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退職者を送り出す心境の変化

お客様のところで年内に退職者が出ることになりました。
私は退職手続もするので、退職する人と個別で話す機会があります。送り出す側としては寂しさはあるのですが、ここ最近は少々心境も変化しています。


何とか辞めないように必死だったころ

会社員時代に採用はやっていましたので難しさも承知しているつもりです。
中小企業でしたが毎年数名ずつ新卒採用し、学生のころから母親のような気分で対応してきました。入社後は常に顔色を気にして元気がなさそうであれば声をかけたり、食事に連れて行って悩みを聞いたりたくさんのことをしてきました。

そんな感じでしたので内定受託後の辞退者は0でしたし、3年以内の離職も0でした。
コミュニケーションを一番に考えてきましたし、小さいけれどいい会社であることは自信があったので、そういう背景で若い人たちと接してきました。

しかし時代が変化してきたのか?というか、自分が正しいと思っていることが必ずしも相手のためにならないということを理解したからかもしれません。これが価値観の多様化ということなんだと思います。

もう何年前か忘れましたが、新卒で入社した男性が結婚を考えるようになり、相手のご両親から「中小企業に勤めているのは・・・」と言われたそうで、彼は自分なりに勉強して大企業に転職活動をしました。その結果採用されることになり退職することが決まりました。

その時言われたのは、「会社のこと嫌いじゃないです。これからもっと学べることもあると思っていたし。でもせっかく新しいところでチャンスができたのでチャレンジしてみたい」ということでした。

大企業が全てだとは思わないけど、彼は自分なりに自分の成長とプライベートを考えて行動したんだなと思いました。そう考えると寂しさはあるものの、喜んで送り出してやりたいと思いました。

無理に引き留めるのはマイナス

先日こんな記事を見つけました。

ここに書かれている3つのデメリットは納得できるもので
・無理に引き留めてもモチベーションダウンを起こす
・腐ったミカンになって周りへの悪影響
・そもそも社員の意思を会社はコントロールできない
とありました。

ただ後半に引き留めて良いケースというのがあります。本当に当人にとって退職が良いとは限らないという場合です。

これはよくわかります。これまで若手の退職者を見てきましたが、転職することで自分がどうなりたいか明確な人はしっかりやっているようです。ただただ今の環境に不満がある。だからここから逃げ出したい。もっといいところがあるはず、というケースはほとんどが失敗しています。

不満はあるかもしれませんが、ブラック企業ということでないなら、自分がどういう風に成長してどうなりたいのかを考えて、それが本当にその会社では実現できないのか?しっかり上司と話し合うことが必要だと思います。

上司も面倒くさがらず、しっかり部下のそういう気持ちを受け止めて対話することが必要です。

厳しい時代でやるべきことをやる

とは言うものの、一度退職を考え出すとなかなか思いとどまるというのは難しいとも思います。そんな時は一度外へ送り出してやることが必要なのかなと最近は思っています。

この記事の最後に、
会社の目指すものと社員のニーズが、ずっと合致し続けることはできない。
社員という人材(人が持つ才能)を自社が独占でき資産と勘違いしない。

とありました。

価値観の多様化した時代と言われますが、だからと言って社員個人のニーズをすべて会社が叶えることはできません。会社には会社の進む方向や目標があります。そこに向かうためにどんな人材にどんなふうに活躍してほしいのか、会社はことある毎に社員にしっかり示す必要があるでしょう。

「成長」は自分で言語化する

最近は「成長できる環境」というワードをよく聞きますが、成長できる環境は「会社が成長させてくれる」ではありません。
自分がどう成長したいのか自分のビジョンは自分で言語化しないと本当の意味で成長はないと思います。

会社はこれを考える機会をしっかりとつくり、上司は会社が示す目標と、部下が考えた成長の重なるポイントをしっかり示してあげることが必要ですね。
そのために常日頃から1on1のようなコミュニケーションの場をつくることも重要ですね。

とは言っても・・・やっぱり採用は難しいです(汗)



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