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マイクロノベル集 332「人類の新しいお仕事」

No.1811
窓から颯爽と入り込んだ猫。スッと蛇口に手を当てると滝のような水が! この勢いならプールに水を張るのも一瞬だ!! 「人類よ、新しい仕事を始めなさい。この水を止められたくなければ、最上級のツナ缶を捧げよ」水道代はうち持ちなんだよね。キュッ。


No.1812
お母さんは、ぼくが観ているアニメをいつも「つまんない」って馬鹿にするんだ。でも、本当に考えて喋っているのかな。だって、今日は「アニメの映画を観に行こう」って誘うんだもの! 「推しが声優に初挑戦するの」ふうん。そんな子供っぽいアニメは観ない。


No.1813
やあ、みんな十六年振りだね。ぼくたちの推しは最初こそ無名だったけど、今や世界一のバーチャルアイドルだ。小さなライブホールで歌っていた頃が懐かしい……えっ、最初は武道館だった? 観客は百万人!? バーチャルとは言え、データの改ざんが激しいぞ!


No.1814
俺はこんな仕事がしたいわけじゃねぇ。毎日雑巾絞って、他人が使った便所を洗いたいわけじゃねぇ。話をする相手なんてバケツしかいねぇ。「なら、俺を買わないか? お前は俺のために働けよ。悪くないぜ」真っ黒い水が黒猫に。そいつの言うとおりになった。


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。




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