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「スマホで遊ぶ」を問い直す 【樺沢紫苑 精神科医が教える毎日を楽しめる人の考え方】

スマートフォンの功罪は、改めて言うまでもないが、その便利さと中毒性にあるだろう。

スマホがあることで、いつでもどこでも情報へアクセスできるようになった。出かける前に地図を調べなくても、現地のおいしい飲食店が分かる。いつでも家族や友人と連絡がとれる。

またハイクオリティーなゲームもスマホに収まっているし、動画・音楽・マンガなどの娯楽も満載だ。


一方で、そのスマホを手放せなくなってしまっている人も増えていることも事実であろう。隙あらばスマホを触り、新しい情報のチェックや、ちょっとしたスキマ時間にゲームをしたり動画を見たりすることもできてしまう。

息抜きや気分転換のためだと言ってスマホを触る人も多いが、それは本当に息抜きになっているだろうか?
レコメンドされる動画を流し見て、ソーシャルゲームのデイリーミッションをこなしているだけで、本当に楽しい遊びになっているだろうか。


樺沢紫苑氏は、日本人にこそ「遊び」が必要であることを説き、遊びと掛け合わせるとよい要素を6つ挙げている。

遊びに「掛け算」をすると、遊びが楽しくなる!
遊び×①アウトプット、②リラックス、③一緒に、④時間術、⑤チャレンジ、⑥運動
=チョー楽しい!
樺沢紫苑「精神科医が教える毎日を楽しめる人の考え方」P137

逆に言うと、これらの要素が含まれていない遊びは、あまり有用とは言えないだろう。


スマホによって提供される遊びは色々あるが、ゲームとショート動画を例に挙げるとどうだろうか。

まずおすすめされるものを受動的にこなすだけでは、①アウトプットにはならない。内容によるかもしれないが次々と現れる新しいゲームや動画を追いかけていることが、②リラックスになるとも思えない。基本的にスマホは一人で触っているので、③「一緒に」の要素も弱いだろう。

動画を見たりこなすだけのゲームといった受動的な遊びは、⑤何か新しいことへのチャレンジにもならないし、もちろん⑥実際に身体を動かす運動にもならない。

唯一、④時間術の観点では、スマホはかなり使いやすい。いつでもどこでも使えるし、短い時間でも見られるからだ。しかし、その時間が楽しみや気分転換になっていなければ、そもそも意味が無い。①〜⑥の他の要素と組み合わせ、有効にスマホを活用できるようになれば、スマホは有効な武器になるだろう。

このように、スマホが提供してくれる遊びは、樺沢氏の言う「チョー楽しい」遊びとは言いがたい、と結論づけられよう。


パーソナライズされた好みに基づき、動画や広告をひたすら見せ続けるショート動画。こまめにチェックさせてより依存性を高めるソーシャルゲームやSNS。
こうしたサービスによって、スマホ依存を強めてしまう人もいるだろう。人の役に立つべきテクノロジーが、利用者を苦しめている現状に疑問を持つ人は少なくない。

もちろん、スマホを通して提供されるサービス全てが悪いという訳ではない。①アウトプットになったり、③人とのつながりを促したり、⑥運動を楽しめるようにしてくれるアプリもある。
しかし実際には、ただサービスを消費させ依存度を高めるだけのアプリやサービスが多いのではないか、ということを私自身感じている。


そうは言っても、いきなりこうしたサービスを世の中からなくすことはできない。まずは自分の環境から変えていきたいと思い、スマホの設定を見直した。

私のiPhoneのスクリーンタイム(何のアプリをどれくらいの時間使っているかが分かる設定)を見ると、ほとんどがYouTubeとSNSになっていた。動画もSNSも、見る時はPCやiPadでも見れるが、iPhoneで見るのは暇つぶしのためだ。

この時間を何とか排するため、iPhoneからSNSや動画、ゲームアプリを全て削除した。動画やSNSは、必要な時だけパソコンやiPadから見れば良い。ゲームはそもそもやる必要がない。

未だに無意識にスマホを触ってしまうことは多いが、触ってもやることがないので、自然とスマホを見る時間が減った。この時間を有効活用できるようになるためにはもう一工夫必要だと思うが、まずは無駄な時間を減らすための一歩を踏み出せたと思う。


皆さんは、スマホとどう付き合っているだろうか。スクリーンタイムはどうなっているだろうか。そのスマホの使い方は、本当に効果的な「遊び」になっているだろうか。

スマホゲームやSNS、動画などのアプリを楽しんで使っているのであれば、大いに続けるべきだろう。
ゲームの中には、脳を活性化したり勉強になるものも多くある(個人的には将棋や地理を覚えるゲームなどはやってもいいかなと思っている)。
しかし、スマホを使っているつもりが、いつの間にかスマホに「使われている」ことがないように、定期的に振り返ってみることも、必要ではないだろうか。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献:樺沢紫苑「精神科医が教える毎日を楽しめる人の考え方」


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