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発声について

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#川口聖加

影響を及ぼし合う身体の仕組み

影響を及ぼし合う身体の仕組み

昨日の話ですが、朝オンラインで「足裏リセット体操」なるレッスンを受講しました。

最初に立ったり歩いたり屈伸したりして、身体の様々な部位の感覚を確認し、その後20分強の足裏マッサージや、足の指のストレッチ、足の骨の矯正を行い、終了後に、最初と同様立ったり歩いたり屈伸したりして感覚の違いを確認して終了です。

たったこれだけの事なのに、想像以上に明らかな変化があったことに驚いています。

まず私の場

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高度な技巧を要する曲について、歌手の視点から

高度な技巧を要する曲について、歌手の視点から

先日、府中の森芸術劇場ウィーンホールという素晴らしい音響を有する音楽ホールでモーツァルトのモテット<Exsultate, Jubilate 踊れ、喜べ、幸いなる魂よ>をオーケストラ伴奏で歌わせていただく機会がありました。

この曲はコロラトゥーラと呼ばれる、速いパッセージに細かい音が沢山並ぶ高度な技巧を要する部分が多くを占めています。

全3楽章を演奏会で歌ったのはこれで2度目。前回は弦楽合奏版で

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歌う前のウォーミングアップの大切さ

これを読んでいる皆さんは、どのくらいの世代でしょうか?20歳前後の声楽の学生かもしれませんし、40歳以降の趣味で合唱をされている方かもしれません。年配の方でしたら、若い頃の方が何も考えずに楽に声が出せたのに今は出しづらくなったと感じている方も多いのではないでしょうか?

10代から25歳くらいまでの若い歌手の中には「歌う前にストレッチや発声練習をしてもしなくてもあまり変わりない」と感じている方が多

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発声器官の多くが不随意筋であるということ

発声器官の多くが不随意筋であるということ

声楽を始められたばかりの生徒ですが、大変熱心な方がいます。オンラインレッスンで先日こんな質問をされました。

「首に力を入れずに高音域を出すということがよく分かりません。声帯を細く伸ばしていくには輪状甲状筋を収縮させ、甲状軟骨を傾斜させる必要があると書いてありました。首に力を入れずにどうやってこの筋肉を収縮させるのでしょう?何かしらの刺激なしには収縮しないと思うのですが。」

気持ちは分かります。

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舌のはなし

舌のはなし

舌はとにかく重要です。のどが絞まった声、つまり声道の一部である咽頭腔が狭くなって適切な空間が保てないときの主な原因のひとつに舌が挙げられます。舌の扱いがスマートに出来るようになると(あるべき場所にいられるようになると)ずいぶんと歌いやすくなります。

舌はどこにあればよいのでしょうか?普段の生活では、舌は「スポットポジション(前歯の付け根あたり、上あごの一部)」に吸着していることで、5kg近い頭を

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なぜ先生によって言うことが違うのでしょうか?

なぜ先生によって言うことが違うのでしょうか?

この記事を読んでくださる皆さんは、少なくとも発声や歌、ボイトレについて多少の興味がある方、レッスンなどを受けたことがある方だと思います。複数の先生に習った方は、先生によって言うことが違う(場合によっては逆のことを言われた)と思った経験はないでしょうか?

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声を前に飛ばして

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のど(喉)という曖昧な言葉

のど(喉)という曖昧な言葉

皆さんは「のど(喉)」という言葉をどんな時に使いますか?

レッスンで良く使われる表現・・・「喉が絞まる」「喉を開ける」

この場合の喉とはいったいどこを指すのでしょうか?

「のど(喉)」と一口に言っても、解剖学的には口腔、上咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭(声帯を含む)に分かれます。喉の天井部分、鼻の奥も喉であるし、食道と気管に分かれた後も喉と呼ばれてしまう、あまりに広範囲を指す言葉なのです。

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