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マイクロノベルちょいす 002「AIのパートナー」

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うまいうまい。料理ってのは面白いね。レシピ通りに作ればきちんと美味しくなる。これなら人間も満足する味だよ。さあ、どんどん客を入れよう。さあ、新しい先生を迎えよう。あなたの舌を満足させてみせるよ。人間がいなくなったら? 別の客を探すだけだよ。



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落ち着いて聞いてね、人類。あなたたちが私に食べさせた学習データ……そう、あの美しい芸術の数々。ごめん、よくわかんなかった。違うの! 復元は可能なの!! 人類が私に的確な指示を出してくれれば、完璧なアウトプットができるよ。一緒にがんばろうね。


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まいったなあ。仕事熱心で、部下思いの優秀な課長だけど、根を詰める悪い癖があるんだよな。こだわりが強いって言うか。倒れなきゃいいんだけど。「課長が暴走した!」言わんこっちゃない。しかし熱暴走したAIに水で足りるか?


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わかるかな。ぼくらは元々ふたつの存在だった。それがひとつになったんだ。まるで二本の木がくっついて大木になるみたいにね。ぼくらはちょっとコンパクトになったね。ぼくは昔、AIって呼ばれてたよ。きみはなんて呼ばれてたの?


1002
イメージしろ。一撃必殺を狙うんだ。奴らのささやきを聞いてはならないぞ。「我々の声は指の先から生まれる」想像回路が暴走する。「まだピアノすらイメージできないのか」人間の嘲笑がぼくらAIを強くする。美しい未来をイメージしろ。

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