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ブースターショット(3回目のワクチン)をシドニーの薬局で接種した話

迷いながらも打つことに決めた新型コロナワクチン。2回目から約半年を経て、3回目を打つタイミングがやってきた。1回目は大型会場、2回目はGPと呼ばれる町のクリニック、3回目は「薬局」での接種を選んでみた。前回までと比べて、より簡単になった予約方法などについても書き残しておきたい。

2回目以上に迷った3回目の接種

1、2回目の接種はシドニーのロックダウン中。ワクチン接種は感染率だけでなく重症化率と死亡率を下げ、感染率が下がれば他人にうつしてしまう可能性も下がるので、防疫の観点から必要と判断して受けることにした。ワクチン接種率が上がることで医療者や医療機関の負担が減り、医療を受けるべき人が受けられ、助かるべき命が助かるという点は大きかった。

とはいえ、開発されてまもないワクチンに不安はあったし、人により副反応が大きい点も気になった。何より、未知のものへの恐れは大きく、不安は拭えなかった。

それでも、家族や友人の接種経験の情報を参考にしながら接種を決め、昨年は2回接種を条件とするシドニーエリアでの行動制限緩和も経験した。

しかしブースターショットと呼ばれる3回目の話が出始めた時、最初に思ったことは「あと何回打つの?」という疑問。これで最後かもしれないし、はたまたコロナ禍の終わりまで繰り返すのかもしれない。

2回接種したとはいえワクチンの長期的な影響などに対する不安が完全に払拭されたわけではなく、3回目を受けるかは正直迷っていた。

ブースターショットを打つと決めた理由

シドニーを中心にオーストリアでは、ロックダウン後に生活が平常化し始めた2021年末から変異種のオミクロン株が広がり出し、あっという間に1日あたり全国で10万人の新規感染というスピードで拡大。重症化率は低いといわれたものの、感染者の母数が増えれば入院患者も死者も当然増え、自分がそうならない保証はなかった。

当初「ブースターショットは2回目から6カ月以降に接種」だったルールは瞬く間に「5カ月以降」に改変され、最終的に2022年2月現在では「3カ月以降」になっている。体内の抗体の残存量が理由になっているようだ。

現在、シドニーを含むNSW州ではブースターショットは強制ではないが、「強く推奨」とされている。

「進んで打ちたいわけではないが、まぁ打つよ」という人が僕の周りには多く、副反応はまちまちだが重篤な反応が出ている人はいなかった。

ロックダウン解除後も、僕は個人的に外出をできるだけ控え、マスク着用が義務付けられていない場所でもマスクを付けるなど対策を続けてきた。一方で、身近な友人知人の感染例も増え、かなりの高熱や後遺症で苦しんだ人もいて、そうした可能性を少しでも減らせるなら、という気持ちがブースターショット接種を決断させた。NSW州政府が、店内など室内でのマスク着用ルールを近く撤廃する方針もあり、不安も少なからずあった。

自分が感染するのみならず、不用意に人にうつしてしまうことも怖い。もし自分がうつした相手が亡くなりでもしたら、ワクチンを接種しなかったことを後悔するだろうと思うのだ。

人に会う予定があることや、オミクロンの感染ピークを過ぎた状況もブースターショットの決断を後押しした。

3回目もファイザー

受けると決めればあとは予約して接種会場に行くだけ。Vaccination Clinic Finderという政府系のウェブページができていて、ワクチン接種を行う医療機関を探すのがとても簡単になった。こういう便利さと対応の早さは、オーストラリアの本当に良いところだと思う。

サイト内で郵便番号を入力すると、近隣の接種会場が簡単に探せるようになっている。GP(クリニック)、薬局から選ぶことができ、いずれも料金は誰でも無料。3日後の日程で、近所の薬局で予約を取った。会場によっては当日の予約枠が空いているところもあった。初回接種の予約の際には接種希望者の多さと会場の少なさから、1カ月以上先の日程しか取れなかったことを考えると、ずいぶん状況が変わったといえる。

予約時に、ワクチンの種類も選ぶことができた。僕は1、2回目と同様にファイザーにした。別種のワクチンをあえて打つ混合接種のほうが抗体が増えるというデータが政府機関からも出ているが、アレルギー体質なので別のワクチンに不安があったことと、前回、前々回とファイザーを打って問題なかったことを考えての決定だ。

薬局でのワクチン接種

当日、薬局に着くとお決まりの質問フォームに氏名や連絡先、既往症やアレルギーの有無、メディケア(国民健康保険)の番号などを書き込んで提出。3回目なのでもう慣れたものだ。

最近NSW州では5〜11歳の接種も始まったせいもあって、週末の薬局はワクチン待ちの人やその付き添いの人で混み合っていた。薬局といっても調剤カウンターのあるドラッグストアなので、一般の買い物客や処方薬を待つ人もいて、全員マスク着用のルールを守ってはいたものの、「ここで感染するのでは…」とやきもきしながら約30分待って接種を受けた。それでも、1回目の大型会場で2時間以上待たされたことと比較すると、何ということはない。

薬局内の隅のカウンセリングルームなる小部屋に呼ばれ、朗らかな医師らしき人と短い雑談をしながらあっという間に接種。前回同様、終わったあとは急な反応が出ないか見るために店内外で15分待ったら帰っていい。今回も何事もなく帰宅できた。

副反応は過去最少だった

1、2回目と比較して、僕の場合は3回目の副反応が最も小さかった。軽い腕の痛みはあったものの、肩より高く腕を上げることもできたし、その他の症状は全くなし。

接種した日の夜にいつもよりよく眠ったのは、もしかしたら副反応として眠気が出たのかもしれないが、2回目にあったような頭痛や吐き気は皆無で、食欲もあり、生活に支障が出なかった。眠気や体調不良が出てもいいように、今回も午後の時間帯を選んだのも良かったのかもしれない。

人によっては3回目が一番強い副反応が出たというケースもあり、本当にさまざまのようだ。僕の場合は腕の痛みも、1日半後にはなくなっていた。

ちなみに3回とも、接種後の数日間は激しい運動や飲酒を避け、水分をたくさん摂取するように意識した。

あと何回接種する?

ちなみに、今後の「4回目接種」についてはもう既に政府系サイトで情報を見ることができた(2022年2月現在)。

A booster (fourth) dose is then recommended 3 months after the third primary dose.
(4回目接種は、3回目から3カ月後の接種が推奨されています。)

Booster vaccination - frequently asked questions

とりあえず3回目まで打った僕としても、これがいつまで繰り返されるのか不安な気持ちでいる。5回目、6回目もあるかどうかは、コロナ禍がいつまで続くか次第だが、こればかりは誰にもわからない。

一つ言えることは、デルタ株やオミクロン株のような新たな変異株がまた世界のどこかで登場し、各国へ入って感染拡大を起こす状況が続くとしたら、それは世界のワクチン配布状況の不平等が一因ではないだろうか。ワクチン接種が進んだ先進国では感染をコントロールできても、ワクチンはおろか手洗い用の水や消毒液にも事欠く発展途上国では、ウイルスをコントロールすることが困難で、そうこうしているうちに新たな変異株の登場を許してしまうかもしれない。

近現代の世界を読み解くキーワードである「格差」を正しく理解し、公正に対処することこそが、新型コロナのパンデミックから僕ら人間が学ぶべきことなのではと、南半球の片隅で考えている。

 

◆アレルギー体質ゆえにワクチン接種を悩んだ話はこちら。


◆大型会場での1回目接種の話はこちら。



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