Present for you <世界は「」で満ちている>
今、あなたの目の前に5つの水溜まりが広がっているとします。
愛、 孤独、 毒、 無知、 君
あなたは、これらの水溜まりをどうしたいと思いますか?
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最初に“世界は「」で満ちている”というタイトルを見た時、「」に文字が入っていないのが不思議で「」は自分で考えるのかなと思いました。そんなことはないですね。本作では5つの短編にそれぞれ「」があり、最後はパズルのようにきっちりはまる物語となっています。
さて、きっちりはまる内容とは、
中学2年の由加は親友の涼ちゃんと楽しい毎日を過ごしていましたが、クリスマスパーティの出来事で一気に白から黒の世界に反転します。
それから由加は、幼なじみで現在は問題児とされているゆうくんや新しいクラスメイトとの関係が始まり・・・。
一見、普通の生活を描いているように見えますがとんでもない!
私たちの感情からくる出来事を見事に映し出しているのです。
特に素晴らしいと思うのは、「」の中に入る
孤独 ⇒ 毒 ⇒ 無知 ⇒君(人)
の順番です。
毒はいきなり始まるわけではありません。
何かしらの感情があり、少しずつ毒に変わっていきます。
また、毒には外に吐き出す毒と、内に秘める毒の両方があると思います。どちらも収まりきれなくなると、突然爆発することになり、自分のみならず他人に深い傷を負わせることにもなります。その時、私たちはどのようにしたらいいでしょうか。
由加はこう言います。
「私たちにはちゃんと解毒剤があるんだね」
自ら解毒剤があることに希望を見出し、人への感謝や温かい思いが芽生えていくのです。
思春期の中高生世代だけが読むにはもったいない!大人だからこそ、忘れていた感情が”はっ”と目覚める、あなたに贈る物語です。
あなたの中にもある“水溜まり”を一緒に見つめてみませんか?
書き続ける楽しみを感じています、その想いが伝われば嬉しいです~