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マイクロノベル集 311「みどりの日」

No.1701
高い場所に立つ我を見上げて、下から登ったと考えるのは早計である。実は天より垂れて来たのではないか? その通り。この電柱を拠点とし、大地の侵略を開始する。電線は便利だ。地上に張り巡らされたこれを伝えば、我の子孫を蔓延させるなどたやすいからな。


No.1702
あいつらはしばらくお休みなんだって。ごーるでんうぃーく、なんだってさ。どおりで人の数が減ったね。でもさあ、ぼくらはニンゲンと違ってキンベンだもん。今のうちにたっぷりと働いて、道路を歩き回って、陣取り合戦に勝っちゃおう。きっとびっくりするぞ。


No.1703
こらこら。小僧、入ってはいかん。うむ、まだ準備中なのじゃ。時が来てもサービスはせんぞ、お店ではないからな。こら、踏むな。「いつになったら草が生えるの?」そうじゃなあ。太陽がたっぷり照って、雨が降って、風が……小僧、ジュースをかけてはいかん!


No.1704
フフフ、気づくまい。なぜちょっと目を離した隙に草が生えるのか。それは隠れた協力者がいるのさ。このハンドルを回せば俺たちに水が供給される。勝ったも同然のこの勝負、一気にけりをつけ……ハンドルが回らぬ!? 「青く塗ってもらったんだ~」裏切ったな!



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