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余韻を残す、向田さんの作品<隣の女「春が来た」>

隣の女 著者:向田邦子さん

完ぺきな人より、ちょっと抜けていて、まわりを明るくしたり、和ましてくれる人に惹かれる女と、それでいて憎めない男を書き表す向田さんの筆にとりこになりました。

以前に向田邦子さんの「愛という字」という本(本ページの一番下にリンク掲載)を紹介しましたが、今回は、「隣の女」という文庫本を読みました。

五編目に収められている「春が来た」は、ひとつの家族と、前述した憎めない男が登場します。この憎めない男はつき合っている娘の家族とともに、ご飯を食べて、話をして、くつろぐ時間を過ごしますが、その家の娘とは結婚する気はなさそう。そして、ある日、娘の母親が亡くなり・・・

娘の私が、母のことを男に伝えないところがなんとも心憎く、「もう少し母親を生かしておきたかった」という娘の言葉が、タイトルの「春が来た」につながります。

向田さんの本は、言葉や行動で伝えることではなく、余韻を残しておくというのでしょうか。それが想像力をかきたてるのです。

また、“足許がキヤキヤする”って言葉が出てきますが、これも茶目っ気があると思いませんか?

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