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近代仏教人物誌

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近代を生きた仏教者たちの諸相。『仏教人物の事典―高僧・名僧と風狂の聖たち』(学研,2005年3月)や『中外日報』連載「近代の肖像」への寄稿等を再録しました。
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日本におけるダルマパーラ

日本におけるダルマパーラ



アナガーリカ・ダルマパーラ(Anagarika Dharmapala 一八六四〜一九三三)はスリランカ(英領セイロン)に生まれた仏教者である。アナガーリカとは本来「出家者」を意味する言葉だが、彼は正式な得度儀式を受けず、有髪のまま黄色い袈裟をまとい、禁欲清浄行を守りながら仏教伝道と社会的実践に従事した。スリランカは比丘戒の伝統が厳守されるテーラワーダ仏教(上座部仏教)の国だが、ダルマパーラは晩

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野口復堂

野口復堂



野口復堂(のぐち ふくどう,一八六四?~?)は元治元年生の「教談家」である。僧侶や学者先生の講演会の余興に、道徳訓話や歴史物語を巧みな話術で披露するのが仕事であった。

本名は善四郎で、旧姓を貫名と言った。復堂の父は京都の商人で、維新後は上京二組の戸長と愛宕郡小山村の村長をつとめた。善四郎の学生時代に出家(日蓮宗)して貫名無着日信と名乗っている。

無著の十三人の子供はほとんど早世したが、残っ

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