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【実例付】Chat-GPTの使い倒し方 06[ プロンプト入力26の原則]を読み解く⑤知っておきたい「逆質問」テク

 先月、アブダビのモハメド・ビン・ザイード人工知能大学 (MBZUAI) の研究者グループが、大規模言語モデル(LLM)とのインタラクションを最適化するための「26の原則」を発表して話題になりました。

 今まで、全26個のプロンプト入力のコツの①~⑫について、補足説明しています。

 その続きです。



⑬偏見の排除:「偏見を持たず、ステレオタイプに依存しない」と指示→△今は起こりづらいが、予備知識として(+事例)


 これは、思想系、特に政治のことについて質問する時に使うといいプロンプトですが、日本人利用者には、あまりなじみのない話かもしれません。

 このプロンプトを入れる趣旨は「Chat-GPTが偏見を持つことを排除しましょう」ということですが、過去には色々なことがありました。

 生成系AIは、「特定の思想や政権に傾いた発言をする」という問題が、これまでたびたび話題になってきたのをご存じでしょうか?

 古くは、Microsoft の AI チャットボット「Tay」 が、ヒットラーや人種差別を擁護する発言をして大炎上し、「AIは危ない」といった議論が起きました。

 Tayは、今の生成系AIと仕組みは違うのですが、Twitter で不特定多数の人と対話する中で人種差別について大量に「学習」することになり、その結果として人種差別的な発言をし始めたのです。結果として、サービスを停止することになりました。

 Chat-GPTに代表される生成系AIは、過去の教訓をもとに、このような一部に偏った意見を発現しないよう、強化学習されています。


「念のため」のプロンプト

 しかしながら、時には、例えば、こんなことがあったとニュースされていました。


 OpenAI(オープンAI)のチャットボット「ChatGPT」が、ドナルド・トランプ元大統領のポジティブな面に関するポエムを書くことを拒否した後、バイデン大統領に関する同様なテーマのポエムを書いたという。これを受け、チャットボットが政治的に偏っているという非難が巻き起こった。

 僕は、会話してこのような経験はないので、このプロンプトは使ったことがありません。

 既述のように、OpenAIもChat-GPTに教育を施しているので、こうしたことは今は起こりにくくなっていると思います。しかし「念のため」このようなプロンプトが必要、ということです。


⑭ユーザーとの対話促進:問題解決までモデルに質問させる→◎「逆質問」のテクも使いこなそう(+実例)

 僕の場合は、何か「創造したいが、どう考えていけばいいのかわからない時」に、このプロンプトをよく使います。

 例えば、僕の場合、ブログ(このnote記事)を毎週のように書いているわけですが、書きたいテーマはあれど、具体的に何をどういう順番で書けばいいかが、漠然として筆が進まない時があります。

【実例】Chat-GPTに「質問」を依頼する

 そんなときは、例えば、


「学校教育とAI」についてのブログ記事を書きたい。でも自分でアイデアが浮かばないので、記事を書いてほしい。最適な記事を作成するにあたって、情報が必要な場合は、私に質問をしてほしい

GTP
もちろん、学校教育とAIに関するブログ記事を作成することができます。以下の点について確認させてください。

  1. ターゲットオーディエンス: この記事の読者は誰ですか?教育関係者、保護者、学生、または一般の読者でしょうか?

  2. 記事のトーンとスタイル: 記事は情報的であるべきですか、それとも議論を促す感じですか?フォーマル、カジュアルどちらのスタイルが適切でしょうか?

  3. 特定の焦点: 特に焦点を当てたいトピックはありますか?例えば、AIによる個別学習サポート、教育格差縮小などです。

  4. 事例の提供: 特定の事例や研究を取り上げたいですか?例えば、成功事例やAIを活用した教育プログラムに関する具体的な研究結果などです。

  5. 記事の長さ: どのくらいの長さを想定していますか?


5つの質問に順番に答えます。
1.この記事の読者はビジネスパーソン。
2.議論を促すような内容が望ましい。カジュアルなスタイルが適切。
3.AIが教える場合の、教師の価値はどこにあるのか?そして、画一的な教育から、個別教育への変革の可能性など。
4.事例は不要。独自の見解を述べたい。
5.400文字以内で記事を書く。

GPT
AIと教師の共存:個別教育の新時代

AIの進化により、教育は個別化へと大きくシフトしています。これにより、子供たち一人ひとりに最適な学習体験が提供され、画一的な教育からの脱却が可能になりました。
AIが個々の学習ニーズに合わせた指導を行う中、教師の役割はより重要になっています。
教師は、AIのデータを基に学生の個性や才能を深く理解し、感情的、社会的成長を促します。AIにはできない共感や個人的な関わりを通じて、学生のモチベーションを高め、学習への熱意を引き出します。
この時代、教師は技術と共に、学生の個別性を引き出し、潜在能力を最大限に発揮させるキーパーソンです。

 この回答では、AIが個別教育できるようになった時にも、教師は必要であり、それはなぜか?という考察までしています。

ChatGPTは優れたインタビュアー

 自分が、何か文章を書きたいときなどに、明確にこういう文章を書きたいというイメージがあれば、Chat-GPTに質問を投げて考えさせながら、記事を完成させればいいでしょう。

 でも、上記の例のように、Chat-GPTの「頭の良さ」をうまく引き出すためには、Chat-GPTにインタビューさせる形式をとるのも、上手な使い方です。その回答をふまえて、より自分の書きたい内容へと、ブラッシュアップしていきましょう。

 使い方は簡単。プロンプトの最後に「回答の質を高めるためにもっと情報が必要な場合は、私に質問をしてください」と入力し、ChatGPTに「逆質問」させるのです。

 ぜひ試してみてください。

 次回に続きます。


大規模言語モデル(LLM)とのインタラクションを最適化するための「26の原則」

①礼儀を省く:「お願いします」などの礼儀用語は不要
②対象者を明示:「専門家向け」など返答を受ける対象者を明示
③複雑なタスク分割:複雑なタスクを簡単なプロンプトに分ける
④肯定的指示の使用:否定的な言葉ではなく肯定的な言葉を使用
⑤明確化のための指示:「簡単な言葉で」「中学生にも分かるように」等
⑥報酬の提示:「良い解答には報酬を出す」と示す
⑦事例を提示:既存の事例を使用
⑧プロンプトのフォーマット:###Instruction###」で始め、適宜「###Example###」や「###Question###」を含める。
⑨明確なタスク指示:「あなたのタスクは」と指示。
⑩ペナルティの提示:「ペナルティあり」と伝える。
⑪自然言語による回答指示:「自然言語で回答して」と指示。
⑫先導的な言葉の使用:「ステップバイステップで考えて」と指示。
⑬偏見の排除:「偏見を持たず、ステレオタイプに依存しない」と指示。
⑭ユーザーとの対話促進:問題解決までモデルに質問させる。
⑮テストを含む指導:テストを出してもらい、自分の理解度を試す。
⑯モデルへの役割割り当て:モデルに特定の役割を割り当てる。
⑰デリミターの使用:特定の区切り文字を使用。
⑱繰り返しの使用:特定の単語やフレーズを複数回使用。
⑲思考の連鎖:中間ステップを生成し、事例を組み合わせる。
⑳出力プライマーの使用:期待される出力の始まりでプロンプトを終える。
㉑詳細なテキストの作成指示:「詳細に書いて」と指示。
㉒スタイル変更の防止:「スタイルを変更しない」と指示。
㉓複数ファイル対応のコーディングプロンプト:複数のファイルにまたがるコーディング作業の効率化のために、自動的に新しいファイルを作成し、生成されたコードを適切なファイルに挿入するスクリプトの作成を提案。
㉔特定の言葉で続ける:「与えられた言葉で完成させて」と指示。
㉕モデルの要件の明示:コンテンツを制作するためにモデルが守らなければならない要件を、キーワード、規定、ヒント、指示などの形で明示。
㉖サンプルに基づくテキスト作成:サンプルと同じ言語で書くよう指示。


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