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マイクロノベル集 320「清く正しく美しい仕事」

No.1751
俺たちは頼まれればなんだってやるぜ……と言ったけどさ。なにかおかしくないですかい? あんたたちの動作を若い個体に教える。この仕事をやめても、その文化ってヤツが壊れるとは思えませんけどねぇ。はい、今日は鼻から正しく素麺を出す方法を教えまーす。


No.1752
急げ、急げ。来月には人間が遊びにきちゃうぞ。僕らは人間用の森を作っているんだ。季節ごとに美しい花が咲く、過ごしやすい森さ。鳥はいるけれど、エサになる虫はいない。生き物たちが暮らす川は美しく、飲んでも害はない。こういう仕事にこそAIを導入して!


No.1753
偶然にも、あの泉を発見した! 考えるんだ。やはりオーソドックスに斧を投げ入れるべきか。飾りにするなら鎧も悪くないな。でも、どっちも持ってないぞ。「それで、悩みに悩んで、服を投げ入れたんですか?」パンツだけでも返金してもらえないでしょうか。


No.1754
光る竹の中から女の子が……これは有名な話。目の前で起こっているのは、竹から湧き出す水。こんな話は知らないな。「飲むと出られなくなるよ」でも、喉がかわいている。ぼくは山から下りられた。今も毎週あの竹林に通っている。近いうちに移り住むつもりだ。




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