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翔太くんは耳鳴りがするらしい

「あの日から、耳鳴りがするんだ」
クラスの翔太くんが、友達の輪の中でそう言っていた。

あの日。
それは、彼ら翔太くんグループの男の子4人が心霊スポットと呼ばれるトンネルに行った日。

そのトンネルでは昔、男の子が亡くなったらしい。
その男の子は親からネグレクトを受けていて
友達もいなくてすごい寂しい思いをしていて
ある夜にベランダから家を抜け出して、どこかにある幸せを見つけに走っていたら、
そのトンネルで車に轢かれてしまった、と。

そんな噂があるみたい。

そこに行ってから、翔太くんは耳鳴りが止まないんだって。

「おいおい翔太ー怖いこと言うなよー」
「そうだよ翔太ー。俺らはしないぜー」
「耳鼻科行けよー」
「耳鳴りって、する時近くにお化けがいるらしいぜ」
「僕はここにいるよ~って合図らしいぜー」
「案外…近くに、いたりしてえええええ」
「おい、やめろよ!」

翔太くんは友達の言葉に、少し声を荒らげて言った。

「怖がりだなぁ、翔太は」
「大丈夫、幽霊なんていないんだろ」
「あぁ、いねぇよ」
「じゃあそのうち治るって」

周りの男の子たちはやいのやいの翔太くんに言う。
翔太くんは首を傾げて

「寝てる時もずっと、止まないんだよなぁ」

と言った。




そりゃそうだよ。

だって僕がいるんだから。

ずっとずっと、いるんだから。

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