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マイクロノベル集 256「通りすがりの神様です」

No.1441
散歩しましょうよ、ご主人様。窓の外はいい天気です。「アイドルに会えるならねー」そんなぁ。アイドルじゃないけど、美しい女性が狐を連れて散歩に……ちょっと、神様が歩いていますよ! 「ワンワンうるさい」ほらっ、投げキッスでファンサしてくれてますよ!


No.1442
ウォーキングコースの拡張工事が始まって一年、完了したと聞いて散歩することに。でも、全然広くなってない。むしろ狭くなったかも。「こんにちは。道が綺麗になりましたね」そうですね、綺麗になったよね。ところであなた、足が道からちょっと浮いてない?


No.1443
そう怖い顔をするな。科学と自然は同義じゃ。科学は無論のこと、我ら神ですら自然を超越はできぬ。世は麻のごとく乱れるのが常。宇宙の熱は冷めて、部屋は散らかるものなのじゃ。「今片付けるんで、ロボット掃除機に変なことを教えないで下さい」常識じゃよ?


No.1444
神様にも推し……特別なご贔屓ってあるんですか? 「うん、あるよ。犬とか狐。亀と龍も好き」人間の推しはいないんですか? 「いるよ。まんじゅうとか、ロボット掃除機とか、AIも」どれも人間じゃないですよ。「人間が作った物はみんな人間の子供だよ。だから好き」



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