長旅に必要な武器とは。

セクハラ、パワハラ、マタハラ…
社会はたくさんのハラスメントで溢れています。
いろんな『不愉快』にさせる行為に対して、それぞれに定義が付いた、といったところでしょうか。
そしてそれの中には不愉快だけでは片付けられない、大きな傷を残すものも多いのが事実、現実です。

私はこの『不愉快』について、笑って受け流すことが自分を守る術だと思っていました。
まだそういった定義が明確でなかった時代の諸先輩方。まだまだいます。
特に10年ほど前の私が新入社員だった頃は、地域差もあるかとは思いますが、まだその定義も出来立てという雰囲気も強く、なかなか苦労しました。
(その頃の処世術により生じた誤解について、こちらの記事で触れています。)
これはほんの序の口。書きたくないくらい嫌な記憶になっているものもあります。
少しでも『自分が悪いのでは』と思ってしまったあの頃の自分を抱き締めてやりたい。そう思うことが今でもあります。

10年前の話ではない

ではあれから10年ほどたった今、同じようなことはないのか?
時が経てば、時代が平成から令和になれば、そんなことはなくなるのか?

答えは"否"です。そう思います。

令和になっても
「コハル(仮名)も、妊娠するなら計画的にな」
なんてほざいてくるおっさんもいるんです。

(おっと失礼、口が悪いですね。)

聞いた時、それはそれは驚きました。
えー!まだこんなこと言う人いるんだ!
管理職なのに!!
こんな人がハラスメント窓口にいたのかと思うとぞっとしますねーほんと。
もう一度ハラスメント研修を受けていただきたいものです。

そもそもこの妊娠を計画的にという時点で、言いたいことは山のようにあります。
はらわた煮え繰り返りますよ、今でも。

でもね、これが今の現実なんだと思います。

ではこれを受けて、
私は悲しむことしかできないのでしょうか。
諦めるしかないのでしょうか。

それは"否"です。というか、"嫌"です。

感情的になったら負けである。

この『計画的妊娠に対する問題発言』の件については、すかさずこちらの立場になってフォローする人がいたので、私が相手に対してその場でどうするこうするといったことはありませんでした。

あ、ちなみに補足ですが、このフォローしてくださった方について。問題発言をした人と同年代、同じ性別の男性です。ですので、すべての男性諸先輩方が悪い!ということではありませんので悪しからず。正直、性差ってどこまであるの?という心の声もあったりします。

ただ、今回の一件以外にも、随所で感じる時代錯誤や、制度と体制・運用・現場の矛盾。
挙げたらキリがないし、なくなるにはまだまだ時間もかかる。
まずはこの悲しき現状とひとまず共存して、歩んでいかねばなりません。
なぜならそうしなければ、なくなる時代が来る時が延びに延びてしまうから。

そして今私が共存のために意識しているポイントは以下3つ。

①笑って受け流すことはしない
②肯定と捉えられる言葉は使わない
 (そうですね、たしかに、など)
③意見を伝える時は、感情を切り離すように意識する

まずは①②を意識します。
理由は言わずもがなで、あなたの意見には同意しない、という意思表示。
そんなのおかしい、間違っている。そう直接的に伝えるのが難しいケースもある。悔しいけど。
言っても意味ないな、この人。そう見切りをつけざるを得ないケースや、言ったところで自分が無駄に感情的に傷付くだけ。そんな時には①②を心掛けています。

そして意見を伝える場合は、③を特に意識することを心掛けます。
個人的意見ですが、時代錯誤なハラスメント発言をする人は、傾聴する意識が低い場合が多いと感じます。
そして特に男性から女性に対してそうする人は『女性は感情だからな〜』なんて思っていて、ほれを嫌う傾向があるように思うのです。
ただでさえ乏しい傾聴力。そこに感情を乗せて話した場合は、ますます耳はこちらに向かない。
感情的なところではなく、理路整然が一番聞くし、効く。
私個人的には、難しく感じることもあります。
むかつくー!!!って思ってしまうこともあるから。
でも、③を意識することを忘れない。
ただ、理路整然としたつもりで考えた説明を感情的に伝える時は『はぁ、めんどくせぇ』と相手は聞く耳を持たないので注意。
あくまでも、淡々と。

感情的になったら負けである。
そう思うことがわたしには③を意識するのに効果的なので、ぐっと暴れ出しそうな感情をおさえつます。

それにもう一つ。
感情的になると自分の意見が正義になって、相手と同じことをしかねない。これが一番こわいことなもしれません。
オレの話をきけぇ〜!と、自分の正義を振りかざす。
相手は自分の鏡。
そう意味でも、感情的になったら負けなのであります。

フワリと舞って、ブスリと刺す。

こうは言っておきながら、やっぱりむかつくものはむかつくし、私もできた人間ではないので困ったものです。
①②だけじゃ我慢できなくて、あー!!言ってやりたい!!!言ってやればよかった!!!って後になって頭の中が憤りという感情に埋め尽くされて蠢いて、頭がぐわんぐわん鳴ったりする。

そんな時のこと。
女性の大先輩がとてもにこやかかつスマートにハラスメントさん(仮名)の言葉をかわしているのを目の当たりにしました。
冗談の中にも自分の意見を織り交ぜて伝えていて、とてもスマート。
『うふふ、なるほどですねー。私は〇〇だと思うので〇〇すればいいと思いましたけどねぇー。』
ヒラリと舞う蝶のように軽やかでした。
鬼〇の刃の胡蝶し〇ぶさんをイメージしてください。(伝わると良いのですが)

パフォーマンスでも、一度相手に寄り添って受け取ってみる。
相手がちゃん聞いてるんだか聞いてないんだかはっきりとは分からないところはありますが、
お前うるさいから出て行け!と土俵から追い出されることがない。
だからずっと相手に意見を伝える機会が与え続けられる。
そしてちゃんとプスリ、時にはブスリと自分の意見を刺すのです。
(こちらも胡蝶〇のぶさんをイメージしていただけると幸いです。)

こういうやり方があるとは。目から鱗でした。
とても優しくて、そして何よりスマート…!
か、かっこいい…!
闘い方にはいろいろあるものです。

いざ、行かん。

『ファイッ!』ゴング『ゴーン!』
といった具合にタイマンをはるやり方ではなく、
こうやって軽やかに舞って、スッと刺す。
長期的に見ると、こういうやり方がもしかしたら一番効くし、自分が戦い続けるうえで精神・体力的にも持続可能かも?
そんなことを感じた出来事でした。

いずれにしても、感情でガチンコ勝負ではなく、少し一呼吸を置いてスマートにいきたいものです。

本当の意味での男女平等や多様性への理解には、悲しいかな、まだ時間がかかりそうです。
でも、歩き続けなければ、そこには行き着けない。この道のりは時に、闘いに近い。
そんな長旅のために、持っていくカバンは大きくして、いろんな道具を詰めておこう。

先は長いぞ。
いざ、いかん

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