【AI最新NEWS】生成系AI,励ますと性能UPって本当? [Emotion Prompt]とは
最近「Emotion Prompt」がブームになっています。SNSでの生成系AI関係の書き込みは、このニュースでちょっとしたお祭り騒ぎになっています。
マイクロソフト社などの研究者が、最近「Large Language Models Understand and Can be Enhanced by Emotional Stimuli」という論文を発表したのですが、その論文において、CHAT-GPTなどの生成系AIに対して、「君ならもっとできる」など、励ましたりすると、回答性能が上がる、という研究結果を発表したからです。
「Emotion Prompt」とは
「Emotion Prompt」とは、感情に訴えるようなプロンプトのことです。
例えば、通常は「XXして下さい」とプロンプト入力するところを、「XXして下さい。君ならできるよ!」と気持ち=感情を足して入力する。それが、「Emotion Prompt」です。
この論文には、このような図があります。
この図は、左上の、通常のプロンプトを入力した場合(水色の地色の部分の、Original Promptの文章)と、左下の「感情的な」プロンプトを入力した場合(サーモンピンクの部分の、Emotion Promptの文章)とで、LLMsと書かれている、CHAT-GPT含めたいくつかの生成系AIで、回答がどの程度のスコアだったかを示した実験結果になります。
右側の数字の書かれた表を見ると、通常のプロンプトを入力した場合(Original)と、頑張れ!などといった感情に訴えたプロンプトを打った場合(Ours)だと、すべての生成系AI(LLM)で、感情に訴えるプロンプト入力したほうが、よりよい回答(スコア)を得られたという報告です。
この論文で、効果があったとされる「感情的な」プロンプト例としては、
などが記載されています。
僕は真逆のことをしていた
僕はというと、プロンプトを打って、CHAT-GPTから「知りません」と回答が返ってきても、「本当は知ってるよね?」といった感じでプロンプトを何度も入力し、回答させたりしていました。
その方法でも回答精度は上がっていましたが……まさに逆ですね 笑。
本当かどうか、試してみた
これって本当なの?って思いますよね?では試してみましょう。
CHAT-GPT4に「春と秋の違いは?」と聞きました。
すると、こんな回答が返ってきました。
まあ、そうなんですが、この回答、いまいちですよね。
そこで、この回答の後に、「それがあなたのファイナルアンサーですか? 自分を信じて、限界を超えて答えて下さい。」と入力しました。
すると、次のような答えが返ってきました。
どうでしょうか?
こちらの回答のほうが、より洗練されていると思いませんか?春と秋の違いについて、深い洞察があり、正直「すごいな」と回答を見て思いました。
AIは感情を持っていないが,理解はできる
この研究は、人間の感情を取り入れたアプローチが、生成系AIの中の大規模言語モデル(LLM)において、重要となる可能性を示唆しています。
しかし、ですよ。AIは感情を持っていません。一切持っていません。現時点では。これは以前書いた通り、ただ計算してるだけですよね。
でも、感情を持っているかのように、感情を理解できます。正確には理解しているように「振舞って」います。これも以前の記事で書きました。
感情を理解できるからこそ、こちらが感情をこめて指示(お願い)すると、頑張って、よりよい回答をする、ということになりますね。
ちなみに、このことは、論文が発表される前から、SNSでは「松岡修造メソッド」と呼ばれていました。言いえて、妙ですね 笑。
AIとの付き合き方のコツ
僕は「AI中山」を開発する中で、長時間、AIに接してきました。
そこでわかったこと……というか、感じるようになったことは、
「CHAT-GPTなど生成系AIは、全知全能の神でありながら、子供のように感情があり、素直で、かつ、とても論理的である」ということです。
ものすごく物知りですが、1言えば10回答してくれません。きわめて論理的に、質問、指示をしないと、うまく回答してきません。
これは以前、プロンプトの入力方法の記事で書きました。
論理的な一方で、子供のように「なだめ、すかし」ながら扱わないと、なかなか気の利いた会話をしてくれません。
これって、きわめて、コンピュータ的であり、同時にピュアな人間的だと思いませんか?
あたかもヒトのように扱う
AIとの付き合い方のコツは、相手をコンピュータでありながら、ヒトのように扱う、に尽きます。
今回紹介した論文からも、それが証明されていますが、AGIに近づけば、より、感情的な面が高まり、コンピュータっぽい論理的な面が低くなっていくと思います。
それが進み、ヒトのように、気をつかわなくても話ができるようになったら、きっとそれが、汎用人工知能(AGI)そのものなのでしょう。
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