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幻想生物大事典

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架空の学校を舞台にした短編連作。現実と幻想のはざまで揺れる少女たちの心を丁寧に描いていきたい。脳内メインテーマ曲は、天野月子さんの『龍』と,鴉の『幻想蝶』。2013年~ マガジン… もっと読む
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幻想生物大事典(3)一角獣‐凍てつく月の解ける随に(上)‐

幻想生物大事典(3)一角獣‐凍てつく月の解ける随に(上)‐

――そのままだと、そのうち凍りついてしまうわよ――
幼い頃の両親の離婚が原因で男性不信になった少女、純子。
ある日出合った見知らぬ女性の一言が、彼女を幻想の世界へ引き寄せていく。

架空の女子校を舞台にした、オムニバス連載の3作目。よろしければお付き合いを。

画像は柴桜様制作『いろがらあそび8』作品No.51をお借りしています
https://www.pixiv.net/artworks/70

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幻想生物2.水妖/水辺の証人(下)

幻想生物2.水妖/水辺の証人(下)

――ねえ、本当にそれでいいの?――
 幼い頃に起こったある事件から、男性恐怖症になってしまった少女・加与子。
 学校に飾られたいわくつきの絵に魅入られた瞬間から、堅く閉ざされていた心の扉が開き始める……

 架空の女子校を舞台にした,オムニバス形式の短編連作第二弾です.
 1編1万~2万文字程度を目安に区切っていく予定.
 よろしければお付き合いを.

◆本編

「加与、加与ってば」
 呼ばれて顔

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幻想生物2.水妖/水辺の証人(中)

幻想生物2.水妖/水辺の証人(中)

――ねえ、本当にそれでいいの?――
 幼い頃に起こったある事件から、男性恐怖症になってしまった少女・加与子。
 学校に飾られたいわくつきの絵に魅入られた瞬間から、堅く閉ざされていた心の扉が開き始める……

 架空の女子校を舞台にした,オムニバス形式の短編連作第二弾です.
 1編1万~2万文字程度を目安に区切っていく予定.
 よろしければお付き合いを.

◆本編

 気がつくと、加与子は白いベッドの

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幻想生物2.水妖/水辺の証人(上)

幻想生物2.水妖/水辺の証人(上)

――ねえ、本当にそれでいいの?――
 幼い頃に起こったある事件から、男性恐怖症になってしまった少女・加与子。
 学校に飾られたいわくつきの絵に魅入られた瞬間から、堅く閉ざされていた心の扉が開き始める……

 架空の女子校を舞台にした,オムニバス形式の短編連作第二弾です.
 1編1万~2万文字程度を目安に区切っていく予定.
 よろしければお付き合いを.

◆本編

 梅雨の最中(さなか)の教室は、閉

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幻想生物1.夢魔/真夜中のナイチンゲール

幻想生物1.夢魔/真夜中のナイチンゲール

 夢の中で、真夜(まや)は幼い頃に戻っていた。淡いピンク色の地に、濃いピンクや明るい黄色の桜の花が散りばめられた着物を着て、背もたれのついたふかふかの椅子に座っていた。頭に挿したかんざしの、金色の針のような垂れ飾りが、頭を動かす度にシャラシャラと音を立てて、真夜の視界の端にちらついた。
 隣には、落ち着いた黄緑色に赤やオレンジの菊の花が描かれた振り袖を着た、四つ年上の姉の真冬が立っていた。正面を見

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