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マイクロノベル集 296「飛ぶものの話」

No.1626
なつかしいなあ。久しぶりに実家に帰省したら、最寄り駅が昔のままだよ。ただ、鳩が減ってカラスばかりになっているね。群れになって一糸乱れぬ飛行を……おや、激しいターンを決めたぞ。「いけない、いけない。部屋着で飛び出しちゃった」なんだ、鳩か。


No.1627
猫は風の通り道を知ってるんだって。だからこんなに暑い日には、彼らは涼しい場所で手足を伸ばしてダラダラしてる。ほら、空をごらん。手足どころか胴体を伸ばした猫が風に吹かれて飛んでいるよ。アメダスをチェックしなきゃ。アレが降る確率100%だ。


No.1628
通学路に桜の花びらが舞っていた。美しい。まるで私の入学を祝うようだわ。でも、おかしいな。桜の木なんてないのに、どこから? 「ワープです! あなたの入学を祝い、時間と空間を超越したのです!!」ありがとう。余韻に浸りたいからちょっと静かにして。


No.1629
ああ、愚かな人類よ。お前たちの醜い努力が報われることはありません。なぜなら、今から私が世界崩壊のラッパを吹くから。さて、神様からもらった決行時間のメモは……あれっ、途中で落としちゃったかな? 「神からのお告げが下りました!」しまった!!


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。



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