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【時事考察】夏休みだし、読書感想文の書き方をポイント別にまとめてみた! 簡単に楽しく宿題を終わらせよう!

 夏休みに入り、子どもたちから読書感想文の書き方をたびたび聞かれる。これまでも何度か教えたことはあるけれど、毎回、「いつも似たようなアドバイスをしているなぁ」と思ってきた。

 だから、一回、ポイントをまとめておきたかった。でも、なんだかんだ面倒くさくて、後回しにしてきてしまった。

 ただ、今年はnoteをやっているし、記事にしちゃえばいいじゃないかと一念発起。こうして重たい筆を取るに至った。

 そんなわけで、以下、書き方のポイントをリストアップしているので、よかったらご参考までに!


 さて、まず子どもたちが感想文を嫌う理由がなんであるか取材してみた。聞けば、あらすじをまとめるのが難しいという。本の後ろに書いてあるやつとか、ネットで調べて出てきたやつとか、書き写していると言っていた。

 この問題の解決方法は単純明快。あらすじを書かなければいいのである。

ポイント① あらすじを書いてはいけない

 
 あらすじとは要約のことである。そりゃそうだろって話なんだけど、この要約がめちゃくちゃやっかいな代物なのだ。

 なにせ、要約は想像以上に技術が必要。、普通、訓練なしではうまくいかない。

 その証拠に東京大学の入試で合否をわけるのは要約力と言われている。英語のテストは1問目が要約だし、国語に至っては漢字以外はすべて要約問題。数学も理科も社会も必要な知識はあれど、それをいかにうまく要約するかが問われている。

 実際、社会で頭がいいと言われる人は要約の技術に長けている。複雑な情報をわかりやすく整理し、TPOに合わせて内容をまとめられるとスマートな大人って感じがする。

 とはいえ、そのことを分かっていても、ほとんどの人は失敗してしまう。結婚式のスピーチだったり、政治家の演説だったり、ことごとく退屈で長ったらしい。社会的に成功している人たちでさえ、要約は苦手なのだ。

 そう考えると小中学生があらすじを書けないなんて当たり前。だったら、最初から書こうとしない方がいい。

「でも、あらすじを書かないとしたら、感想文はなにから書き始めればいいんですか?」

 なるほど、そんな風に聞かれてしまうような気がする。

 この疑問が生まれる理由は感想文を「本の感想文」と捉えているから。主体が本になっているから、まずは本について説明しなきゃと考えてしまう。

 なので、視点を少しズラしてみよう。例えば、「わたしの感想」としてみよう。すると、主役は本じゃなくて、感想文を書くあなた自身に変わるはず。

 あなたがその本とどうやって出会い、どんな風に読み、どんなことを思ったのか。そういう物語を書けばいいのである。

 従って、読書感想文はあなたがその本をどうして読もうと思ったのか、そこからスタートさせてみよう。

ポイント② その本を読む理由から始める


 感想文は本を宣伝するための文章じゃない。あくまで、あなたがその本を読んで感じたことを表現するのが目的である。

 一般的に、人は理由なく本を読んだりしない。家族や友だちにオススメされたとか、テレビやYouTubeで面白いと紹介されていたとか、表紙やタイトルが気になったとか、なにかしらのきっかけがあったはずだ。

 なんなら、夏休みの宿題で読書感想文を書かなきゃいけないので、ほんとうは本なんて読みたくないけど、嫌々、一冊選んだのかもしれない。

 そういう経緯を正直に書いたらいいのだ。

 やる気がないなんて言ったら怒られそう? いやいや、心配しなくてOK! だって、ちゃんと本を読んで、感想文を書いているんだもの。十分に立派じゃないか。

 仮に、本を最後まで読めなかったとしても、なにかしら一冊選び、読もうとしたってことを書くことができたら、恐らく、それもまたユニークな感想文になり得るかもね。

 ただし、その場合、どうして最後まで読むことができなかったのか、理由を分析し、文章にしなきゃいけない。この表現がどうしても受け入れられなかったとか、あまりにつらい内容でページをめくれなくなってしまったとか。結果、最後まで読んだ方が楽な気はする。

 さて、こうして感想文を書き始めることができたわけだけど、次に、なにを書けばいいかで悩んでしまう。

 そんなときはその本を読む前と読んだ後で、自分の考え方がどんな風に変化したかを書いてみよう。

ポイント③ ビフォー&アフターを書いていく


 感想文に限らず、文章というものは変化を表すものである。

 小説や漫画は主人公がある出来事を通して、どのように成長したかを描かなきゃいけない。(※シュールレアリスムやモダニズム、ポストモダンなど例外も多々あるけれど) 専門書はこれまでの謎が解明される。マニュアル本ならできなかったことができるようになるし、ノンフィクションなら隠されていた真実が明らかになる。エッセイも自己啓発本も占いも参考書も、ビフォー&アフターが基本的には存在している。

 そして、読書感想文とはそういう本におけるビフォー&アフターと読み手のビフォー&アフターを重ね合わせ、あなたの言葉で語り直す構造を有している。

 いくつか例を書いてみよう。

例文:環境問題について

 これまで環境問題に興味はなかったけれど、夏休みに家族で山登りをしたところ、ポイ捨てされたゴミが多くて気になりました。
 このゴミが放置されたらどうなってしまうのか。そのことが知りたくて、図書館で『ごみ問題・森林破壊 私たちにできること』という本を読んでみました。
 まず、驚いたのは森は木だけじゃないということ。てっきり森は木がたくさんあるだけの場所だと思っていましたが、実際はそれ以外にも、土や水、動物など多くの自然を含んでいるそうです。その一部が汚染されたり、破壊されたり、なにかしらの問題が起きれば、わたしたちの生活にも影響が出てしまうそうです。やはりゴミを放置してはいけません。

例:学校生活について

 わたしはいじめられているわけではないけれど、いつか、いじめられてしまうんじゃないかと不安でいっぱいです。
 そのことをお母さんに相談したら、『きみの友だち』という小説を渡されました。
 普段、わたしはYouTubeなど動画を見ることが多いので、本を読む気にはなれませんでした。でも、せっかくお母さんが用意してくれたものなので、少しずつでも読み進めようと頑張りました。
 最初は本当に大変でした。つい、スマホを手に取ってしまって、1ページも進まない日もありました。ところが、八方美人で悩む女の子の話になったとき、まるで自分を見ているようで、そこから一気に最後まで読んでしまいました。
 これこそ、わたしが悩んでいることでした。誰からも嫌われないようにしているけれど、誰からも好かれていないんじゃないか。いまはまだ仲間はずれにされていないけれど、いつか、仲間はずれにされるんじゃないか。そんなことをウジウジと考えてしまいます。
 変わらなきゃいけないと思いつつ、どうしていいかわからずにいました。でも、この小説を読んで、嫌われることを恐れるのはやめようと少し勇気が湧いてきました。
 万が一、仲間はずれにされたとしても、絶対に信頼できる友だちが一人でもいれば、なんの問題もないのです。そのことをこの小説はわたしに教えてくれました。

 こんな感じで、その本を読む前と読んだ後であなたの考え方がどんな風な変わったかを書けば、読書感想文っぽい雰囲気になってくる。

 その上で、必要な文字数に達するまで「次に〜」「他にも〜」「そして〜」とビフォー&アフターを複数並べていけば本文はできあがり!

 あとは仕上げの文章を添えるだけ。

 このとき、つい、個性を出したくなるけれど、読書感想文は未来に向けたポジティブなメッセージで終わらせるのが無難なところ。なにせ、大人は子どもたちに明るく育ってほしいから。

 あなたの読書感想文を読んでくれるのは先生やご両親。最後はしっかり読者サービスをしなくちゃね。終わりよければすべてよし。「この文章を読んでよかった」と感じてもらおう。

ポイント④ 〆は希望にあふれた未来形


 先述の環境問題だったら、「ゴミ拾いのボランティアに参加したくなりました!」とか「将来は大学で生物多様性に関する研究をしたいです」とか、自分が世界をよくしてやるんだって気概を示せるとカッコいい。

 学校生活だったら、「2学期はわたしらしく頑張ろうと思います!」とか、「友だちっていろいろな形があるから、焦らず、身近な関係を大切に守り続けていきたいです」とか、素敵ってなるんじゃないかな。

 まあ、ちょっと、くさいよね笑

 わかるよ、わかる。こんなこと書きたくないって抵抗したくなっちゃうよね。あまりに狙い過ぎているから、改めて、そのことを指摘されたら恥ずかしい。王道にもほどがある。

 でも、この部分を読むのはあなたの感想文を最後まで読んでくれた優しい読者だけ。おそらく、先生かご両親だと思うけど、そういう人たちはいまさら意地悪してこない。だから、堂々とベタをやろう!

 もちろん、面白く終わらせるアイディアが浮かんでいたら、それにチャレンジしたっていいよ。ただ、意外とそれを形にするのは大変なので、所詮、夏休みの宿題なんだし、定番の形でサクッと終わらせてしまえばいいさ。

 以上、わたしなりの読書感想文の書き方である。

 様々な意見はあるかもしれないが、できれば、子どもたちに読書感想文を通して、文章を書く喜びを味わってもらいたいと思っている。

 なので、chat gptを使ったり、ネットの感想をコピペしたり、テンプレの単語を差し替えたり、大人が代わりに書いてあげたり、子どもが自分なりに考えるプロセスを省いたやり方には反対だ。

 たしかにタイパって観点で言ったら、読書感想文はめちゃくちゃ効率が悪い。本を読まなきゃいけないし、原稿用紙3枚とか埋めなきゃいけないし、その時間を受験勉強に充てた方が生涯年収は増えるのかもしれない。

 それでも、卒業文集が廃止されている学校が増えている昨今、子どもたちが自由に文章を書ける機会は減っているので、読者感想文ぐらい好き勝手書く経験をさせてあげたい。

 というわけで、最低限度、あれこれ頭をひねる余地を残しておいた。ゆえに、どういう本を読んだ方がいいかは記載しなかった。

 ちょっともったいぶった言い方をしてしまったけれど、つまり、逆に言えば、読書感想文に向いている本があるということ。

 裏技として、これを伝授し、この記事を〆ていこう。

裏技 課題図書のノンフィクションを選ぶべし


 毎年、夏になると読書感想文の課題図書が発表される。学年ごとに複数の本が選ばれる。

 コンクールに出したり、宿題の本に指定がなければ、この中から選ぶ必要はないけれど、一応、課題図書になったいるだけあって、どこの本も感想文が書きやすい。

 その中でもノンフィクションものは読みやすいし、感想文が書きやすいし、宿題をこなすという意味では圧倒的にオススメだ。

 何事もそうだけど、向き不向きというものはある。読書感想文にも向いている本と向いていない本がある。

 実は、選書の段階で、感想文がうまくいくか否かの大半は決まっている。

だけど、そんなの関係ねえ


 しかし、畢竟、感想なんてなんでもあり。長々とポイントを説明したけれど、「そんなの関係ねえ!」とすべてを無視した感想文をわたしは読みたい。

 なんだかんだ、好き放題やってくれ。あなたなんだ、これからの未来を創っていくのは!




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