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AIプロジェクトマネージャーに必要な要素とは?

こんにちは。NABLASです!
今回のテーマは「AIプロジェクトマネージャー」。NABLASで研究開発の最前線に立つリサーチエンジニアから、AIのプロジェクトマネジメントについて話を聞きました!

この記事はこのような方向けです。

AIプロジェクトをこれから推進する立場の方
社内のDXを進めていきたいと考えている方

講師紹介

ー本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いできますか?

冨山です!普段はNABLASのR&D事業部で、プロジェクトマネージャーとしてAIの導入や実装・開発をやっています。また、iLect事業部では教材の企画・作成を担当するコンテンツチームの責任者も兼任しています。R&Dの現場で得た知見をiLectの教材に実践的な形で落とし込むような、二つの事業を通したコラボレーションみたいなところに注力しています。趣味は競プロ、kaggleとか、あとはギターと文鳥です!

ーやっていることが手広いですね。趣味も!

言い忘れていましたが、最近ではイベント開催なんかもやってます!2/25に「弁財天」というイベントを開催しまして、ありがたいことに想像以上の反響をいただきました。AIで音楽を生成するコンテストで、伴奏からどれだけイカしたアドリブを生成できるか?を競うものです。アーカイブ動画も配信しますので、興味のある方は是非ご覧ください!


AIのプロジェクトマネジメントとは?

ー皆さんもぜひ一度見てみてくださいね!さて、早速本題に入らせてください。今日は、DXやAIに関するプロジェクトマネジメントについてお話をいただけるのですよね?

そうですね。僕はiLectやR&Dで実際にお客様とお話する機会が多いので、その中でよくプロジェクトマネジメントに関する悩みを聞いたりします。なので、今日はそれらを踏まえながら、一般に言う「DXを推進したい組織におけるPM」のあるべき姿についてお話したいと思います。

ーそもそも、「プロジェクトマネジメント」とは何ですか?

簡単に言えば、「プロジェクト全体を管理すること」ですね。何か解決したい課題があるときに、それに対して適切な問題設定をしたり、その問題を「解ける」形に落とし込むことをいいます。あとは、チームビルディングやスケジュール管理など、プロジェクトそのものの進行を管理することも重要な要素です。

ーAIにおけるプロジェクトマネジメントと、そうでない場合の違いはどこにあるのでしょうか?

一番大きな違いは、「データを扱う」かどうかでしょうね。AIとは、データを使って学習や推論を行うツールのことです。なので、ちゃんとした綺麗なデータを継続的に収集できる体制作りだとか、その管理がものすごく重要になってきます。

また、AIは学習や推論に膨大な計算機リソースを使用しますが、一方で多くのケースではそれが初めから用意されていなかったりします。それを自社で購入したり、はたまたクラウドを利用したりするかは、プロジェクトマネジメントにおける重要な意思決定と言えます。


AIプロジェクトの「難しさ」と良いPMの条件

ーAIを導入するための準備も、入念な検討が必要なんですね。

そもそも準備段階にハードルがあることもそうなんですが、AIは「不確実性が高い」という大きな問題があるんですね。とにかく事前の見積が難しいというのは、AIプロジェクトを始めとしたDX全般で言えることかもしれません。AIはある程度確率的な出力を持っていて、「思ってたんと違う」なんてことはよくあります。

なので、AIプロジェクトでは「PoC」という工程を挟みます。概念実証といって、解決したい課題に対して本当にこのやり方でAIを導入することが正しいのかどうか?をクイックに検証する工程です。これはAIに限らず、新技術を導入するDXプロジェクト全般でよく行われる工程ですね。

AIが持つ難しさもしっかりと理解して、それを管理することも重要なPMの仕事といえます。

ー不確実性……たとえばの話ですが、実際にやってみて「ダメだった場合」はどうするのですか?

ダメだった場合に慌てることがそもそも良くなくて、企画を持って行ったときにあらかじめ撤退ラインを設定しておいて、「これより精度が改善しなければ、やめにしておきますよ」って言っておくのが一番大事ですね。もちろんそれを納得してもらうことにもコツがあって、「失敗を失敗で終わらせない」ことが非常に大事ですね。失敗自体も、なぜよくない結果になったのかをドキュメント化して、組織全体に共有することによって、同じミスを起こさないっていう。結果が出なかったということはちゃんと進捗である、ということをちゃんと伝えるのが必要です。

ー社内でその理解を得ること自体が難しい場合もありそうですね。

まぁでもDXのようなチャレンジングなことをしようとしているわけですから、そういうカルチャーを根付かせるきっかけのようなものはできている気がするんですよね。何か新しい行動を起こそう!としてDXが始まっているわけですから。ただ、担当者レベルで「絶対できるはずだ!」と思っているだけだったりすると、かなり悲しいことが起きてしまったりしそうです。 よいPMは、「AIの不確かさ」をしっかり見積もって、社内の人間の期待値を調整できるということが大事なんだと思います。

ー企画も大変ですけど、その先の大変さはありますか?

実運用になってからの大変さってのが一つあげられると思います。特に、機械学習の予測というのは、基本的には下がり続けるものですね。入力のデータに対して機械学習で出力を得るというアルゴリズムですが、入力データの分布がずっと一定であるとは限りません。これをドメインのシフトといいますが、基本的には、データの分布の変化に応じてモデルの再学習という方法を取る必要があるわけですね。そこをいかに仕組み化することが重要です。モデルは作って終わりではありませんからね。

ーAIをちゃんと触ってきたエンジニアでないと、PMとして活躍するのは難しいのでしょうか。

まぁ望ましいといえばそうですが、今までの話の要点を押さえて、いくつかちゃんとPMを回して、みたいなことを経験すると、ある程度機械学習のベースがそこまでなくてもいいPMになることができると思いますけどね。ただ、これはあくまでDXを見据えた上での話となる気がしています。


AIプロジェクトを進める上で知っておいた方がいいこと

ーまずはいろいろやってみて考える、ということが大切なんですね。

そうですね、何はなくともやってみる、っていうのが大事だと僕はいつも思っています。既にあるAIのプロダクトを大きな予算で導入する、等であれば出る幕はないですが、もう少し草の根的に、実験的に小さい課題をちょっとずつ解決するみたいな。業務の10%程度を使って、短い期間で少しずつやってみるみたいなことを会社のカルチャーにしていく。失敗しても知見になるからいい!みたいな空気感をなるべくスモールに作っていって、成功事例をちょっとずつ積み上げて、それがカルチャーになって、チームも増えていって、データを統括する基盤も出始めて、それを活用する空気も出てくる、みたいなサイクルが理想だと思っています。

ーよくクライアントの方から聞く「苦労した実例」みたいなのがあったら教えてください。

一番多いのは「データを上手く集められない」という文脈な気がしますね。データの閲覧権限が限られている、みたいな状況ってよくあると思うんですけど、データがそもそも「手に入らない」んですよね。そういったデータをどうすれば分析できるか?みたいな。

一部のデータを分析してみたら、とてもいい結果が出たけれど、継続してそのデータがもらえる状況ではなかった……とかはよくあります。それだけでプロジェクトはもう続けられない、という悲しいことになっちゃったりしますよね。どう解決するのかがそれぞれ違うのも難しいところです。

ーデータをもらったはいいものの、みたいな感じでしょうかね。

そうですね、どう解決するかもケースバイケースで。例えばですが、データを出せない理由が個人情報が入っているから、とかであれば、それをうまくマスクする方法を提案するとかですかね。こういうプロセスでデータをちゃんとここに置けば、リスクは最小限ですよ、みたいな。そんな単純にいかないことも多いので、本当にケースバイケースですね。

ーそういう説得の時に一番効果的なことってなんですか?

うーーーーーーーん、これは難しいんですけど・・・キーパーソンと仲良くなることかな(笑) 泥臭い話ですよ。まぁこれが直接的な解決策にはならないんですけど、雑談ベースで仕事の話ができるような関係性を作れるようになっておくと、会社内では動きやすいですね。やっぱり。DXって社内の人物が登場人物になりがちなので、人と人との関係作りみたいなところはすごく大事なんじゃないかと思っていますね。

ーPMをやるうえで一番大事なことは何ですか?って聞こうと思ったんですけど、やめました。

まぁそうですね、それはまだ模索中です。ただ言えるのは、ちゃんと人を頼れることも大事かなと思いますね。社内外問わず、ちゃんと適材を適所に配置できるか、みたいな。PMになる人はやはり優秀なので、結局自分でやっちゃったりすることも多いんです。でも、いかに自分は動かずに他の人に動いてもらうか、みたいな感じです。

ーDXのプロジェクトが始まってすぐに、PMをやることになった人が最初にやるべきことってなんでしょう?

目指すべきものとか解きたい課題がガチガチに固まってるかどうかでも変わってきそうです。プロジェクトの承認者に対して企画を説明することになると思いますが、「何を期待されていて」「どういう成果をどういう方法で上げるべきなのか」を汲み取るのって案外難しかったりするので、そこを理解することが最初にやることですかね。

例えば、「AIで何かやってほしい」ということなのか、「本質的な工数削減をしたい」でも大きく変わります。「AIだから予算が出る」みたいなこともあるかもしれないので。工数削減であれば別にAI以外の方法もあるわけですね。なので、それを提案する余地があるかどうかは判断しなきゃいけません。まぁ、聞いちゃってもいいかもですね。「ぶっちゃけAIじゃないとダメっすか?」みたいな感じで。

ー最後に、これからPMになる人へアドバイスをお願いします。

僕も勉強中の身です。フレームワークが完成されているわけでもないし、やってみて勉強していくしかないですね。そういった点では、既にある知見をなるべく多く吸収していくのが成功の近道じゃないかなと思います。一緒に高みを目指しましょう!

ーありがとうございました!


最後に

NABLASはDXを推進したいプロジェクトマネージャー向けに、「明日から実践できる」講座を提供しています! 事例ベースでAI活用にあたって気を付けるべき点や考えなくてはならない点を整理し、企画立案から運用保守に至るまでの各フェーズを事例ベースで解説していきます。実際のプロジェクト推進を想定して、各課題に対して参加者同士で議論するワークショップを多数用意していますので、より実践的にプロジェクトマネジメントを学ぶことができます。

方法論が確立途上のAIプロジェクトだからこそ、先行の事例や知見を吸収していくことが有効です!DX推進を加速するため、ぜひ「iLect AI4PM」講座を受講してみませんか?


<講座名:AI4PM
概要:法人向けAIプロジェクトマネージャー育成講座
講師:冨山吉孝
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