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【旅の記憶】島の散策とにぎやか有料トイレ(旅のなかの旅 ブラーノ島②)

いよいよブラーノ島へ上陸。のっけから鮮やかな建物たちがお出迎えしてくれる。
少し歩くと湾曲した水路のあるメインストリートと思われるところへ出た。
この水路に沿って可愛らしい家が軒を連ねている。
まるでレゴブロックを積んだような建物は、外壁とはまた別の色で窓枠やドア、鎧戸が塗られている。
訪れた日は年末だったが、クリスマスの飾りを残している家も多い。
更には二階の窓にロープを渡し、洗濯物をずらりと干している家も沢山ある。
下着などもお構いなしで最初はどぎまぎしたが(だって青い家に赤い下着とか)、
こんなふうに干している人たちは、洗濯物も風景の一部として眺められたり写真に撮られたりすることに慣れているのかもしれない。
干されたシーツの色が外壁に色を付け加えたりもしてユニークだ。
島には猫も多い。こののんびりした島で暮らしている猫は、野良でもふくふくと健康そうに見える。

島はちょっと歩けば反対側に出てしまうぐらいの小ささだが、路地の一つ一つが絵になり、全く飽きることがない。
なのに途中で擦れ違った日本人グループが「こんな小さかったらすぐ見終わっちゃうね」と喋っていて、軽いショックを受ける。
そんなそんな、なんでなんで?と切々と訴えたい気持ちになってしまった。

写真を撮りながらぐるぐると歩き回っている内に、やっとお昼前にはレストランやお土産屋が店を開け始める。本当にゆっくりしたものだ。
とは言えやはり年末で閉まっている店もあるため、かなり限られた数のレストランを物色し、結局立ち食い式ピザ屋で立ったままの昼ご飯。
お店の人は親子で経営しているような雰囲気で、地元の人も買いにきている様子だ。
イタリアではフィレンツェの紙製品の店やヴェネツィアのエクスリブリスの店など、楽しそうにお店を切り盛りしている人たちにたくさん出会った。
もちろん苦労もあるだろうけれど、日々の仕事を楽しんでいるように見受けられ、純粋にいいなぁと感じることが多かった。
このピザ屋もまた、その一つだ。

さて、腹ごしらえが終わったら、今度はトイレに行きたくなる。
ブラーノ島でトイレとなれば、これはもう島の中心にある有料トイレのお世話になるのが手っ取り早い。
このトイレ!他の建物同様、鮮やかなブルーの平屋なのだが、入口が自動ドアでびっくり。
「わっ!」と驚いたその驚き具合を中にいた係のおばさまに笑われてしまう。
この人自動ドアも知らないのかしら、と思われていないことを祈る・・・
そのおばさまに使用料1.5ユーロを支払うのだが、おばさまはちょうど知り合いなのだろう、別のおじさまとお喋りしながらトイレの番をしているという具合。
いや、何もトイレ内で雑談しなくても・・・
個室は清潔で言うことなしだが、個室内まで二人の喋っている声がダイレクトに響いてくるし、
何の会話なのか途中で口笛まで吹き出す始末。落ち着かない・・・苦笑しつつトイレを後にした。

更に島を散策すると、いろいろなものに出会うことができる。もう今にも倒壊しそうな傾きを見せる、ひょろ長い教会の鐘楼。
昔はレース編みのさかんな島だったとのことで、繊細なレースが売られているお土産屋。
カラフルな建物を絵画や立体などのアート作品にして売るショップ。
島の端へ出ると、遠くに雪をいただいた山脈がうっすら見えた。方角がわからず、あれが一体どこの山脈なのかわからなかったのは残念だった
(スイス方面だと思うのだけど、グーグルマップで後からブラーノ島を辿ってみても、確証は得られず)。

予想通り散策の途中からは青空が広がり、絶好の撮影日和となった。
それなのに、ものすごい枚数撮影したり、使ったことのない撮影モードを試したりしたせいか、充電も容量もピンチとなってきた。
予備として携帯電話のカメラも駆使し、振り返れば今回のイタリア旅行で一番たくさん写真を撮った場所となったのだった。

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