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お金に向き合うのは、しんどい。だって、ロックじゃないから。

お金に向き合うのは、本当にしんどいことだ。


こじれた家族関係に向き合うのと同じくらいの勇気が必要で、気が遠のく。謂わば腫れ物だ。


生きていくためにはいくらのお金がかかるのか?
自分はどれくらい稼ぎたいのか?

この問いをスパッと答えられる人は本当に少ない。


なぜこんなにも、私たちは「お金」が苦手なのだろう。



保険はロックと対角に位置する


昨日、人生で初めてファイナンシャルプランナーさんと話をした。私たち夫婦と同じく、個人で事業を営んでいる人だ。


恥ずかしながら私はほとんどの保険や年金に入っていないし、投資の仕組みもよく理解していない。

「(商売で)お金をどう稼ぐか」を考えるのは好きなのに、「お金をどう運用するか」を考えるのはどうも苦手なのだ。



なぜ苦手なのか。なぜ避けてきたのか。

そんなのはもう重々分かっている。




アラサーにもなって、青いことを言うけれど。

私は、人生設計なんてものは「ロックじゃない」と思っている。


マネープラン、ファイナンシャルプラン、ライフプラン、キャリアプラン。

保険や保障、計画というものとロックは対角関係にある。人生設計には、あまりにもロマンがなさすぎる。


お金に向き合うということは、ロマンじゃなく「現実」を見るということなのだ。




高校から大学まで音楽の道にいた私は、いつもお金がなかった。

楽器や機材、練習のためのスタジオ代、ライブ出演費、交通費。音楽のためにバイトをして、音楽のためにすべての給料をbetした。


バンドマンという生き物は基本的に貧乏だ。

実家の太さは意外に関係がない。「バンドマンのお金の使い方」はあっという間に貧乏になれてしまう。湯水のごとくお金を費う子供に、親はすぐ呆れる。



バンドマンは、情熱にすべてのお金をbetしてしまう。

「いい音」を鳴らすためにはお金がかかる。「いい音」のためなら、1ヵ月先のことなんて考えなくたっていい。今この時間、スタジオで鳴らす一音こそが重要なのだから。


お金はなかった。でも、毎月コツコツ貯金なんてしていたら、「いい音楽」には辿り着かないのだ。

鎖骨の下がドクドクと振動するような音楽は、バイト代を音楽と酒に全額使い込むような人たちが創っていくものだった。偏見、偏見だけどさ。





そんな感覚は、音楽を辞めた社会人になってからも続いた。

「ロックだと思うこと」にはジャブジャブお金を使うのに、「ロックだと思わないこと」には一銭も出すことが出来なかった。


「ロックだと思うこと」は、お酒と恋愛と仕事。
「ロックだと思わないこと」は、保険や保障、計画だ。


ロックであるとはどういうことなのか。結局はロマンの有無だ。酔えるかどうか?がお金を使う基準になっていたんだろうと思う。



保険や保証や計画は、酔えない。退屈なのだ。



しっかり人生設計しているバンドマンなんて、至極つまらない。


考えてみてほしい。

これから武道館を目指すバンドマンが、しっかり生命保険に入って個人年金にも入って積立NISAなんてしてたら、なんかもう、めちゃくちゃカッコ悪いのだ。


いや、一周回ってカッコいい?いや、やっぱりそれはない。そんなの、ロックじゃないのだ。



現実に向き合うことの方が、むしろロックなのかもしれない


FPさんとのミーティングに話を戻す。


もともとこのミーティングは、住宅購入費の妥当性、つまり「私たちっていくらのマンション買えるの?」を考えるための相談の時間のつもりだった。


だが、「私たちっていくらのマンション買えるの?」はフリーランス夫婦の私たちにはそんなに単純な話ではなかった。


個人事業主はローンが組みにくい、という巷の噂は、私たちには大きな影響がなかった。個人事業主に、国は案外優しい。うまいこと制度を利用すれば問題なくローンを組めることは分かった。


問題はそこじゃなく、いつ稼げなくなるか分からない不安定さだった。


事業転換をした場合のこと、夫婦どちらかが働けなくなってしまったときのこと、子どもが生まれたときのこと。

自分が身体を動かさなければ一銭もお金が生まれない個人事業主は、やっぱりちょっとだけ人生が不利だ。

自由の代償は、一人きりのときじゃなく、家族を持つことでギュッと近付いてくる。


決してFPさんに脅された訳ではない。淡々と数字が表示されるシュミレーターにゾッとしてしまっただけだ。



3時間のミーティングで頭を沸々させたあと、私は


ずっと好きなことをして生きていくために、
お金に向き合わなきゃいけないのかもしれない。


とコーヒーを啜りながら想った。



独立1年目は「どう稼ぐか」を考えるだけで良かったのだ。

むしろすべての起業家はソコからな気がする。1にも2にもお金を稼ぐ経験が必要だから。ロマンを追うくらいがちょうどいい。



でも、次のステップは、好きなことでご飯を食べ続ける生活を守ることなのかもしれない。


好きなことで稼ぎ続けること。
自由を勝ち取り続けること。


「武道館で演奏すること」じゃなくて、「武道館で演奏し続けること」を追う。その土台をつくることこそが、今の私が夢中になるべきものなのかもしれない。



私にとっての「武道館での演奏」は、


敬愛するクライアントさんと深い対話をすることで、
自分の血肉を言葉にして文章を綴ることで、
自己表現から新しい出会いを産み出すこと。


どれひとつ今後やめるつもりはないし、このステージに立ち続けるためには、豊かさと時間がなければならない。


だから、この生き方を守るために、私は「お金」に向き合うことを決めた。



一人じゃ怖いから


お金に向き合うのは、一人じゃ怖い。これまで自分が見てみぬふりをして蓋をしてきた、ゲスな部分を見に行かなきゃいけない。


だから、一緒に考えてくれる人をつけることにした。今回話を聞いてくれたFPさんに、「もっとお金のことについて教えてください」と連絡をしたのだ。もう、お金についてカマトトぶっている暇はない。



起業にあたってコーチを雇ったときも、似た気持ちだった。


あのときはもっと、一人じゃ怖いという気持ちが強かった。「大丈夫だよ」って背中を押してほしいし、「大丈夫だ」と思える知恵を分け与えてくれる存在が欲しかった。

そして、強がることを手放していた。



また私は人を頼ることができた。
前に進んでいく気しかしない。

自分が豊かになることを応援してくれる味方は、多い方がいい。


私もいつか、あなたの味方になれる日がくるかもしれない。

そのときは、連絡、待ってます。



【中野あすかについて】
替えの利かない、「ただの話し相手」として。個人でライフコーチをやっております。クライアントさんとお話ししたり、文章を書いたり、ラジオでひとり喋りをしたりしてのんびり生きています。

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