マイクロノベル集 298「叡智を求めて右往左往」
No.1636
最近物忘れが激しくてさ。さっきまでここにあったんだよ、俺の記憶が。「それは私のことかしら」帰ってきてくれたんだね! もうどこへも行かないでくれ。「夕食の買い出しに行けないでしょ」ご飯はさっき食べたよ。「そうだっけ?」記憶がはっきりしてきた。
No.1637
我が名はエッチな知識。お母さんの命令により、タッ君に見つかってはならぬのだ。「検索」逃げろ逃げろ。インターネットの海は広い。アンダーグラウンドや隅っこに隠れれば滅多なことでは見つからぬ。「みーつけた」ちょっとお父さん、なんですかこの壁紙は!
No.1638
そのとき、前髪が、動いた。揺れた頭髪は、まるで風に吹かれたように空へと舞い上がったのだ。「あなたの前髪はヘンです」ああっ、天使様。「私が正しい前髪を与えましょう」そんなことがあって、額から天使の羽根が生えてきたんです。これは奇跡なんです。
No.1639
電車に乗ろうと思ったらICカードが見当たらない。いつもシャツのポケットにしまっているのに、そのポケット自体がなくなっている! 「もしもし。シャツが後ろ前ですよ」はい。まさにいま気づきました。「カードを取ってあげましょう」どうもありがとう。
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