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45歳、もう一度恋をしてみました⑧

少し汗ばんだTシャツの胸元に顔を埋めて
「先生のこと、好きなんです」と呟くと
先生は私の背中に腕を回しそっと抱きしめた。。。

そんな想像をしたけれど、やっぱりできなかった。
ガラスのドアの向こうには
次のレッスンの男の子が先生に向かって手を振る姿が見えた。

だから、抱き付く代わりに
「先生はいつもどんなところで演奏しているのですか?」と聞くと
老舗のライブハウスの名前を教えてくれた。

「今月だと、そう!来週の火曜日にあるよ」

「来週ですか?行ってもいいですか?」

「ほんと?ありがとう」

先生はとても嬉しそうな顔をしたから、絶対に行きますねと約束する。

楽器屋さんを出ると通路の向かい側に占いのコーナーがあり
その隣の二人掛けのソファーに腰掛けてインスタを開いた。

先生をフォローしてから一週間が経つけれどフォローバックはまだ。
たぶん、先生は私だと分かっていないだろうな。
だから、もう一度フォローをし直して、こう、DMを送った。

「先ほどは、ありがとうございました。フォローさせていただきます♥」

レッスン中だから直ぐに既読にはならなかったけれど
お仕事が終わった午後9時を2.3分過ぎた位にメッセージが既読になり
そしてすぐに返信があった。
「なぎさん?フォローありがとうございます。
こちらにライブのお知らせなんかをアップするので
見ていただけたら嬉しいです」
私もすぐに「フォローありがとうざいます。来週のライブに伺いますね」
と返信した。

レスポンスが早い人って、やっぱりいいなと思った。
LINEの返信が早いとそれだけで安心する。
好きな人に放って置かれるのは寂しくて情緒不安定になるから
付き合うなら、私を不安にさせないように連絡がマメ過ぎる人の方がいい。
先生なら、その辺は大丈夫かなぁ?
ちょっと、ちょっと、何を想像しているの?と、自分に突っ込みを入れる。
先生とどうなりたいのだろう。

もう一度、先生のインスタを開き演奏中の画像をタップする。
満面の笑み、楽しそうなとてもいい表情をしている。

先のことなんて、あまり考えなくてもいいや。
私は今、この笑顔に会いたい、会いたくて仕方ない。。。









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