【料理エッセイ】臨時収入でウハウハなので寿司を食べようと思ったら、まさかの定休日! 代わりに焼肉を食べたよ。たまたま29の日でお得だったよ。
7月29日(月)、臨時収入があった。仕事の出来を認めてもらって、約束していた金額に加算してもらえたのだ。こんなことはめったにないので嬉しかった。
そうなるとお祝いをしなくちゃいけない。普段、あまりないことなので祝杯をあげるときのレパートリーがわたしは貧困。寿司か焼肉しか思い浮かばなかった。
どちらにしようかな。
そんなことを考えながら、外に出て暑さにやられてしまった。メラメラと燃える炎を避けたくなって、自然、寿司に心は惹かれていった。
うちがよくいくお寿司屋さんは高円寺駅前の桃太郎すし。高円寺在住のお笑いコンビ・アルコ&ピース 平子さんも通っていることでお馴染みのお店。
ちゃんと握ったお寿司を回転寿司ぐらいの価格で楽しめるので、重宝している。
お刺身の5種盛りを頼むとなぜか7種ぐらい載っていたり、マグロを使った本当のネギマが食べられたり、嘘みたいにでかい茶碗蒸しが出てきたり、エンタメ性にも富んでいる。
普段はくら寿司に行くことが多いけれど、ちょっと奮発するとなったら桃太郎すしだ。そりゃ、ミシュランの星がついているような高級店に憧れるけれど、小市民たるもの、これぐらいがちょうどいいのである。
臨時収入でウハウハと言っても、しっかり一部は貯金に回し、新NISAに回し、資産形成に努めた上で遊ぶ癖がついている。なかなか後先考えず、パーッ! とはいけないのである。悲しいかな。
それにわたしは桃太郎すしで大満足している。全然、問題はなかった。
今日も白エビの唐揚げでビールを飲んで、日本酒をちびちびやりながらお刺身を堪能。柚子胡椒をつけたネギマに、さわらの最強焼き、穴子を贅沢につまむのだ。で、握りはウニとかシャコとか、好きなものを頼む。通ぶって、芽ねぎなんかもいってみる。もちろん、トロタク巻も忘れちゃいけない。
ちなみにこのあたり、過去の記事で書いているので、よかったら読んでみてください!
そんなわけでウキウキしながら桃太郎すしの前まで行ったわけだが、なんとビックリ。シャッターが閉まっているではないか。
「あーっ」
思わず、声が漏れてしまった。理由は調べるまでもなかった。7月29日は月曜日。飲食店の休みが多い魔の曜日に違いなかった。
うっかりしていた。いつもだったら、事前にちゃんとお店が空いているか確かめるというのに、臨時収入で浮かれていた。運が味方についていると過信してしまって、すっかり世界は自分中心に回っているとばかり勘違いしていた。
オーマイゴッドである。
どうしたものか考えた。こうなったらスーパーで買い物をして、家で夕飯を作ろうか。いやいや、すでにお腹は空いているし、灼熱の中を歩いて汗だくだし、そんな面倒やるわけないだろ。じゃあ、代わりのお寿司屋さんに行けばいいのか。残念ながら、最近は桃太郎すし一択で新規開拓ができていない。いま、チャレンジする勇気はなかなか湧いてこなかった。
とりあえず、移動をしてみるも、ゴールについたとぬか喜びをしてしまったせいで、体力の限界が近づいていた。早くビールを飲まなきゃ干からびてしまう。迫りつつあるタイムリミットに頭はいまいち落ち着かず、わたしは慌てふためいた。
そのとき、目の前に知ってるお店が現れた。
三四郎 高円寺店。オープンしたばかりのとき、郵便ポストに店主さんのこだわりが熱心に記載されたチラシが入っていて、いつか行きたいと思っていたお店だった。
正直、寿司の口にはなっていたけれど、わたしにとってのお祝い飯は寿司か焼肉のどちらかではあるから、本質的にはそう遠いものでもなかった。
ただ、価格帯が気になった。食べログでどんなもんか調べてみれば、1人当たり5000〜5999円とあった。お酒を多めに飲んでも二人で2万円は超えないだろう。よし、ここに決めた。
このとき、ラッキーだったのは7月29日だったこと。実はこのお店も月曜日が定休日なんだけど、肉(29)の日ということで特別にやっていたのだ。再び、運が戻ってきてくれた。
店内は混雑していた。ヤバい。飛び込みじゃダメかもしれない。そんな不安に駆られつつも、たまたまカウンターが空いていたので、予約なしでも入ることができた。
しかも、29の日特別セールとして、LINE登録をしたら通常価格2,860円(税込)の牛タン盛り合わせがイイ肉(1,129)円になるという。もちろん、すぐさまLINE登録を済ませた。
これがとにかく凄かった。どう考えても何倍の値段でいいクオリティのものが大量に運ばれてきた。とてもじゃないけど、1人前とは思えなかった。
しかも、タン下からタン元まで奥から順に並んでいて、味付けも段々濃くなるように仕事が施されていた。牛タンとはなんぞ、ってことがわかるように配慮されていて、お肉に対する愛を感じた。もちろん、美味しいのは言うまでもない。
それから、キムチとナムル注文したんだけど、このナムルが変わっていた。
一般的にはもやしとほうれん草、ぜんまい、大根と人参のなますみたいなやつと相場は決まっている。だけど、ここはオリジナリティが発揮されていた。とうもろこしとしめじがスタメン入り。これがそれぞれはじめての味で楽しかった。
そして、セオリー通り、タンの後はカルビやロースへ移行。種類が豊富でなにを選べばいいのかわからなかったので、これまた盛り合わせを注文した。
もう、間違いのないビジュアルをしていた。
1人前3,000円もしなかったけど、4種類が2枚ずつ載っているし、わさびや西洋ワサビも添えられているし、大根おろしがたっぷり入ったポン酢もあるし、好みに合わせた食べ方を選べるのも嬉しかった。
次はエビとホルモン。
ごちゃ混ぜホルモンというやつで、レバーも入って2,400円ぐらいとお得だった。辛味噌ダレにしたので、噛めば噛むほど旨味が出てきて、レモンサワーが進む、進む。メガジョッキにしておいてよかった。
エビはもともとお寿司を食べかった名残かも。殻までパリパリで、肉が連続する中、アクセントとして最高だった。
〆はカルビクッパにした。わたしは蕎麦アレルギーなので冷麺が食べられない。本当はチュルっとさっぱりしたものに憧れているが、危険を犯すわけにはいかない。辛くてこってりしたご飯で終わらせる。
このお店のカルビクッパは変わっていた。具材に海鮮がたっぷり入っている上にパクチーのトッピングができた。まるでタイのトムヤムクンみたいだった。
そして、これが辛いななんの! 酸味もあるのでムサずに食べるのは難しい。ヒーヒー、ゲホゲホ、風邪をひいたみたいになった。ただ、そんな苦行から逃げ出さないのは肉と魚介の出汁が複雑に絡み合い、旨味が大爆発を起こしているから。
やめられない、止まらない。
とはいえ、まあ、辛い。キムチがチェイサーみたいになってしまうほど。真っ赤な白菜の甘みを感じることができた。
ちなみに他にもいくつか頼んで、最終的なお会計は二人で15,000円ぐらい。これだけ美味しいことを考えれば、かなり安いと思う。
桃太郎すしが休みだったのは残念だったけれど、これはこれで大満足だった。
子どもの頃はご馳走と言ったら焼肉だったよなぁ、なんて懐かしくなったりもした。小学生の頃、クレヨンしんちゃんの映画『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』が大好きだった。
しんちゃんの映画と言えば、オトナ帝国とアッパレ!戦国大合戦が名作と名高いけれど、子ども視点ではどらちもシリアス度が高くって、ちょっと退屈に感じていた。
そんな中、大人向けの要素を完全に排除し、とことんくだらなさを追求したヤキニクロードはめちゃくちゃ魅力的だった。
もちろん、大人になってから原恵一監督の世界観を理解し、猛烈にハマっていくので、いまはオトナ帝国もアッパレ!戦国大合戦は大好き。
特にオトナ帝国は2020年代の東京オリンピックだったり、大阪万博だったり、歳をとった権力者たちが昭和ノスタルジーをマジで追い求める姿を見ながら、予言が当たり過ぎていると驚いた。
でも、子どもの頃はそんな凄いことをやっているなんて知らなかったので、焼肉を食べるために頑張るだけのヤキニクロードの方が好きだったのだ。
だんだん、年をとるにつれ、カルビが重たくなってきて、つくづく思う。焼肉を本気で楽しめるのは子どもだけなのかもしれない。
そういう意味でも大人向けになり過ぎたクレヨンしんちゃんの映画を子どもたちのものに戻すため、ヤキニクロードが作られたんじゃないかと勝手に合点してしまった。実際、当時のわたしはまんまとクレヨンしんちゃん愛を復活させた。
ただ、そのせいで、いまも焼肉へ行くと童心に戻ったしまって、必要以上に食べ過ぎてしまう。今回もちゃんと翌日の朝は胃もたれしていた。でも、それは気持ちのいい胃もたれだった。
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