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医療情報

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2020年10月の記事一覧

イコサペントエチルは動脈硬化進行を抑制: EVAPORATE

イコサペントエチルは動脈硬化進行を抑制: EVAPORATE

EPA製剤はCTの評価で冠動脈プラークの増悪を遅らせた

スタチンは心血管疾患リスクを下げますが、最大量のスタチンでも依然としてそのリスクは残存しています。

REDUCE-ITではEPA製剤の心血管イベントを抑制したことが示されましたが、そのメカニズムは十分に解明されていません。

EPA製剤であるイコサペントエチル(IPE)は脂質の酸化や炎症、プラーク量、血管内膜の改善などの多くの効果が想定さ

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末梢静脈カテーテルからの昇圧剤投与: EMA

末梢静脈カテーテルからの昇圧剤投与: EMA

血管収縮薬は、主に昇圧剤の血管外漏出の懸念から、中心静脈カテーテル(CVC)を介して投与されてきました。

末梢静脈カテーテル(PiVC)を介した昇圧剤の投与が、実行可能で安全な代替手段である可能性が示唆されてきました。

このレビューでは、PiVCを介した血管収縮薬投与の安全性が評価されました。

成人における昇圧剤投与に関する前向きおよびレトロスペクティブ研究の文献検索が行われました。

少な

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EPAによる冠動脈プラークの安定化: Clinical Cardiology

EPAによる冠動脈プラークの安定化: Clinical Cardiology

OFDIを用いたEPA製剤による冠動脈プラークの安定化は詳細な評価はされていませんでした。

この研究ではEPAはOFDIを用いてPCIを行われた患者のプラークの安定化に寄与するか検討されました。

2015年10月から2018年7月までにPCIが行われた121症例の冠動脈プラークに関するデータ をレトロスペクティブに解析しました。

109人が無EPA群、12人がEPA群でした。

各プラークの

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CPA後低体温療法患者の抗菌薬投与による早期VAP予防: NEJM

CPA後低体温療法患者の抗菌薬投与による早期VAP予防: NEJM

ショック可能な院外心停止後に低体温療法を行った患者は、人工呼吸器関連肺炎のリスクが高くなります。

しかしながら予防的な抗菌薬治療の有用性は示されていません。

この研究では心停止後低体温療法中の患者で抗菌薬投与がVAPを予防するか検討されました。

ショック可能な院外心停止後、人工呼吸器管理を行っているICUの成人患者(18 歳以上)を対象に、多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験が実

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TAVI後の抗凝固療法 vs. クロピドグレル併用の出血リスク: NEJM

TAVI後の抗凝固療法 vs. クロピドグレル併用の出血リスク: NEJM

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後の抗凝固療法単独または抗血小板剤投与の役割については十分に検討されていませんでした。

この研究では経口抗凝固療法を受けているTAVIを受けた患者を対象に、クロピドグレル併用の無作為化試験が行われました。

TAVI前にクロピドグレルを投与しない群と3ヶ月間クロピドグレルを併用する群に1:1の割合で割り付けました。

主要アウトカムは、12ヶ月間の重篤な出血

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スタチンによるプラーク安定化のメカニズム:JACC

スタチンによるプラーク安定化のメカニズム:JACC

スタチンは冠動脈疾患再発抑制に重要な薬剤となっていますが、プラーク安定化の詳細なメカニズムは十分に解明されていませんでした。

この研究では、OCTを用いて、冠動脈動脈硬化性プラークの線維性被膜に対するアトルバスタチン20mg/日投与とアトルバスタチン5mg/日投与の脂質低下療法の効果が評価されました。

不安定狭心症で未治療の脂質異常症がある70症例をアトルバスタチン20mg/日またはアトルバス

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TAVI術後せん妄のリスク因子

TAVI術後せん妄のリスク因子

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後の術後せん妄の危険因子およびせん妄が死亡率および罹患率に及ぼす影響が検討されました。

多施設共同研究で2012年から2013年にTAVIを受けた患者のデータベースを用いて、TAVI後のせん妄の独立した危険因子を同定するため、術前および術後の危険因子が統計的に解析されました。

結果2012から2013年に7,566人の患者がTAVIを受けました。

TAV

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院外心停止患者AEDで自己心拍再開せずとも予後改善: Lancet

院外心停止患者AEDで自己心拍再開せずとも予後改善: Lancet

院外心停止を起こし、救急隊が到着する前に市民救助者のAEDによる除細動された患者の多くがが自己心拍再開しません。

しかしこのような患者の神経学的転帰と生存率は評価されていません。

この研究では、このような患者の神経学的状態と生存成績を評価されました。

2005年1月1日から2015年12月31日までの間に日本で院外心停止した1,299,784人の患者を対象としたコホート研究がレトロスペクティ

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空腹時・非空腹時の脂質と心血管イベントの関係: Circulation

空腹時・非空腹時の脂質と心血管イベントの関係: Circulation

脂質の血液検査は通常、空腹時に測定されます。

脂質の変化は通常の食事量では最小限に抑えられ、非空腹時の値が心血管イベントを予測するかが検討されました。

結果Copenhagen General Population Studyから20~95歳の33391人が横断的に調査されました。

また、Copenhagen City Heart Studyから20~93歳の9319人が調査され、そのうち1

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トラネキサム酸の急性期消化管出血への効果: Lancet

トラネキサム酸の急性期消化管出血への効果: Lancet

小規模試験のメタアナリシスでは、トラネキサム酸が消化管出血による死亡を減少させる可能性があることが示されています。

この研究では、消化管出血患者におけるトラネキサム酸の効果を評価されました。

15カ国164の病院で、国際的、多施設、無作為化、プラセボ対照試験を行いました。

患者は、担当臨床医がトラネキサム酸を使用するかどうか不確実で、自国で成人とみなされる最低年齢以上の年齢(16歳以上または

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中性脂肪の心血管疾患残余リスク: Circ J

中性脂肪の心血管疾患残余リスク: Circ J

中性脂肪(TG)値は,心血管イベントの残存リスクとして注目されています。

この研究では、従来の治療を受けた冠動脈疾患(CAD)患者を対象に、TG値とCVイベントとの関係が評価されました。

結果FMD-J study Aに登録された652例のデータを解析し、TG値とCVイベント(CVイベントによる死亡、非致死的急性冠症候群(ACS)、非致死的脳卒中、CAD)との関連が3年間の追跡し調査されました

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ARC-HBRによるPCI後の出血リスク評価: JACC

ARC-HBRによるPCI後の出血リスク評価: JACC

心臓カテーテル治療により、冠動脈にステントを留置された方は、再狭窄やステント塞栓症を予防するために一定期間の抗血栓薬内服が必要となります。

心臓カテーテル治療後の出血は重要な予後規定因子となります。

Academic Research Consortium(ARC)は高出血リスク(HBR: high bleeding risk)患者を定義するため基準のリストを提案しました。

この研究では、現

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脂質管理に用いる薬剤

脂質管理に用いる薬剤

スタチンスタチンによる冠動脈疾患の再発効果は1994年に発表された4S試験によって最初に証明されました。

それ以降複数のエビデンスが存在します。

近年日本で行われたREAL-CAD試験は、 安定冠動脈疾患患者を対象にピタバスタチン高用量(4 mg)群と低用量(1 mg)群に無作為に割付け、高用量群は低用量群よりLDLコレステロール値を低下させ心血管イベント発生を抑制させました(4.3% vs.

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冠動脈プラークにおけるマクロファージ: Circulation

冠動脈プラークにおけるマクロファージ: Circulation

動脈硬化性プラークの破裂は急性冠症候群の発症の最も重要なメカニズムです。

マクロファージは線維性被膜を劣化させる酵素を放出し、プラークラプチャーを来し得る。

この研究では安定狭心症、不安定狭心症患者の冠動脈プラークのマクロファージを定量化し評価しました。

結果HE染色、抗ヒトマクロファージモノクローナル抗体(PG-M1)を用いた免疫染色が行われました。

コンピュータ化された平面測量を使用し

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