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パートナービザ申請のために用意した書類リスト+大変だった8つの準備【ビザの話4】

オーストラリアのパートナービザ申請の手続きには大きく分けて、「申請フォームの記入」と「必要書類の提出」の二つが必要だ。このうち「必要書類」は種類も集める手間も多く、クリアしないと前進できないクエストのようでもある。用意すべき書類にはどんなものがあるのか、僕の例を挙げつつ、書類が必要とされる理由や、準備のポイントも記録しておく。

Photo by Pat Whelen on Pexels

なぜ大量の書類を提出しなくてはいけない?

僕が2019年にオーストラリアのパートナービザ(サブクラス820/Temporary)申請をした際、数にして約50ファイル分の書類データをアップロードした。戸籍謄本やパスポートの写しといった公的な書類から、パートナーと僕の共同銀行口座の入出金履歴、死亡時の年金受取人の証明、旅行や買い物の記録など、揃えた書類は実に多岐にわたる。

そもそも、なぜこんなに大量の個人情報を提出する必要があるのかというと、パートナービザ(820)の申請では以下のような観点から審査が行われるためだ。

  • 2人の関係は継続的で、本物か

  • 2人は生活を共にしているか(していない場合、どんな理由があるか)

  • 2人は経済的に協力し合っているか

  • 2人の関係は友人や家族に認知されているか

  • 2人はお互いのバックグラウンドを知っているか

  • 2人は外出や旅行などのアクティビティーを一緒に行っているか

  • 2人は将来にわたって関係を継続する意思があるか

  • 2人は社会的・法的に問題のない人物であるか

例えば、2人宛のオンラインショッピングの領収書は、2人が同一の住所で生活を共にしている証明になる。2人で旅行をした際の航空券や宿代の領収書は、2人が行動を共にして、共同銀行口座から支払いをしていることで経済的な協力を証明する。互いの友人や家族も一緒に写った2人の写真は、2人の関係が周りの人々から認知されている証であり、長期間にわたる大量の写真は2人の関係の継続を示すことにもなる、ということだ。

実際に用意した書類リスト

2019年にパートナービザ(サブクラス820)を申請した僕の例だが、準備に時間はかかるし量も多かったので参考までにまとめてみた。必ずしも全員が以下の通りに用意すべき、ということではないのであくまで参考例として。

日本の書類

  • 日本の戸籍謄本の写し(NATTI翻訳)

  • パスポート

  • 日本の警察の無犯罪証明

オーストラリアの書類

  • オーストラリアの警察証明(通称Police check)

  • 事実婚の証明書(Registered relationship certificate)

  • 自動車免許

  • フォトカード

  • 宣誓供述書(Statutory Declarations)×2

  • 年金(スーパーアニュエーション)の受取人証明

  • 共同名義の銀行口座の明細

  • 不動産の契約書(連名契約)

  • 賃貸物件の支払い履歴(lease ledger)

  • 公共料金の請求書(連名契約)

  • 民間保険(ファミリープラン)のステートメント

その他の書類

  • 2人が一緒に写っている写真(交際開始〜ビザ申請までのもの)

  • 旅行の航空券、宿代の領収書

  • 映画、レジャーなどのチケット

  • 連名宛の手紙・Eメール

  • 2人が離れていた期間の関係継続の証明(メールなど)

  • 日常的なやりとりの記録(SMS、メッセンジャーなど)

  • 互いに送ったクリスマスや誕生日のカード

  • 家財購入の領収書(連名宛、共同口座からの支払い)

この他にも、遺言状や共同名義の車や不動産、金融資産があればその証明なども提出すると良いらしい。ちなみに、全ての書類はオンラインで提出するため、紙の場合はスキャンしてPDFなどの形式に変換した。

手間がかかった書類ベスト8

全て手間だったといえばそれまでだが、パートナービザの書類集めで個人的に「これが特に面倒だった…」というものがいくつかあった。

8位:Eメールのやりとりの記録

パートナービザの申請には「2人が離れていた期間も関係が続いていたことを示す記録」が必要となるため、片方が出張や旅行の間のEメールのやりとりを提出した。

「こんなプライベートな連絡内容を移民局に提出するとは…」と最初は絶句したが、それよりも問題はメールが日本語と英語の両方で書かれていたことだった。英語以外の言語の書類はビザの手続きに使えないため、日本語部分はNAATIという専門の翻訳家に有料で英訳してもらい、それを提出した。

7位:年金(スーパーアニュエーション)の受取人証明

オーストラリアで雇用されて働くと、雇い主が積み立てをしてくれるのがスーパーアニュエーション(通称:スーパー)と呼ばれる年金だ。リタイアの年齢になったら、スーパーの積立金が自分に支払われる仕組みだが、もし本人が死亡した場合は家族などが支払いを受けることができる。

その受取人は自動的に設定されるのではない。スーパーの運用会社が用意したフォーマットに必要事項を記入、第三者に証人としてサインをもらう、そして運用会社に提出、というちょっと手間のかかる手続きを経て受取人が認定される。これで、もしどちらかが先に死んでも相手の生活の足しになるようにお金を遺す、という意思表示になる。

6位:手紙やEメール(連名宛)

2人の関係が社会的に認められたものであることを示すために、2人宛のEメールや手紙、招待状などもあると良いと聞いたのだが、普通に暮らしていると「連名」の宛名の連絡というのはそう多くはない。そもそも交友関係が広くない僕にとってこれは悩みの種となった。

そこで日本の親族が僕宛に送る葉書の宛名を2人宛にしてもらうよう頼んだり、友人からの引越しパーティーの誘いを2人宛(かつ2人のEメールアドレス宛)にしてもらったりと、「証拠」を用意するために周囲の人の協力も仰いだ。もちろんこれらも全て英語でなければNAATI翻訳が必要だ。

5位:事実婚の証明書

僕の暮らすシドニーを含むNSW州では、「Relationship registration(関係証明)」という公的手続きを行い、証明書をもらうことで「事実婚(De Fact)のカップル」であることを法的に証明できる仕組みになっている。僕とパートナーは結婚(Marrige)ではなく事実婚なので、この手続きを行い、証明書をビザ申請時に提出した。

この関係証明の手続きが、微妙に手間がかかった。2人の免許証やパスポートなど複数の身分証明書を用意し、所定のフォーマットに申請内容を記入し、その上で「Justices of the Peace (JP) 」と呼ばれる公的な証人のサインをもらわなくてはならない。JPは日本にない存在だが「治安判事」という訳語があり、オーストラリアでは公的な書類作成の際に時々必要となる。

僕らのケースでは、近隣エリアのJPの受付時間に間に合うように仕事を切り上げ、2人で書類一式を持って駆け込み、身分証明書の確認やサインをしてもらった上で、書類をNSW州の役場(Service NSW)の営業時間ギリギリに窓口に提出した。この関係証明の手続きが完了するまでには1カ月以上かかった。

4位:宣誓供述書(Statutory Declarations)×2

パートナービザ申請には、自分たちで作成できる書類だけでなく、「人に書いてもらった書類」も必要となる。この「Statutory Declarations」は、がビザ申請者・パートナーとどのような関係であり、2人がどのように交際し、2人の関係が本物で、経済面でも将来の生活設計の面でも協力し合っていることなどを、証人(友人や家族)2人の目線から書いてもらうものだ。

まず、執筆してくれそうな人に頼む上で、僕とパートナーの両方をよく知っていて、なおかつ英語で文章を書くことを苦と思わず、できれば上手くまとめてくれそうな人、と考えると候補者はかなり限られた。しかも、2人に書いてもらう必要があり、期日もあったので、引き受けてくれた人たちには感謝しきりだった。

3位:日本の戸籍謄本の写し

外国で日本の公的書類を手に入れるのは簡単ではない。日本にいれば、自分の本籍地の役所へ行き、身分証などを提示すれば数百円で戸籍謄本の写しを取ることができるはずだ。しかし日本国外にいると、以下の2パターンの方法で入手することになる。ものぐさな僕はもうこれを聞いただけでげんなりした。

  1. 「海外の日本領事館」を通じて戸籍謄本の写しの取得申請をし、同領事館で受け取る(数カ月かかる)

  2. 「日本にいる家族」に代理人として戸籍謄本の写しを取得してもらい、郵送してもらう(数週間かかる)

僕は幸い②の方法を採ることができたが、本籍地と家族の今の居住地が遠く、郵送で取得申請をしてもらった。戸籍謄本の写しの発行手数料は、自治体にもよるが定額小為替や現金書留、コンビニ払いなどで支払う必要があり、返信用封筒(切手付き)も役所に送らねばならない。日本のコンビニにも郵便局にもアクセスできない海外在住者には絶望的な仕様だ。

②の手続きは、日本の家族 → 本籍地の役所 → 日本の家族 → 日本の郵便局 → オーストラリアの郵便局 → 僕、という長いルートを経ることになる。追跡可能かつ早く届く国際郵便を利用したが、書類の紛失や破損が起きやしないかとヒヤヒヤした。到着後、NAATI翻訳に出すという一手間もあった。

2位:日本の無犯罪証明書

「日本での犯罪履歴」を証明する書類を都道府県の警察庁から送ってもらうのだが、海外からだと領事館で申請することになる。申請時に指紋を取るなど、ちょっと物々しい手続きが必要だ。

数カ月かかる手続きである上、取得した証明書は1年間のみ有効なので、あまり早く取得しておくこともできない。

1位:写真(2人が写っているもの)

ツーショットの自撮り写真は照れ臭くて抵抗があるタイプなので、これはかなりの苦行だった。しかも、2人の関係が続いていることを証明するために定期的に撮る必要があり、外出や旅行などの機会だけでなく、日常的にツーショット撮影をしまくるという、あたかもカップルインスタグラマーのような行動が僕らの生活に求められた。

友人との会食などの際は「ビザ申請に必要で…」と頼んで一緒に記念撮影もしたが、写真が苦手な人でなければ自然に楽しんで撮ればいいだけの話。写真に写ることが苦手なあまり、僕の顔はいつも引きつり気味だったので、ビザ申請のマイナスポイントにならないかと無駄な心配もした。それでも、約2年で60枚くらいの写真を用意できたので上々だろう(余談だが、こんなに撮ってもセルフィーは一向に上達しなかった)。


この他にも、共同名義の銀行口座を開設する、賃貸物件や公共料金を2人名義で契約する、オンラインでの買い物の送り先は全て2人宛にしておくなど、提出用の「証拠」を日常的に作っておかないと、いざビザ申請の時に「しまった」ということになりかねない。それぞれの手続きや準備の方法は、追い追い書き残してみようと思う。

ここに書いたことはあくまでも僕個人の経験(2019年時点)なので、実際のパートナービザ申請では以下の移民局の公式サイトの最新情報を参考にしてほしい。
オーストラリア国内からの申請
オーストラリア国外からの申請


◆パートナービザ申請にかかるお金&時間の話はこちら。


◆少しでも早くビザ申請をしなくては、と焦ったときの話はこちら。



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