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SES営業のメールボックスから無理やりIT市場の傾向を分析してみた

SESって何ですかい?

私の会社、ソフトウェアの開発しております。
そう、あのパソコンやらスマホの中やらで何やらごにょごにょ動いているあれです。
一言でソフトウェア開発と言ってもいくつか形態があるのですが
・お客様から要望を受けてシステムを作る『受託開発』
・自社でサービスを作る『自社サービス開発』
こういったものがあります。

そして
・お客様の現場に技術者の労働を提供する形態、いわゆる『SES』(システムエンジニアリングサービス)

このSESって、情報漏洩とか問題が起こった時に、責任の所在がわからなくなったり、偽装請負で摘発されるなど
たまにITの界隈をざわざわっとさせるやつなんですね。
ただ今の日本のIT業界におけるスタンダードな形になっているのは確かです。

問題視されることも多いですが、良い事もちゃんとあって
SESは『労働時間』を提供するので、会社としては毎月安定した収益が得られます。
また技術者サイドとしても、現場の数だけ、様々なスキルや業種に触れられる機会を得られるというのがあります。弊社もSESが主な収益となっています。

直近12月も、私は中堅の技術者の現場を探しておりました。

空前の売り手市場のIT業界です。
ある程度のスキルをもった技術者であれば、現場を探すことなど、私にとっては赤子の手をひねるようなもの
…とそう思ってた時期が、私にもありました。
 
決まったの一昨日(12月26日)です。ひぃ~危なかったよぉ~

同業者ならこの感覚わかると思うのですが、間を空けるとその期間は、会社にとってはただのマイナスです。
そのためITの業界では、SESで穴を空けた営業は忽然と姿を消すと言われているんですよねぇ、怖いなぁ怖いなぁ(大嘘)

1年間分のメールを分析したろ

案件メールから市場の傾向が見える?

さて今回は、そんな営業活動をした自分を猛省するため
今年1年どんな案件があり、どんなスキルに需要があったかを改めて調べてみる事にしました。
ちなみに私個人のメールボックスには毎月5000件ほどの案件情報が集まります。

ちょうど年末。2023年に集めた案件を分析して、IT市場の傾向などが読み解けたら来年の営業の質も少しは上がるような気がするような、気配な、予感な、そんな雰囲気です。
ただし、あくまで一企業の中の私個人のメールボックスに集まる案件から、IT市場の傾向を予想しようという、めっちゃ乱暴な分析であるので。結論に関しては、優しい目でご覧ください。宜しくお願い致します。

とりあえず振り分けてみたよ

さっそく振り分けですが
なんとなく案件的に気になる下記の項目で分けてみました。

・業務系・Web系アプリ開発
・スマホアプリ開発
・インフラ
・ロースキル
・EAS(SAP、ServiceNow等)
・PM・PMO
・データ分析
・その他
 

まずSESの営業メールって件名に言いたいことをいいがち。
一番欲しいスキルワードを件名いれてメールする傾向にあります。

まずは件名からキーワードで抽出し、残ったメールは、本文の中からキーワードを抽出する流れで振り分けていきました。

スマホアプリ開発』であればキーワードは「Swift、Objective-C、Kotlin、Java、Flutter、React Native、Xamarin」あたりですかね。
『Webアプリ開発』であれば「Python、Ruby、Java、PHP、Node.js」など。
当然JavaはWebアプリ開発だけでなく、スマホアプリでも使いますし、Javascriptがフロントエンド開発のみではありません。なので正確に振り分けられているかというと結構怪しい部分もあります。
キーワードの量があるので、抽出にも時間がかかりました。
2日まるまる使ってしまいました。暇人かよ。

そんなこんなでがんばった結果
冒頭の案件の項目の割合は、こんなん感じでした。

SESでは業務系アプリ・Web系アプリが中心

結果を見てみると、業務系・Web系アプリ開発が最も多くて、全体の4割近くを占めています。
一昔前は、業務系とWeb系とで分かれていましたが、現在は、Web技術を利用して業務系アプリケーションを開発することが一般的になっているので、両者の区別は曖昧になっています。
そのため厳密に分けることが難しく、一緒になってしまいました。
どちらもSESの案件情報としては、主流で根強い分野と言えます。

フロントエンド開発 VS バックエンド開発

バックエンド開発とフロントエンド開発どちらの需要が多いかも気になったので、調べてみました。

え?いや、こんなに偏るかなぁ?ちょっと怪しいなぁw
バックエンドスキルを求めている案件も
実際は「画面側もできるっしょ?」という要望も含まれているかもしれません。
もっと精査すれば、「バックエンド」と「どちらも」の割合は変わって来そうです。ガバガバ分析ですので、大目に見てくださいね。

それでもフロントエンドスキルのみを求めている案件は、全体的にそこまで多くないように感じました。
デザインやユーザビリティなどフロントエンドも奥が深い分野ですが、
Web開発においてどちらだけをやりたいというのは、あまりニーズに応えられていないと言えるかもしれません。
得意不得意はあると思いますが、やはりフロントエンドもバックエンドもどちらの経験としては持っていた方がベターではないでしょうか。

最も需要の有る開発言語はJava

では開発言語別でみてみましょう。

約4割がJavaの案件でした。Javaつよ~。
Javaはオープン系の開発言語ですので、有料であるマイクロソフトの.net系(C#やVB.net)言語より、システム構築する上でのハードルが低く、多くのシステムに利用されているというのはあるかもしれません。
実際、新人のエンジニア研修でもJavaをメインとした研修が多いのも、こういった背景があるからだと思われます。

あと意外というか、COBOL案件もまだ需要がありましたね。亀の甲より年の功。根強く使われています。
ただ数は多いのですが、多くがCOBOLからJavaへのマイグレーション案件だったりするので、COBOLのみのスキルでいうと、だいぶ限られてくる印象がありました。先細り必死っす!
あとVB.netも、もう今からやろうと思わない方がいいですね。請負ならともかく、SESで長期で入るのはちょっとリスキーです。

Pythonやその他のトレンドの言語もまだ割合は少ないですが、以前より見る機会は増えました。
去年のデータと見比べると出てくると思いますが、すんません、疲れたので今度にしますわ。

またフロントエンド開発ではReactやTypescriptと言ったJavascript系言語やツールが大半を占めていました。
逆にHTML、CSSのみでの開発案件はかなり限られます。これだけで戦おうとするのは厳しい~。

スマホアプリはクロスプラットフォームが人気

思ったよりスマホアプリ開発の案件も全体的に少ないなぁ。
単に営業不足なんじゃないの?って思われた方。そうかもしんないっす!!
ただこじつけるとすれば、スマホアプリの開発は受託ではよく行っていますが、業務系アプリの開発と比べると、そこまで大規模な案件が少ない印象です。
そのため、SESより請負の需要の方が多く、SESの案件数が少ないという結果なのかもしれません。 …たぶん。

またWebアプリ開発と異なり、トレンドが移り変わりが早いので、通年で同じスキルを求めているわけではありません
iOSやAndroidJavaといったところより、Flutterなどクロスプラットフォームの需要が高くなっていますね。

大手に需要があるPMとEAS

PMの案件も多くは開発案件と比べるとそこまでではないですが、特定の企業からものすごい多くの募集が有ったりします。
EAS案件も同様です。EASとは「エンタープライズアプリケーションソフトウェア」(Enterprise Application Software)
これらは、ビジネスプロセスの管理、計画、実行を効率化するためのビジネス向けのソフトウェアです。ERP(Enterprise Resource Planning)、CRM(Customer Relationship Management)、BI(Business Intelligence)、SCM(Supply Chain Management)、HRM(Human Resource Management)などなど
実はこの分野はどこの企業でも持っている幅広い案件というわけでは無いですが、特定の企業から大量に案件が出て来たりします。
3Sなんてたまに聞きますが、SAP・ServiceNow・Salesforceこのあたりのスペシャリストになれば単価で100万円越えは当たり前。
サービスに依存したスキルになってしまいますので、リスクもありますが、大手企業が担いでいたりするので、市場にニーズが結構あります。こういった分野にも精通しておくと意外と稼げるかもしれませんよ。チャリーン。

フルリモート案件は減少傾向

コロナの影響から、働き方が変化したので、ちょっと気になるのが勤務形態だったりします。
フルリモートを希望している労働者は8割に上るともいわれています。
一度フルリモートで働くと通勤が億劫なんよね。わかるわかる。

フルリモ案件少ないやないかーい。全体の2割に満たない状況。
とは言え、働き方を変える動きもあり、常駐ではなくて、週1~2程度の出社という形をとっている企業も多いですね。完全常駐もそこまで多くありません。
技術者需要はあふれていますが、フルリモート案件に限っては、競争が激しくなっていると言えるのではないでしょうか。
技術に自信があり、ワークライフバランス重視するのであれば、フルリモートの形態でも良いと思うのですが、まだ未熟なうちにフルリモートを重視するのは、競争で負ける可能性も結構あるので要注意です。

まとめ

さて、いろいろと分析をしてみましたが
この他にも本当は「上流の需要」とか、「トレンド言語の推移」とか色々やりたかったのですが、ちょっと時間がありませんでしたね。
しかし、これだけの情報でもわかることは結構多くあった気がします。
まとめてみるとこんな感じですかね。

・SESは業務系・Web系アプリが主流
・フロントエンドスキルのみでは将来不安
・Javaはまだまだ強い
・スマホアプリはクロスプラットフォームを学習すべし
・EASはお金になるよ
・フルリモートは技術力をつけてからがベター


すみません、今回は本当に怪しい分析でしたが、来年はコツコツちゃんと振り分けて分析できるようにしておきたいと思います。

またエンジニアのキャリアを考える上でも、少しは役に立つ情報になると思いますので、自社のエンジニアとも共有して、来年もSES営業をエンジニアと共に気張っていきたいと思います。

ではみなさん良いお年を!

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