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2017年 53冊目『発達障害』

発達障害という言葉は知っているのですが、ASD、ADHD、アスペルガー、サヴァン症候群など位置関係や違いがよく分かりません。

日経新聞で取り上げられていたので、興味を持って、手に取りました。

最近は、空気が読めない、人の気持ちがわからないと自分も発達障害かもしれないと精神科を受診する人が増えているようです。

配偶者から薦められて、来院する人も多いようです。

それに伴い、対人関係が苦手な人をすぐに「アスペ」と決めつける傾向も存在します。

発達障害について、初学者は、成人期の発達障害の代表的な疾患であるアスペルガー症候群などの「自閉症スペクトラム障がい(ASD)]および「注意欠如多動性障がい(ADHD)」の2つを知っておくと良いようです。

この二つは、まったく別物ではなく、複雑に関連しています。

一般の知名度とは異なり、ASDよりADHDの方がはるかに多いのも初めて知りました。

具体的には、ASDは人口の約1%、ADHDは5-10%と言われています。

発達障害についての大きな問題の1つは、診断の不正確さがあります。

それは過剰な診断と過少な診断の両方ともあるそうです。

典型的なものは、対人関係問題があるので、アスペルガー症候群(ASDの一種)と診断されているケースがあるのですが、統合失調症や対人恐怖症あるいはうつ病などでも類似の症状が出ますし、健常者においても珍しくありません。

つまり、対人障害だけで、発達障害というのはあきらかにいきすぎで、変わり者や風変わりな行動をとる人を即、発達障害と決める付ける風潮には注意が必要ですね。

逆にうつ病や精神疾患と診断され、発達障害を見逃され、間違った治療を受けているケースもあります。

いくつかの事例が載っていますが、発達障害専門のデイケアで社会復帰できるケースもあるそうです。

ASD,ADHDについての説明後、両者の共通点と相違点について学べ、サヴァン症候群などの天才的部分の事例についても学べます。

数名のアスペルガー症候群の殺人事件により、誤解が生まれた背景も学べます。

発達障害と犯罪や社会での受け入れ、日常での向き合い方も学べます。

とても学びが多かった本です。

▼前回のブックレビューです。


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