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日銀総裁の会見に対する違和感

長期金利に関する会見において「賛成多数で決定した」という言葉があった。この言葉だけを取り上げるのは揚げ足取りのようにも感じるが、使う言葉の端々に、どのような考えを持っているのかが表れていると思うので、ご了承いただきたい。

なぜ、「賛成多数で決定した」ということを説明したのだろうか。おそらく、会議をして、その会議の過半数以上の人が賛成をすれば、それはいい決定が下されたのだという認識があるのだろう。もしくは、多数決で決めたということを伝えれば、会見を聞く人々が納得する、という認識を持っていたのかもしれない。

しかし、多数決は本来、効率的に、時間をかけずに意思決定をするために使用する手段であって、なんら民主主義とは全く関係のないはずの手段である。賛成する人が多い意思決定をすることが良いこと、とは決してならない。第二次世界大戦中の日本において、当時の軍部の上層部の中にも戦争は続けるべきではないと考えたものも当然いるが、会議においては戦争の継続には賛成をした。それは「空気」に逆らえなかったから、とのこと。

多数決で決められたからといって、無条件に良いことだと受け取ってはならない。なぜ、その意思決定をすべきなのかについて充分な議論が行われたのか。その意思決定について、論理的に説明することができるのか。これらのことが、よほど重要であるはずだ。

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