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3.11 秋葉原

2011年3月11日。

その日は、送別会シーズンの真っ只中で、予約300名以上入っていた。

ドリンクの仕込みをしてたら、ぐらぐら揺れ始め、最初は、上のカクテル類を手で押さえていたが、どんどん揺れが大きくなり、後ろのジョッキクーラーまでドアが開き始めたので足で押さえた。

両手、片足埋まった状態で、数秒後信じられない大揺れが来たので、逃げたところ、グラスが吹っ飛び、上のカクテルはすべて落ちてきた。

ただ事じゃない。

キッチンをみるとフライヤーの油が波打ってこぼれている。

火の元を消して、すぐに6階から1階へ避難した。外階段だからか、余震の影響でぐらんぐらん揺れる。

収まった後、店内へ戻ると、お皿、グラス、調味料が大変なことになっていた。バックヤードのパソコンや書類もぐちゃぐちゃになっていた。

当日の営業はやめることにした。驚くことにこの状況で、数組のお客様がキャンセルを直接伝えに来てくれた。どれも常連様だった。自分の営業スタイルが間違ってないことを再認識した。

その日は交通機関が完全に止まったため、お店を開放し、寝泊りできるようにした。外には帰宅難民の人が数えきれないほどいた。

食材は豊富にあったので、ビルの下で炊き出しを行った。夜はまだかなり寒かったので、非常に喜ばれた。テレビの取材も受けた。いいことをしたと思った。

そこから数日間、秋葉原の街は眠ってしまった。日本中飲み会どころではなく、居酒屋の売上は大打撃を受けた。

しかし、3.11から一週間後の金曜。3.11の予約の半数が戻ってきた。ほとんどの居酒屋が打撃を受けているにもかかわらず、うちはいち早く復活できた。結局、3月も昨年対比130%を超えた。(他店は大体70%前後だったと思う)

売上をすぐに戻せた秘訣はこうだ。

コアタイムの18時から21時は一見さんが多い。どこの店も売り上げはとれる。特に繁忙期はどこも予約がはいる。

16時から18時・21時から24時・24時から朝5時

この3つの時間帯でいかに常連さんを創れるかが居酒屋の勝てる鍵だ。

16時から18時→取引先から直帰の営業マン、早朝から働く肉体労働者さん。

21時から24時→遅くまで仕事をしている人。秋葉原限定だが、AKB劇場など劇場おわりのお客様

24時から朝5時→同業さん。秋葉原だとメイドさん、そのボーイさんなど。

各時間帯の常連さんに、彼らが望む、いつでも使えるサービスをつけた。いつでもハイボール100円、カルアミルクをジョッキでだす、好きな料理1品サービス。朝まで飲み放題〇〇円。など常連様の数だけ、いろんなサービスの種類をつけた。

こちらから提案するサービスよりも、彼らが望むちょっとしたサービスをするほうが、非常に喜ばれ、常連様化しやすくなることがよくわかった。

20%オフより、お通しカット。1000円飲み放題よりも生ビール100円。など。題して、「あなたにあったサービス制度」とでも呼ぼうか。

結果、3.11から一週間で劇的な復活を遂げることに成功した。

この手法は、自分の飲食営業スタイルの基本姿勢で、いまだに個人店のコンサルの際にも一番最初にやるリピーター戦略となった。

秋葉原店長就任から半年、ここまでの圧倒的な成果をもって、

4月~エリアマネージャーに昇進した。入社した3年。店長として2年半。

地獄と天国を行き来する、圧倒的活動量の時期は終わり、真のマネジメント業務がスタートする。

次回はエリアマネージャー マネジメントの失敗と成功について

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