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ミラーレス一眼レフを買ってから1年。カメラ初心者のディレクターが思うこと。

 去年11月、私はフルサイズのミラーレス一眼を思いきって買いました
 プライベートはもちろん仕事でも使えればと試行錯誤し、お財布とも相談した結果、Sonyのフルサイズミラーレス「α7c 」という機種を購入しました。

 なんでα7cを買ったのか?は前に記事にしたので、よかったらそちらも見てみてください。

 やはり一年くらい使うと、このカメラの良いところ悪いところも見えてくる…
 先月、α7c の純粋な後継機『α7c Ⅱ』が発売されたのもあり、早くも「買い換えようかな…」なんて思ってしまってもいます。スペックを見るに、α7cⅡなら私がデメリットと感じている部分も解消してくれそう…。

 こうしたタイミングということもあり、この1年で感じた一眼レフカメラを買って"良かった部分"と"悪かった部分"を洗いざらい書いていこうと思います

 ちなみに私は、仕事上、ドキュメンタリーっぽい使い方をすることが多いです。そのため、私にとっての"良かった部分"はポートレートムービーやミュージックビデオなどを撮影する人たちの"良かった部分"とは少し違ったものとなると思われますのでご理解ください。



メリット① カメラに詳しくなれた

 まず、これまでの私は、スマホカメラやビデオカメラしか扱ってきませんでした
 仕事でも、テレビ局の記者やディレクターは、自分でカメラを回さずカメラマンに任せることが多く、回したとしてもサブ程度。大型カメラを持ち込むには仰々しすぎる場合などに小型のビデオカメラを回すだけで、「最悪、被写体が画面内に映ってりゃOK!!」というくらい、編集的な繋ぎやすさ映像的な魅力も考えられていないゴミ映像を大量生産していました…

  使うカメラは、CANONのXA25やSONYのz150AX60などのビデオカメラが主で、たまに変化球としてGoProを使うくらいでした。もちろんマニュアルで撮影なんてしたこともなく、設定は全部オート。ホワイトバランスやピントもオートで、シャッタースピードやF値、ISO感度などは聞いたことすらありませんでした

 そんな私でも、1年間も一眼レフカメラを触っていれば、基本的なカメラについての知識が身に付きます。
  露出をマニュアルで調整するのはのはもちろんフォーカスも場合によってマニュアルフォーカスを使い分けるなど、カメラマンとしての技術がちょっぴり向上しました。
 
  露出の設定も使い分けることができるようになり、「ここは顔に影を落としたいからF値を上げて逆光で撮ろう」とか「奥行を感じさせたいからF値を下げて手前をぼかそう」のように、少しは『画作り』を考えられるようになってきました。

 新人の頃から口酸っぱく「テレビは画が命なんだぞ!」と言われてきましたが、最近はその意味がより分かってきました。それもこれも、一眼レフカメラを買ったからこそだと思います。


メリット② より映像が好きになった

 一眼レフカメラの映像って、とにかく綺麗なんですよね。ビデオカメラとの大きな違いは、やはり”ボケ感”。まわりがボケることで、主人公の輪郭が際立って、より立体的な映像に見せることができます
 あとは、暗いところでも明るく撮影できるところも大きく違います。
 ビデオカメラだと夜はノイズがでてしまい、画質がガクッと落ちますが、一眼レフだと輪郭が滑らかなまま、きれいに撮影することができます。

 これを可能にしているのが、ひとえにセンサーサイズの違いです。
 例えば、キャノンの業務用ビデオカメラXA60 とセンサーサイズを比較すると、XA60のセンサーサイズが1/2.3
 一方のα7cはフルサイズなので、かなり差がありますよね。  

Orteryの記事よりセンサーサイズの比較(https://www.ortery.jp/ec-blog/aps-c-fullsize/)

 レンズなどにもよるので一概には比べられませんが、暗所では一眼レフカメラの方がビデオカメラより基本的に強いんですよね。
 ビデオカメラは、それと引き換えに一眼レフより優れたところもたくさんあるので、ビデオカメラが完全に劣っているというわけではないです。 
 ただ、人間がぱっと見たときに「キレイ!」と思える映像を作りやすいのは、一眼レフカメラなんだと思います

 そして、きれいな映像を撮れるとやっぱり気持ちがいいわけです。そして、もっと気持ちよくなりたいので、もっと綺麗な映像が撮れるようになるにはどうしたらいいのか、積極的に学びたくなります

 いろんな映像作品を見たり、きれいな映像を撮ってる人のYoutubeを参考にしたりなど、映像を学ぶのが楽しくなっちゃうんですね。

 それがカメラの技術を上げることにもつながるし、しいては映像のクオリティを上げることにつながっていく気がしています。


メリット③ 編集もこだわるようになった

 カメラできれいな映像を撮影することができるようになると、今度は編集の時にさらに綺麗にしたいと思うようになります
 特に、私は「スローモーション」など速度を変える編集や「カラーグレーディング」といった色味をいじる編集を頻繁に取り入れるようになりました。
 
 α7cは、4Kだと30pまでしか撮影できませんが、2Kであれば120pで撮影することができます。テレビ映像は2K30pですから120pのフレームレートで撮影すれば、速度を1/4まで落としても滑らかなスローモーションで見せることができるわけです。

 また、色情報については、α7cは8bitまでしか記録できないため、10bitで撮影できる上位機よりは階調が荒くなります。ただ、それでも色編集をした方が映像を鮮やかに見せることができますし輝度に関しては編集でかなり改善することができます
 撮影時にホワイトバランスや露出の調整をミスってしまっても、編集である程度挽回がきくわけです。

 昔なら映像が多少ぶれていても気にならないくらい鈍感だった私ですが、一眼レフカメラを買ってからはよりプロ意識を感じるようになりました。

 ただ、視聴者がそこまで求めているのかということを考えると、以前までの自分の感覚に近い人もいると思うので、こだわるべき場所を見誤らないようにだけ気を付けたいと思います。


メリット④ お出掛けが楽しくなった

 出掛けるのが楽しいって…当たり前だろっ!!!と思われるかもしれませんが、これ冗談ではないです。

 むしろ私は、仕事の疲れなどもあり、休みの日にどこか行くのって億劫だなと感じることが多かったんです。休みの日は、出かけるより、家でゆっくりして心身ともに休んだ方が、自分のためになるとさえ思っていたわけです。

 それもこれも、出掛ける「目的」がなかったからなんですよね。
 自分が「痩せてかっこよくなりたい」と思ったら、休みの日は運動して汗を流して体を絞るのに時間を使うでしょうし、「英語が喋れるようになりたい」と思ったら、休みの日に英会話教室にでも通っていたでしょう。
 
 でも今は、「カメラできれいな映像が撮りたい」という「目的」ができたことで、きれいな映像が撮れるところに出掛けるのが楽しくなったわけです。

門司港レトロ(福岡県北九州市)
錦帯橋(山口県岩国市)


 観光地に行ったら、きれいな景色を見て、うまいものを食べるだけでなく、写真や動画を撮る。思い出というインプットだけでなく、映像作品を作るというアウトプットまでできちゃうわけだから、一石二鳥で楽しさ2倍です。 
 カメラを趣味にしている人が多い理由が一眼レフカメラを買ってよくわかりました。


デメリット① 手振れがすごい

 ここからは、一眼レフカメラ(α7c)を買ってデメリットに感じた部分や不満点を書いていきます。
 
 まず、一番がっかりしたのは、思った以上に手振れ補正が効かないということです。

 これまで使ってきたビデオカメラは、4~5万円のホームビデオ用のものでも手振れ補正が優秀でしたし、スマホカメラもデジタル補正が優秀なので、そこまで手振れが気になることはありませんでした。

 しかし、α7cはボディ内手振れ補正があるにもかかわらず、その効き具合は、正直あっても無くてもさして変わらないのではないか…というレベル。手持ちでずっと撮影するのは厳しく、私が買ったレンズがSONY純正ではなく、サードパーティのタムロン製というのを差し引いてもガッカリしました。
 
 結局、レンズ内手振れ補正があるSONY24-105mmF4 G OSSのレンズやジンバルを買うことになりました。

 ただ、新しい機種や上位モデルには、「アクティブ手ぶれ補正」が搭載されていて、これがとても優秀なので、このためだけに新機種への買い替えを検討しています…


デメリット② 音が悪い

 正直、一眼レフカメラのマイクは使いものになりません
 スマホと同レベルか、それ以下だと思います。

 それもこれも指向性がないため、撮りたい人の声を重点的に撮ることができないわけです

 やはりちゃんとした音を撮ろうと思ったら、最低でもSONYの純正ガンマイクを付ける必要があると思いました。
 私は最初、RODEのVideoMicroというコンデンサーマイクを使用していたのですが、番組MAを担当した音声マンの方に「マイク安いの使ってるでしょ?」と見事に言い当てられてしまい、そこからSONY純正のマイクを買いなおしました。

 買ったのは、SONYのECM-B10という製品で、そこからは音声に関しては基本的には満足しています。ただ、欲をいうとXLR端子のマイクの方が音質がきれいなので、余裕が出来たら仕事用に買い足そうかなと思っています。


デメリット③ お金がかかる

 ここまでのデメリットを見て気づいたと思いますが、一眼レフカメラは何かとお金がかかります
 
 まずかかるのはレンズ代
 これが思っていた以上に高い。なんなら、本体より高いものもある….
 
 私は、タムロンの28-200mmF2.8-5.620-40mmF2.8SONYの24-105mmF4の3本を買いましたが、合計で30万円くらいします…
 
 このほか、ジンバル、NDフィルター、マイク、三脚、SDカード、クイックリリースプレートなどなど…
 私は編集用にパソコンも購入したうえ、ドローンも購入したため、合計で80万円以上は使いました。

 ビデオカメラなら20万円くらい出せば一台で28mm~400mmくらいまでズームしてくれるし、マイクもついてるし、手振れもしない….。本当に買うべきは一眼レフカメラだったのか….?

 改めて振り返ると、これを趣味として終わらせるのは、本当にもったいないですよね…
 ただ、リセールバリューは高いので、全部売ったら半分以上のお金は戻ってくるとは思います。 それでも高いですが…


まとめ~今後どうしていくか~

 ここまで読んでいただいた方は、ありがとうございました。
 メリットもデメリットも正直に書き連ねましたが、この1年間の総評としては、本当にカメラは買ってよかったと思っています

 やはり、自分に未知の体験を与えてくれたというのが何よりも大きいです。カメラという楽しみを持てたことで、自分の人生に色どりが出ましたし、仕事がより楽しめるものになってきました

 もちろん、ここまでお金をかけてきたことで正当化してしまっているというのもあると思いますが…

 ただ、少なくとも、今のテレビディレクターという仕事を辞めることはあっても、カメラという趣味を手放すことはないのではないかと思っています。

 そして、今後についてですが、この1年の振り返りから
  ①アクティブ手振れ補正のついた機種を買う
  ②4K60p、10bitで撮影できる機種を買う
  ③デュアルスロット(SDが2枚入る)の機種を買う
  ④XLR端子のマイクを買う

 ということを検討しています。

 今のところは、α7Ⅳという機種が有力候補なのですが、近々α7sⅢの新型も発表されそうな気もしますので、そこまで待つのもありかな、なんて思ってもいます。

 今後は、自分が撮影して編集した映像をYoutubeなどにアップしていくのもありかな、なんて考えています。こんな調子で細々とカメラライフを楽しんでいけたらと思います。

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