821ST

寝る前に思い出したことをつらつら

821ST

寝る前に思い出したことをつらつら

マガジン

  • 回顧録

    私の回顧録。リトルミーと向き合うために。事実だけ。

  • 私と東村さん

    高校時代、仲良かった事務室の東村さん。その人との日々を思い出したので残したいと思います。いつかの自分に向けて、忘れてしまわないように。

最近の記事

Ep.1-16

それから私は東村さんに会わなかった。 焼肉も奢ってくれないなら 別に会う意味はなかった。 私は 私を好きな男性に夢中だった。 ブログは相変わらず更新していたし 東村さんからコメントがきていたし 東村さんのブログを読むのは日課だった。 東村さんのブログは 「セックスしたい」 「セックスしてぇなぁ」 「女の子いないかな」 っていうことばかりで 私は完全に引いていた。 だって 私はセックスをしたことがなかったし キスだってしたことなかったのに。 そんなはっきりと「セックス

    • Ep.1-15

      私がブログを書くと 東村さんがリアクションをするようになった。 コメントも残してくれる。 いつも語尾に「笑」をつけていた。 私は 「おじさんだなぁ」 と思いながらも 東村さんのブログを読んでリアクションをしていた。 その日も私はバイト先の非常階段でタバコを吸っていた。 ニチニチと 今仲の良い男の子に返信を打っていた。 送信ボタンを押すか悩んでいると 東村さんからの電話が鳴った。 「おつかれっすー。どうしました?」 「お〜元気〜?君の声が聞きたくなってさ〜」 「そんな

      • 私の最早期記憶

        私の最も古い記憶は 幼稚園の時だ。 逆上がりをした時の景色 いじわるをされて、先生に告げ口をした場面 速く走ると目立つからわざと遅くして父親に怒鳴られたとき。 幼稚園でもいくつかあるけど、 多分あれは年少さんのとき。 朝、いつもご飯を食べるテーブルで 父親と母親の大喧嘩が始まった。 何を言っているか分からないけど 母親は大きな声で怒鳴り 父親も負けじと大きな声で怒鳴っていた。 私は、 幼稚園に遅れちゃう って気持ちと お父さんとお母さん喧嘩しないで って気持ちが

        • EP.1-14

          「わ!お久しぶりです〜!」 「変わったねぇ。でもすぐわかったよ。」 「垢抜けたでしょ」 「可愛い。びっくりした。高校の時も可愛かったけど」 「ありがとう〜」 私は久しぶりに東村さんと会った。 私は初めて東村さんと外で会った。 私は東村さんと2人で会っている。 なんだかいつもと違くて恥ずかしくなってきた。 「タバコ吸うんだね」 「あ、はい」 「俺も」 東村さんはマルメンを取り出して 一本のタバコを口に咥えると ライターで火をつけた。 「学校の中吸えないからさ〜」 「吸っ

        マガジン

        • 回顧録
          2本
        • 私と東村さん
          14本

        記事

          EP.1-13

          東村さんからはそれからもちょくちょくメールがきた。 面倒臭かったし 焼肉奢ってくれないから 私はそっけなく返信をしていた。 自分のホームページの“裏りある”には 東村さんが鬱陶しいことを書き連ねた。 誰に話すこともない。 私と東村さんが連絡を取り合っていることは 誰にも言っていない。 私と東村さんが仲が良かったことは 誰も知らない。 そんなある日、私はいつものカフェで大学の課題に取り組んでいた。 すると、携帯のライトがピンク色に光る。 これは、高校関連の人のカラーだ。

          EP.1-12

          バイトの休憩時間。非常階段でタバコを吸いながら 携帯を開いた。 「私バイトがあるから」 携帯をのボタンをニチニチと打つ。 私は両手打ちだった。 「金曜日の夜は?」 「焼肉連れて行ってくれるならいいよ!叙々苑!」 「そんなとこ連れて行けないよ」 「じゃあまた!」 調子乗ってた私はそう返信して携帯を閉じた。 バイトの休憩時間が終わる。 私は制服に着替えて匂いを消すため手を洗いに行った。

          遠い思い出 もやし炒め

          新聞で「遠い思い出 スコッチエッグ」を拝読した。 私の遠い日の思い出は、今思い出すとしたら【パパのもやし炒め】ではないだろうか。 うちのパパはもやし炒めを作る時、必ず卵をいれる。これに塩胡椒をふりかけ、醤油をかけて食べる。夕食には週に1度はこのメニューがあった。 ママとパパはいろいろあって離婚することになり、翌日は私とママ、妹が家を出る日であった。 母妹と3人で夕食を食べようとしている時、家庭内別居中のパパから呼ばれた。 「あんたのこと呼んでるから行ってきな」 マ

          遠い思い出 もやし炒め

          EP.1-11

          東村さんは事務室にいた。 「おー!久しぶり」 「こんにちは」 「元気?」 「元気です」 そんな簡単なやり取りをして 書類を受け取った。 放課後の時間だったこともあり 一緒に帰った。 「今度ご飯でもいこうよ」 そういわれた私は 「いいですね」 と答えた。 調子にのっていたから 【高いお肉でもおごってもらお】 くらいにしか考えてなかった。 連絡先を交換して 途中の駅で別れた。 しばらくして 連絡がきた。 「ご飯いこうよ」 「いつがいいですか」 そんなやり取り

          EP.1-10

          私は大学生になった。 大学生になってからは 高校時代なんて ほとんど思い出さなかった。 毎日が楽しくて 髪の毛を染めたり ピアスを開けたり 彼氏と別れたとか 付き合ったとか そういうことをしてた。 そのまま1年くらい経ったとし 実習のための書類を受け取りに 高校に行った。 卒業以来、初めてだった。

          EP.1-10

          EP.1-9

          文化祭も無事に終わり、三役の引き継ぎも終わると受験モードに切り替わった。 とはいえ、推薦を狙っていたので勉強が忙しくなることはなかった。 東村さんとやり取りをすることはほとんどなくなった。 それでも、会えば挨拶して 時間があれば雑談くらいはしたと思う。 受験校はどこにしたとか テストで良い点とったとか そういう話をした。 東村さんは 何も変わらなかった。 私が 変わっていったのだろう。 大切にすることを大切にせず その場の流れに身を任せて なんだか

          EP.1-8

          学年があがるにつれて、東村さんの他に、私が仲よくなった学校関係者は何人かいた。 東村さんだけが特別仲良かったわけではない。 たとえば用務員さんとか警備員さんとか。 ずいぶんと良くしてくれていた。 東村さんはそのうちの1人だった。

          Ep.1-7

          そういえば、 東村さんと一緒に帰ったことがあった。 たまたま帰りが一緒で、私は途中下車して買い物しなくちゃだったから電車に乗るとこまで。 「援交にみられるかな」 「かもね」 「ぼくとこれからどうですか?」 「キモー!」 そんなやり取りをした。 学校を離れると 気さくになるというか モードが切り替わる東村さん。 この時は、身体の関係とかよく分からなかったから キモー!の程度も今とは違う。 いま思うと、本当に気持ち悪いけど、 そういう冗談を言い合える仲

          Ep.1-6

          高校3年生になった。 今年も東村さんは異動しなかったみたいで 「今年もよろしくー」 と挨拶した。 今年は生徒会室に行くことが多くて鍵の貸し借りはなくなった。 けれど、委員長なので放送室借りるときとか 近くの体育館に養生テープ貼りたいときとか 事務的なお仕事が増えて その度に東村さんに相談しにいってた。 養生テープの件は、お金がかかると言われていたけれど お金をかけないでやるためにどうしたらよいか、 東村さんが教えてくれて 企画書持っていったら先生に驚か

          Ep.1-5

          高校2年生になった。 4月。東村さんは、異動がなかったようで いつものように事務室にいた。 「今年もよろしくね。」 「こちらこそよろしくお願いいたします!」 という挨拶を交わした。 私は、 お昼休みには配電室の 放課後には生徒会室の 鍵を借りに事務室へ行くことになった。 途中から先輩方が配電室の合鍵を作っていたことを知っていたけれど、 私はとても真面目だったので 毎日、事務室へ行った。 委員会のこと以外には だれそれと付き合ったり だれそれに告白

          Ep.1-4

          学校生活は毎日忙しかった。 文化祭が終わると、じゃんけんで負けた私は委員会の三役になった(書記)。 今度は配電室だけではなく 生徒会室や放送室の鍵なんかを借りるようになった。 東村さんがいるときは東村さんが対応してくれた。 いつもニコニコしてて 「おつかれさま」 と言ってくれてた、、、気がする。 でも、鍵を借りたり返したり そのやりとりだけだった。 文化祭実行委員会は来年度までお休みだったけど、三役の仕事はたくさんあったので、後期はなんだかんだ忙しかった。

          Ep.1-3

          通っていた高校は私立だったけれど、 校舎が全体的に古い。そしてしきたりも古かった。 ノックをしないでドアを開けたら最初からやり直し、先生の機嫌が悪かったらその場で怒鳴られる。 私は、先生から怒られることは見放されることだ、と思っていたので、そういったシキタリを忠実に守った。 けれど、事務室のドアを私はノックしないで入る。事務室の扉は自動ドアになっていたからだ。 「こんにちは。」 「こんにちはー。配電室の鍵かな?」 「あ、はい!ありがとうございます。」 定期テス