Ep.1-16

それから私は東村さんに会わなかった。
焼肉も奢ってくれないなら
別に会う意味はなかった。
私は
私を好きな男性に夢中だった。

ブログは相変わらず更新していたし
東村さんからコメントがきていたし
東村さんのブログを読むのは日課だった。

東村さんのブログは

「セックスしたい」
「セックスしてぇなぁ」
「女の子いないかな」

っていうことばかりで
私は完全に引いていた。
だって
私はセックスをしたことがなかったし
キスだってしたことなかったのに。

そんなはっきりと「セックスしたい」なんていう男の人は
気持ち悪い。

そんなふうに思いながら
男の人の膝に座り
お酒を奢ってもらって
可愛い可愛いと
愛でてもらっていた。

私は
何も知らなかった。

家とは違う居場所を見つけて
浮かれていた。

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