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アフリカビジネスモデル図解vol.02「POWERSTOVE/ナイジェリアの自然と家計に優しい革命的調理ストーブを提供」

アフリカで会社とNPOやってます、ナイケルこと内藤獅友(Naikel0311)です。


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アフリカビジネスモデル図解とは、アフリカ歴6年目で会社とNPOを経営している僕が、アフリカの主にスタートアップを中心にビジネスモデルを図解化し、そのユニークかつビジョナリーなイケてるアフリカ起業家をご紹介するシリーズです。

第二回は「POWERSTOVE」というナイジェリア発のスタートアップ企業です。

こちらに全てまとめたマガジンがございます。


登場人物(企業・市場)は大きく分けると2つです。

POWERSTOVE社一般家庭(ユーザー)です。


POWERSTOVEとは何か?

ビジネスモデル図解の解説に入る前に、社名であり商品名でもあるPOWESTOVEについて説明をする必要があります。

これがPOWERSTOVEです。

まず一言で紹介すると「自然と家計に優しい新しい調理用ストーブ」です。

なぜ自然と家計に優しいのか。それぞれ説明していきますね。


自然に優しい理由は、
自然に良いバイオマスを、効率的に燃焼することができること。

バイオマスとは、糞尿・木くず・廃油などの一定の空間にある生物資源(植物、動物、微生物)で再生可能なものを指します。石油は入りません。なぜ自然に良いのかは持続可能であるのと、大気中の二酸化炭素濃度を変えないので温暖化防止にも繋がるからです。

効率的と言っているのは、「従来のバイオマスストーブよりも70%ほど使用量を削減することができた」「人に害をもたらしやすい煙が極力出ないような設計になっている」「燃焼率を大幅に上げることができるようになって無駄なく使えるようになっている」というのが具体的理由になります。


家計に優しい理由は、
金額を抑えるだけでなく充電も可能にしたこと。

金額については、従来の調理用ストーブよりも年間で250ドル使用コストを削減することが可能になりました。比較的経済が発展しているイメージのナイジェリアですが、1日当たりの生活費が1.90ドル(約200円)未満で暮らす貧困者は未だ8700万人と世界最多なので、どれだけ大きな経費削減かお分かりいただけるかと思います。

さらに、調理後2時間ほどは携帯電話やパソコンなども充電できるジェネレーターとしても活躍します。農村でも携帯電話を持つことで仕事は効率化できますが、電気が無いあるいは電気代が高くて使えなかった人も、これにより電話を使うことができるようになります。


このようにPOWERSTOVEは低所得家庭の家計を助け、環境保全にも貢献する革命的な調理用ストーブだというわけです。


お金とサービスの流れ

ではビジネスモデル図解の解説に入ります。

①一般家庭に対してPOWERSTOVE社からPOWERSTOVEを販売します。

調理をする際に使う②バイオマスパレットをPOWERSTOVE社から一般家庭に都度販売します。

故障したり使い方がわからない時の③アフターサポートを有償で提供します。

周辺機器などの④アクセサリー商品を販売します。


POWERSTOVEの儲かる仕組みとビジネスモデル

POWERSTOVEの儲かる仕組みは4点あり、その為に導入しているビジネスモデルは3つあります。

1つ目のビジネスモデルが「物販モデル」です。

物販モデルとは、シンプルに自社の商品やサービスを消費者にダイレクトに提供し、収益を得る仕組みです。ラーメン屋さんなどがこれにあたります。

図解をみていただくと①で自社のPOWERSTOVEをユーザーに販売しています。④のアクセサリー商品の販売もこちらにあたります。


2つ目のビジネスモデルが「消耗品モデル」です。

消耗品モデルでは、消費者が継続的かつ消耗するものを販売して収益を得る仕組みです。プリンタのインクなどがこちらにあたります。

②のバイオマスパレット(調理に使う燃料の木材など)を継続的に買ってもらうので、本体だけでなく消耗品からも継続的に収益を上げています。


3つ目のビジネスモデルが「ノウハウモデル」です。

ノウハウモデルとは、消費者に対して有益なアドバイスなどを提供することで収益を得る仕組みです。コーチングやコンサルなどがこちらにあたります。

③のアフターサポートを利用することで、POWERSTOVEをより効果的に使えるというメリットを対価に収益を得られるようになっています。


販売料金と利益率

①のPowerstoveは一台59.9ドルで販売し、41%の利益率。
②バイオマスペレットは70セント/1キロで販売し、80%の利益率。
③アフターサポートを2ドル/多分ひと月で提供。
④アクセサリーは平均単価1.5ドルで利益率は15%。

対象消費者が低所得層ですので、POWERSTOVE本体の収益率を意識すると、「買えない」世帯が続出するので、おそらく①から得る収益はあまり大きくないと思います。41%と利益率で見ると高いですが、7000円くらいですので、100台売ってようやく70万円です。

なので、消耗品であるバイオマスパレットやアクセサリー商品、アフターサポートなどの購入後にお金を使ってもらう仕組みをいくつか作ることで、収益性を確保しているのだと予測ができます。


創業者とビジョンの紹介

創業者であるOkey Esseはナイジェリア人で、この会社を立ち上げる前にも様々な事業を立ち上げたり投資をしてきました。

彼はナイジェリアのとある農村部を訪れたときに、自然破壊が起こっている状況と、低所得者層の特に調理をする女性に注目します。

「森林破壊が進む状況と、調理をする際に発生する煙を大量に吸い込んで寿命を縮める女性を見たときに、なんとかしなければならないと誓いました」

そしてそこから親しい友人とアイデアをぶつけ合い、 2016年以降、私たちは伝統的な調理スタイルに合った新しいクッキングストーブのを開発します。3つ目の開発で現在のモデルにたどり着いたそうです。自然と家計に優しいという2つの問題を解決するだけではなく、彼らの大きな欲求である電気や通信を使いたいという想いも叶えられる「余熱充電」の機能もつけることに成功しました。

これからこのPOWERSTOVEは2.0バージョンに進化を遂げるようで、さらなる燃焼効率の実現、IoT機能の内臓など、常に改善をしていくという姿勢も強くあり、将来的にはナイジェリア以外での事業拡大も考えているということでした。


最後まで読んでいただきましてありがとうございます。

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