マイクロノベル集 254「勝手なことばかり言う」
No.1433
我は魔獣。大きな物を小さくする。必要なくなった部分は喰っちまうぜ。「おい、この桃太郎には桃が出てこないぞ。食べただろ」食べてません。「嘘だ。魔獣が桃を食べたんだ」川の上から重箱が流れて来たでしょ？ 「そんな桃太郎があるか！」あるんだってば。
No.1434
機関銃の音をチェーンソーの音に入れ替えてやろう。これで気づけないなんて、人間は耳が悪いなあ。鼻も悪いかもな。よし、匂いも入れ替えてやろう。「うーん、フローラルな香り」お嬢さん、それ、あなたの靴の匂いを薄めた香水ですよ。「実家のような安心感」
No.1435
捜査のために電子顕微鏡より高性能な目が欲しい？ 悪魔の力で叶えよう。ほうら、カップの中の水分子一つ一つが見えるだろ？ 「この喫茶店のコーヒー、店員の皮膚から蒸発した水分子が入ってるぞ！」クレーマーかよ。「美味しい！」もしもし？ ポリスメン？
No.1436
騙し絵の中に入りたいと思ったことはないかい？ 実はこの世界がそうなんだよ。何一つ情報がない文章を読んでも、まるでＱＲコードを読み込んだスマホみたいに、君にははっきりと、ムキムキの筋肉が見えてしまう！ パワー!! 「ずるいぞ！」ハッ!!（笑顔）
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