚悟、決意が一つになった。と同時に空気が一変し、爆発音のような音と共に「Monolith」が始まり、Crossfaithへ各々の思いを届けるかのように力強く拳を握り、振り上げる観客の姿が目立った。

"この先に飛び立つ前に、俺たちの原点に戻っておきますか~!"
これはまた来るんじゃないか!?古のファンの期待のこもった叫び声が四方八方から飛び交う。その期待に応えるかのように「IF YOU WANT TO WAKE UP?」「Mirror」と豪華セットが続き、何十人、何百人の人が飛び上がり、凶悪かつ獰猛なサウンドの中に満開の笑顔を見せた。

"まだ2010年楽しみたいってー!?"
こ、これ以上あの頃を楽しませてくれるなんて、一体どうなっちゃうんだ~!?と心に住むトムブラウンが喚き始めたが、そんなことおかまいなし。「Blue」のギターが鳴り響き始め、観客は走り渦を作り、飛び跳ね、さながらフロアにオールブルーを作り出していた。

続く「Deus Ex Machina」でTeru(Prog, Vision)が指揮を執る。先ほどまでの海はどこへやら、そこにはダンスフロアが再度誕生する。ここでDeus Ex Machinaが来たということは?その通り。ライブも終盤に差し掛かり、ここで「Catastrophe」により観客全員を一気に破滅へ誘うという魂胆だ。

既に体力は数パーセントしか残っていない。それなのにCrossfaithは容赦ない。こんなところで「Xeno」を放り込まれたら、体力がないことを忘れて体が動いてしまうじゃないか。案の定後先考えず飛び跳ねてしまい、汗がしたたり落ちていることを曲が終わってからやっと気づいた。

全員が退場してからしばしの間を置き、白く光る腕輪のようなものを携えたTatsuya(Dr.)とTeruが現れた。二人のDJ&Drumソロの時間だ。ドラムンベースを彷彿とさせるリズムに、自然と体も頭も揺れてしまう。

自分の体力も残り少ないことを忘れ音楽に身を任せていると、Koieが登場し一言。
"誰か旗触れるやつおらん?"

ご存じだろうが、Crossfaithの旗はかなりでかい。でかいということは重量もなかなかあるだろう。しかし奇跡的に最前にそんな旗を振れる屈強なファンがいたらしく、Koieの鶴の一声で一人が旗振りに任命された。
その後はおそらく数名で担当していたのだろうが、結局彼らは最後の写真撮影まで休むことなく旗を振り続けていた。本当にお疲れ様ですとねぎらいたい。

そんな旗振りニキに笑いが起きつつ、曲は「OMEN」へとスイッチ。そして、"無茶ぶりなんすけど"とKoieが笑いながらTatsuyaに再度ドラムソロをリクエスト。先ほどはダンス味の強かったドラムソロだが、Koieと観客の要望に応えて、バスドラムドコドコ系(語彙力の低下は許してほしい)の心臓にガツンとくるソロを届けてくれた。

ところで、この日は昼間に代々木でAVESTが行われていたらしい。昼間は代々木、夜は羽田に来ている猛者たちも観客の中には大勢いた。

"ちょっと用事があって電話かけてさせてもらいますねー"
そう言うとおもむろにスマホを出してマイク越しに誰かに電話するKoie。2,3コールののちに出た通話相手は…昼間AVESTに出演していたcoldrainのMasatoだ。

代々木だよ。いま?え、無理だよ…じゃあマイク越しでやりますか!
とMasatoとKoieのやり取りが通話越しに生まれたかと思いきや、この二人にとってお馴染みのイントロが会場に響く。LINKIN PARKの「Faint」カバーだ。最初は本気でマイク越しで披露するのかと思い、え、どうやって?Masatoはカラオケにいるの?外だとしたら近所迷惑だよね?と真面目に思考を張り巡らせたのが恥ずかしい。

束の間の楽しい時間。とうとう終わりを迎える時が来たようだ。
ZEROと同じ青い証明で染まったフロアに、美しくも破壊的なメロディが鳴り響く。ツアーの最後を締め括るのは「Leviathan」。

"We see a light ahead"
Leviathanのこの一節に、この日のすべてが詰まっているだろう。彼らは前しか見ていない。新たな出発、Departureツアー。彼らが見せてくれる景色を、我々は待ち続けるのみだ。

とにかく、来年の2月をひたすら楽しみに、生き抜いていこう。


<セットリスト>
1. Departure
2. ZERO
3. Freedom
4. RX Overdrive
5. Countdown To Hell - feat.TAKUYA from SABLE HILLS
6. Kill 'Em All
7. Snake Code (Caribbean Death Roulette)
8. Madness
9. Jägerbomb
10. Gimme Danger - feat. Ralph
11. Scarlett
12. Monolith
13. IF YOU WANT TO WAKE UP?
14. Mirror
15. Blue
16. Deus Ex Machina
17. Catastrophe
18. Xeno
19. DJ & Drum Solo
20. OMEN
21. Faint - feat. Masato from coldrain
22. Leviathan


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