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「AIエージェント」がもたらす未来 -仕事も出逢いも変わる

 「AIエージェント」という言葉を、いろいろな場所で聞くようになりました。そして僕も「それって何ですか?」という質問をよく受けます。

 まさに、今年から来年にかけての生成AIのトレンドの1つが「AIエージェント」機能の発展です。

AIエージェントとは

 「AIエージェント」を簡単に言うなら、代理人として、自分の代わりにタスクを実行してくれるAIです。

 例えば、参加者が社内外に10名ほどいる会議のスケジュール調整、というのは、結構な手間です。

 スケジュール管理にMS365などのグループウエアを使っていたとしても、参加者全員のスケジュールを横に並べて、かつ社外のメンバーの予定を合わせて日時を決める。さらに会議室を取ったり、入館申請をしたり……。

①社内の会議参加者全員のスケジュールを横に並べる
②全員が空いている日時をいくつか見つける
③参加者全員に、この日時で会議を入れていいかの確認メールを送る
④返信を待ち、全員の返信を待って、ダメなら再度スケジュールを考える
⑤候補日時が決まったら、取引先の人に会議依頼のメールを送る
⑥取引先から、ダメとの連絡が来たら、再度スケジュール調整する
⑦上記③~⑥を最悪、何度も繰り返す
⑧自社ビルの入館案内をする(QRコードが発行される)
⑨社内に案内メール、取引先にQRコードを送付する

 「自分の代わりに誰か、スケジュール調整、会議室の予約と、取引先の人の入館申請と、案内メール出しを代行してくれないかな」と誰もが思うでしょう。

このタスクを全部AIがやってくれたら……楽ですよね。

 AIエージェントとは、こうしたタスクを代わってやってくれる存在といえば、わかりやすいと思います。


AIエージェント開発ツールの登場&作成のイメージ

 生成AIの進歩に加えて、最近、Difyや、COZEなどといった、AIエージェント機能を簡単に作成できるツールが登場してきましたので、ようやく、AIエージェントが気軽に作れる時代になりました。

 Difyだと、こんな感じで、AIエージェントが開発できます。プログラミングは不要で、やりたいことを順々に線でつないでいくことで、AIエージェントが簡単に作れます。

Difyの開発画面

 上記の会議日程調整業務をDifyで書くとすると、

 会議参加者をリストアップ
→各人のスケジュールを参照
→全員空いている日時を見つける
→その日時で空いている会議室を会議室予約システムから見つける
→関係者にメールをする...

といった業務を線でつないでいって、順番に実行させるイメージです。

 こうしたAIエージェントの作成ツールについては、別の記事にしたいと思います。


エッジAI&リコール機能が転換点

 最近、Copilot+PCが登場したり、iPhoneに「Apple Intelligence」が搭載されることが話題になってます。

 こうした、パソコンやスマホなどに搭載されるAIのことを、「エッジAI」と呼びますが、このエッジAIが、今後、AIエージェント機能を飛躍的に向上させると僕は思っています。

 以前、Copilot+PCについて記事を書きました。

 この記事の中で、Copilot+PCの「リコール機能」について、これは、AI業界のゲームチェンジになる機能であるというお話をしました。

「リコール機能」は、PCが、どのような画面で何をしていたのかを、すべて記憶して表示する機能です。最近セキュリティを危惧する意見が多出したせいで、リリースが遅れていますね。

 「リコール機能」は端的に言うと、僕が朝オフィスに来て電源を入れて、オフィス貴社時にシャットダウンするまで、僕がパソコンで何をしたかを記憶できるということです。

 すなわち、僕の仕事そのものを、毎日AIが記憶して再現できる可能性が見えてきませんか?


近未来に起こりうること

 今のところはまだ、そこまで自動化はできません。ですので記述のとおり、DifyやCOZEなどのAIエージェント作成機能を使って、自分で開発しなければなりません。

 例えば、先ほど書いたように、会社での会議スケジュール調整をしたければ、DifyなどのツールでMS365にログインして、次に、指定された人のスケジュールを見に行って、空き時間を見つけて……という動作を、Difyなどの開発画面に自分で、記載しなければいけません。

 そう、まだまだ面倒なのです。なぜなら、AIには、僕たちがどういうスケジュール機能を使っているのかも、ログインIDも、取引先のメールアドレスも把握できないのですから。

 しかし、近い将来、パソコンやスマホに搭載されているエッジAIが、僕たちの毎日している仕事を観察、記憶すれば、状況は変わります。どのスケジュールソフトを使ってるかも、取引先のメールアドレスも知っている。だから、そこから取り出しすことが可能になるのです。

 そうすると、誰でも簡単にAIエージェントを使いこなせる時代が来ます。


「たまごっち」的なAIアバター育成ゲーム登場?

 その昔、たまごっちというゲームが流行りましたが、自分のAIアバターを育てるゲームも作れそうですね。

 普段自分が使うパソコンとスマホのエッジAIにが、AIアバターを育ててくれる、そんな世界です。

 そうすることで、自分のAIアバターが誰でも持てる時代が、そう遠くない未来にやってくるでしょう。


「AIアバターを持つ」時代-出逢いの形も変化?

 そんな時代が到来すると、色々なことが変化すると思います。

 例えば、自分にかわって、AIアバターが、面接官の立てたAIアバターと面談して、お互い条件が整ったらリアルに合って面接することで、効率的な転職活動ができます。

 また、マッチング系でも自分の代理にAIアバターを立てて、まず相手のAIアバターとネット上でデートして、お互い相性がよさそうならリアルのデートの約束をする、など。

 Z世代はタイパ(タイム・パフォーマンス)を重要視して、効率的な出会いを求める人が多いので、今の時代に沿った、新しい恋愛や、友達を作るプロセスが、出てきそうですね。


人付き合いの概念も変わる

 実際、昨年、スタンフォード大学(Stanford University)とグーグル(Google)の研究チームが、個人の性格を持たせた25体のAIエージェントを作成し、仮想の街に解き放つ実験をしています。

 すると、気が合うアバター同士でパーティを開いたり、カップルになったりしたそうです。

 自分のAIエージェント(=AIアバター)を誰もが持つ時代になれば、こうした、AIアバター同士で交流する世界が当たり前になるのかもしれません。

 面白くもあり、少し怖い気もします。しかし、AIが進歩すれば、十分あり得る世界であり、こうした世界が到来すれば、「人付き合い」という概念そのものが大きく変わるでしょうね。


AI中山の再開発

 こうしたエッジAIの登場を受けて僕が思ったこと、それは、以前開発してオンライン会議に参加させていた、AI中山の再現、再開発です。

 昨年開発した時に、自分に似せた会話をするために、ファインチューニングという手法で、毎日、学習させてました。

 具体的には、僕のオンライン会議の発言から、Q&A形式で、こう聞かれたら僕はこう答えるというデータを1セットにして、オープンソースのLLMに、僕の会話データーを学習させてました。

 この学習(ファインチューニング)は結構、手間でした。

 なぜなら、オンライン会議の動画を文字起しして、その会話の中から、Q&A形式のデータセットを抜き出して、学習用に整えて、そのデーターを、AI中山のLLMに、毎日、学習させるのにとても時間がかかったからです。

 でも、エッジAIが出てきたことで、この学習(ファインチューニング)作業を自動化できる可能性が出てきました。

 つまり、パソコンに搭載されているエッジAIに対して、「僕の毎日のオンライン会議を文字起しして、僕が誰かの質問に回答している部分だけを切り取って、AI中山に学習させて!」と、依頼できそうだからです。

 そうなると、毎日、僕はパソコンで仕事したり、誰かとオンラインで会議やチャットをするたびに、パソコンのエッジAIが、僕のAIアバターであるAI中山を毎日、学習させ、より僕に近づくように、AI中山を育てる……。

 そんなことが実現できる日は、遠くない気がしています。

 もう少しエッジAIとAIエージェント機能が進歩したら、自分のAIエージェント、AIアバターである、新AI中山を作ってみようと思っています。






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