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第3章 発展途上国の壁  20. 社会適応の準備ができない子供たち

▲授業風景 左端:オマールくん〔自動車整備学科〕(17歳)

 ジブチの高校生ってどうなんだろう? みんな個性があるし、日本と同じように、まじめな子もいれば、そうでない子もいる。

 アリサビエ職業訓練学校自動車整備科も例外ではない。

 毎日元気に学校に来ているオマールくんがいるが、学校ではいつも落ち着きがないのが特徴。どう落ち着きがないかというと、みんなと同じことをするのがちょっと苦手。

 例えば、授業をする先生(私)の話が面白くなかったりすると、机の向きを変えて、聞かなくなって遊びを始めてしまう。勉強したい生徒にとっては迷惑だ。

 この落ち着きのない原因って、多分、幼稚園や保育園に行っていない子に多いのではないかなぁ。幼稚園や保育園に行っていない子が、いきなり小学校に行くと落ち着かなかったりする。それは、その子が社会に参加する練習をしていないからで、幼稚園や保育園がちょうど、子供に社会性を教える場になっているが、そのような機会が与えられなかった子は社会性を身につけないまま育ってしまうからだと聞いたことがある。

 では、ジブチではどうか? 多分、学校に行けない子もたくさんいるだろう。だから、社会性を身につけないまま大人になってしまう人もたくさんいるだろう。

 ジブチの生徒たちを見ていて、幼稚園/保育園→小学校→中学校→と段階的に進めていく教育の意味をあらためて感じた。

 大切なのは、教育のプロセスを定着させることだ。

 現地に学校の建物を作って、子どもを建物に入れれば教育問題は解決!なんて簡単な話ではない。

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