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1歳になったきみへ

「お誕生日おめでとう」
この言葉の重みを、今日ほど実感する日はありません。

2022年1月24日からまる1年後の今日も、きみがお母さんの隣で笑顔を見せてくれていること。
1年前よりも何倍も大きくなった身体で、お母さんに寄り添ってくれていること。
あの日と変わらずに確かな呼吸を続け、ぽかぽかの体温を保って、生きていてくれていること。
その奇跡を祝えること。

お母さんにとって、この日は人生で一番の記念日になるでしょう。


まだきみがお腹の中にいた頃

まだきみにはちゃんとお伝えできていないけれど、きみにはお兄ちゃんがいたの。
とても小さくて、かわいいお兄ちゃん。
でもお兄ちゃんの身体に病気が見つかって、お父さんとお母さんはたくさん話し合って、悲しいお別れをすることにしました。

そのあと1年くらい、待ち続けて、とうとうお腹に来てくれたのが、きみでした。

きみがお腹の中にいる間、もちろんとても嬉しかったのだけど、同時にとても心配だった。

ちゃんと育ってくれるだろうか?
健康な身体で生まれてくれるだろうか?
お父さんお母さんのもとにきて、この子は幸せになってくれるだろうか?

きみに素直に向き合うのが少しだけ怖くて、あまりお腹に話しかけたりもできなかった。
お腹の中にいる間、本当は日記をつけたりもしたかったのだけど、そんな気持ちを打ち明けるのが申し訳なくて。

でも、病院の健診のときに会えるお腹の中のきみの姿に、毎回とても癒やされて。
へその緒で遊んでみたり、ちょっぴり薄目を開けてみたり、にやりと笑顔を浮かべてみたり。
お腹の中にいるときから、今のきみのおちゃめな性格は現れていたの。

だから、だんだん大きくなっていくお腹を見て、「きっとこの子は大丈夫」「お母さんたちがこの子を幸せにしなきゃいけないし、きっとできる」って思えて、幸せがどんどんふくらんでいったんだよ。


やっと出会えたあの日

きみが生まれた日のことは、すぐに文章に書き残していた。

これはまだきみと病院にいた頃、お母さんがこの幸せな体験を忘れないようにって書き残していたものだったんだ。

お産は、たしかに痛かった。
でもやっぱり、きみに出会えた瞬間にきれいさっぱり忘れてしまったの。
達成感、充実感、これからの生活への期待。
全身ボロボロの状態のお母さんを包み込んでいたのは、きみに出会えた幸せただそれだけだった。

お腹の中にいた頃に、思ったようにきみに向き合うことができなかった名残からなのか、初めて目の前にしてみるきみのお顔はあまりにも新鮮で。
想像していたよりもずっときれいなきみを見つめて、人見知りみたいな気持ちになったり。
お母さんと息子なのにね、不思議な出会いだった。

入院期間を延長して、2週間小さな個室できみと二人きりで過ごして、授乳の練習をしたり沐浴にチャレンジしてみたり、小さな脚を持ち上げてお尻を何度も拭いたり。

突然の泣き声に驚いて、戸惑って。
不意に見せるふわりとした笑顔に引き込まれて。
上下する胸の動きに安心したりして。

親子で少しずつ足並みを揃えていく感じ。
不安と心地よさが入り混じって、時が止まったような空間。
きみ以外のことを考えることなんてできなくて、そんな贅沢な時間を過ごしながら、改めてきみを家族に迎えられたことを心から喜んでいたんだ。


一緒に歩いてきた日々

きみと過ごした時間については、これまでお手紙にして書き記してきたね。

これを機に、お母さんも読み返してみたんだ。
初めてのお手紙の頃、まだ寝返りもできなくて、泣き方も1パターンしかなかったきみが、今は表情豊かにいろんなことを伝えてくれるようになったね。

きみが教えてくれる、
「楽しいなぁ!」
「これ嫌だ!」
「何これ?」
「つまんないよ!」
「眠たいなぁ」
「へへへ、やってやったぜ」
「お腹すいた!」
それ以外の思いも。
こんなに多様な感情を、たくさんの方法で伝えてくれる今を、あの頃は想像することしかできなかった。
そう思うと、一緒に本当にたくさんのときを共有してきたんだって、再度実感したりする。

わからないことが少しずつ減っていって、また新しい世界に親子で入り込んで。
1つできることが増えては、また新しい挑戦にぶつかって。

子育てには終わりはない。
でももちろん大変なことばかりじゃなくて、嬉しいことも楽しいこともどんどん増えていく。
一緒にできることもどんどん増えていく。
新しい世界に、また一歩ずつ踏み出していく。
そんなことの繰り返しの中で、きみもお父さんお母さんもゆっくり大きくなっていくんだと思う。
親として、子供として、家族として。

1歳になったきみとは、まだ言葉でお話しできたことがないね。
お話しできるようになったら、またもっと大きく世界が広がるんだろうね。
今から待ちきれないよ!

きっときみは、この日々の中でお母さんの性格も少しだけわかってきたかもしれないね。
ちょっとしたことで心配になって、できないことにすぐ目を向けたくなって、結構泣き虫だし、だらしないところも多いし。

もっと大きくなったきみに、いつかお尻を叩かれるような日が来るかもしれない。
それくらいきみが頼もしい男の子になってくれるんじゃないかなって思うの。
こんなにも親孝行で、まっすぐで、笑顔の絶えないきみだから。

泣けちゃうなぁ。
きみがいてくれてよかった。
お母さんの人生に、きみという大切な宝物を迎えることができて、これ以上に幸せなことはないって言い切れるの。

そしてきみを、お父さんとお母さんの人生をかけて幸せにするって決意ができることも、お父さんとお母さんにしかできない大切なミッションだなって思っていて。

これからの日々も、いろんな感情に出くわしながら、愛ある時間を紡いでいきたいね。
家族みんな、まんまるで。


これからのきみへ

今年の夏、きみはお兄ちゃんになります。
おうちでも何度かお話ししているね。
お腹の中で育っている赤ちゃんは、まだきみのおててくらいの大きさだけど、すくすくと大きくなってくれているよ。

言葉がわからないなりに、最近はお母さんのお腹に顔を埋めてパクッと噛み付いたり、何かとお母さんのお腹のことが気になってるのかなって思ってるよ。
きみにはわかるのかな?
それとも兄弟同士、お腹のお外と中でお話しできているの?

つわりでやられっぱなしのお母さんは、最近特に感情が不安定で、きみを抱いてわんわんと泣き明かした夜もあったね。
お父さんがかなり助けてくれて、きみも明るく過ごしてくれていることが何よりの救いだけど、こんなカッコ悪いお母さんでごめんね。

まだきみは幼い、赤ちゃんぽさが抜けきらない今ではあるけれど、きっと弟くんか妹ちゃんを迎えられることをきみも喜んでくれるって、お母さんは信じてるよ。

そしてこれだけは忘れないでね。
家族が増えても、今までと同じ、お父さんとお母さんはきみが大好きで、何よりも大切な宝物なの。
この先どんなことがあってもきみの味方だし、お父さんとお母さんの人生をかけてきみを幸せにするから。


変わっていく生活も、今まで以上に楽しんでいこう!
大好きなきみへ。

お母さんより
2023.1.24.

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